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永遠に連なりし者
※超SS、世界を救った英雄、伝説、昔語り
その昔、世界を救った英雄は永遠に語り継がれ、今や伝説と化していた。
「ロシュアさま、ロシュアさま!」
子ども数人が濃紺の司祭服を纏う青年を追いかける。
暖かな春の陽射し、心地良い風が吹きぬけ、町を見渡す丘の上で青年は立ち止まった。
「ロシュアさまー!またむかしばなし、きかせてー!」
「ああ、いいよ。何がいいかな?」
柔らかな草をクッション代わりに、子ども達はロシュアを中心に座った。
ロシュアも腰を下ろす。
「せかいをすくった、えいゆうのはなし!!」
「てんしさまのおはなしがいいよー!」
子ども達はそれぞれに口にする。
その様子にロシュアは喉の奥で笑い、静かにと言葉にする代わりに人差し指を立て口許へ当てた。
それを見た子ども達は一斉に静まり返る。
「なら順番だ。最初は――」
世界を救った英雄の話。
魔族との戦いに勝利し、人間の世を作り上げた伝説の王。
千年経った今もなお、昔語りのひとつとして子ども達へ受け継がれている。
了