完成品の姉
姉の話を少ししようと思う。
私には二つ上の出来た姉がいる。
姉はいつも、
私の頭のひとつもふたつも上をいく存在だった。
運動会ではいつも
学年対抗リレーの選手に選ばれていたし、
バスケ部に所属しているのに
陸上部の大会に出ては賞を持って帰ってくる。
通知表で怒られている姿を見た事が無く、
(私は通知表を見せて怒られなかったことが無い)
高校は地元では有名な進学校に進んだ。
金銭面で親に負担をかけまいと
皆がバスで片道二十分かけて通う道を
自転車で通学していた。
おまけに美人で足が長い。
よく友達にお姉さん美人で羨ましいと言われたものだ。
友達にも恵まれていた。
私に言わせれば非の打ちどころはおおいにあるけれども、
妹として一緒に暮していればそれは
どんな優れた相手にでもある非であり、
許容範囲内というもので。
やはり彼女は
出来過ぎた姉なのです。
それに引き替え私は
何をさせてもそこそこで、怠け者。
歳が近い姉妹によくある様に
張り合って喧嘩することも無ければ、
比べて自分を卑下することも無かった。
親にはよく姉を引き合いに出されたが
それに対して姉を羨ましがったり
闘争心を掻き立てられるようなことも無かった。
「姉ちゃん凄いな」とは思っていたけれど
特に憧れてもいなかった。
私がいくら努力したとして、
姉の様な結果を出すことは出来ないし、
姉と自分は別の人種なのだから
とすら感じていた。