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練習用  作者: 水薙かのん
3/14

囚われの少年は何を見た?

※西洋FT、創作SS、囚われ少年&衛兵



 牢獄。

 纏わりつくような湿気を帯びた冷たい鉄格子で仕切られた場所。

 牢の一角で、少年は膝を抱えて蹲る。

 通路の壁に備え付けられたランプは、等間隔に周囲を照らしているものの数も少なく、足元が分かる程度だ。

 淡いオレンジの色が少年を照らすが、その光すらも拒むように顔をあげない。

 定期的に見回りに訪れる衛兵の足音のみが響く。


「……おい、坊主。少しは喋る気になったか」


 半ば諦めたような口調で衛兵の男は問いかける。

 四十路手前ほどだろうか、胸当てに皮製の靴、その他は麻や木綿と衛兵にはよくある軽装だ。

 腰には長剣が提げられていた。

 少年の反応はない。

 明るめ茶色だった少年の髪も、今や汚れてぼさぼさだ。

 服も破れや汚れが目立ち、見え隠れする腕や足も十歳の少年とは思えないほど細い。

 石造りの壁のごく僅かな隙間から吹き込んだ風が、ランプの灯りを僅かに揺らした。

 鼓動を数十数えた所で、衛兵は深く息を吐く。


「今日もダンマリかい。まぁ、俺の仕事にゃ直接関係ないから構わないが」


 主な仕事は牢内の見回りだ。

 上からの命令で形ばかりだが、声をかけているだけに過ぎない。

 衛兵は少年の牢の前から足を進めた。

 少年が何を見たのか、いまだ誰も知らずにいる。



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