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おいしいものと心の距離感

カレーってほんとにすごい。

なんでも合うもんね。

でもそんな風潮が嫌いな、どうも草原です。


「じゃあ今度はお前の番だな?」

そう言うと玲於奈はピクリと震えた。

「これ、美味しいんですか?ほんとに。」

ツンツンとスプーンでカレーをつついている。

「お前の肉カレーとは違って普段から作ってるんだからな?妹からもなかなか好評なんだぞ。」

「こ、こんな緑色のやつがですか?」

色で決めるんじゃない。

「とりあえず一口食ってみろよ。それからどんな批判でも受けるよ。」

「は、はぁ。なら一口だけ。」

パクリと小さな一口。

その瞬間、玲於奈のメガネの内側の大きな二つの眼がピカッと光った。バ〇ス。

「お、おいしい!こんな色なのに!ルゥとしっかり絡んだ野菜はカレーの中なのにみずみずしくシャキシャキしている!なんで!?凄すぎます!」

なんかグルメ漫画みたいなリアクションをされた。ちくしょう、あともう少し料理スキルがあれば服を脱がせられたかもしれないのに。某料理マンガ的なね。

「慣れだよ、慣れ。どうだ、うまいだろ?」

「はい!とてもおいs...」

玲於奈は言い掛けて止まった。そして少し考える素振りを見せる。

「ふ、普通ですねー。ココ〇チのカレーぐらいの美味しさですね。そ、それより!私の肉カレーは、どうでしたか?」

ココイ〇のカレーってめっちゃ褒められてね?それより、なんでこいつは今、椅子からずいっと身を乗り出し、俺に上目遣いをして弱気に聞いてきているんだろう。不覚にも少しドキッとした。

「ま、まぁ見た目よりは。おいしかった。」

そう告げると玲於奈は席につき、キョトンとした顔を見せる。俺の錯覚だろうか、すこし頬を赤らめているっぽい。

「そ、そうですか。」

そっぽを向く。

「よかった。」

「ん?何か言ったか?」

ボソッと呟いていたことを聞き逃した。

そう言うと緩んだ顔を引き締めてこちらを向き直り、いつものピシッと張り詰めた空気感を取り戻した。

「いえ。なんでもないです。」

そう言うとパクパクとカレーを食べ始めた。

こいつ、食べる時はライオンじゃないんだな。

小動物みたいにパクついている。

可愛い...くはないな。うん、絶対にない。そんなわけねーよ。

「何見てるんです?」

ぺろりと平らげた玲於奈はじっと見つめていた俺に言葉を投げかけた。

「いや、なんでもない。それと...」

玲於奈の頬についていた米をスっと指ですくった。顔もだいぶ近かったな。

「おべんと、ついてるぞ?」

二カッと笑って言ってやった。

「!?!?」

玲於奈はカーっと顔を真っ赤にして、俺の顔に見事な右フックが入った。

猫パンチはいてぇよ

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