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潜む少女

高崎君は私の顔をみると少し驚いた表情を見せたが、すぐにドラムの方へ眼を戻した。真剣な表情の高崎君をみて、思わず私は見とれてしまった。話しかけるのもあれなので、しばらく彼の様子を見てみよう。



「・・・・・」


「・・・・・」



音楽室に似合わないほどの静けさ、互いの心臓の音が聞こえそうな緊張感。このままじゃこの空気にのみ込まれてしまいそうだ。



「……おい」


「は、はい!」



深い沈黙を破ったのはやっぱりたかさきくんからだった。スティックを置くと大きなため息を吐いた。呆れに近いような声なのに、突然話しかけられて声が裏返って返してしまう。



「あんまジロジロみんな。変に緊張する」



そういうと顔をそむけてドラムの方に目を移した。心なしか耳が赤くなっているところをみて、思わずくすりと笑みがこぼれた。高崎君も緊張とか、するんだなぁ。



「笑うなよ」


「あ、ごめんなさい……」


「・・・・・」



今の私の行動に腹を立てたのか、明らかに不満そうな表情を表す彼に、本能的に謝ってしまった。

また沈黙が訪れる。今度は気まずい空気に、ここから逃げ出してしまいそうになる。



「……大崎」


「は、はい!」


「敬語禁止」


「……ふぇ?」



難しい顔をしてん何を言うかと思えば、私の予想の斜め上の言葉に、思わず間の抜けた声を漏らす。高崎君はうんうんと納得した様子に、私の思考はさらにこんがらがってしまう。え?なにどういうこと?



「隔たりを無くすなら、まずは言葉からとはこういうことか」


「いや、あの……何の話を……」


「大崎は物腰低くていいんだが、何がダメって壁を作って人との距離を置く。まずはそれを無くすぞ」


「え、えっと……」


「とにかくこれからは敬語禁止。わかったな」



勝手に話が進んでいる。結論まで勝手につけられてしまった。

私の話を聞くまでもなく、勝手に結論付けた高崎君はまたドラムの方へ行って演奏を再開しようとしていた。このままだと私の話を聞かられる間もなくそれが決定してしまう。



「あ、あの……高崎君……」


「・・・・・」


「え、えっと……その……」


「・・・・・・・」


「わ、私の話聞いて!」


「……なんだ、大崎」



敬語を使えば全く反応をくれない彼に、ぎこちない言葉でなんとか言うとようやく反応をしてくれた。このままだとこれからもこんな感じになるかもしれない。そう思ったらまた背筋が寒くなった。



「と、突然敬語禁止って言われても……」


「簡単なことだ。俺たちのことを、『ちゃんと』友達として見れば、なんも考えることはない。普通に、俺たちは友達なんだから」


「・・・・・」



この人たちは、私の境遇について、何か知っているのだろうか。

巧真君といい、高崎君といい、まるで私の過去を見透かしたかのような口調で私に話してくる。しかもその過去を、彼らはなんとかしようとしているようにすら感じる。



「お前の『オト』は、いつも緊張している。俺たちの前でそんな『オト』を奏でられても、何も嬉しくない」


「え、あの」


「お前のその『オト』の素質は綺麗なのに、お前のその緊張感のせいで全く生かせていない。宝の持ち腐れにもほどがある」


「いや、何の話を」


「とにかく、その綺麗な『オト』を出すためにも、とりあえず緊張感を無くせ。俺たちに、その『オト』を聞かせてくれ」



何の話をしているのか、全くわからない。

おとがどうこう、とか言われても意味が判らない。



「……あぁ、そういえばお前は知らないんだったな。

俺は人の心音とかのあらゆる『オト』から、人の素質をみつけ探るっつー能力……みたいなのがあるんだ。占いっぽく聞こえるかもしれねぇけど、俺が素質に関して、外れたことはねぇ」



このせいであのクラス来たんだけどな、と少し苦笑いをする彼だったが、その話を聞いた途端私はこのクラスの凄さを改めて知ることができた。

とりあえずなんらかの素質があって、このクラスにいるんだなみんなって。



「と言うかお前、次にどこ行こうとか、考えてないのか?」


「次?」


「……今、かくれんぼしてんだぞ。鈴森主催の」


「あっ!!」


「忘れてたのかよ……」



高崎君の話を聞いていて、すっかり忘れていた。今私、かくれんぼしてるんじゃないか!

時刻をみてみると、そろそろ午後7時になるというところ。始まって既に3時間くらい経とうとしている。こんなペースでは、“あの時間”になってしまう。


「ぜ、全然見当ついてないです……」


「んなことだろうと思った」



はぁ、とため息をつく高崎君に申し訳ない気持ちになぜかなってしまう。

すると彼から、思いもよらぬ鶴の一声が漏れた。



「食堂に行って来い。この時間なら、あいつがそろそろ漁りだす時間だから」


「漁る……?なにを?」


「いってみりゃわかる。いつもは俺が引っ張って帰るんだけど、今日はお前に任せるから」



俺はもう少し演奏してから帰る、と言い残すと今度はこちらを向くことなく一直線に自分の好きなものへと向かっていった。




食堂……食堂棟に一体誰がいるんだろう―――――――

疑問をぬぐいきれないまま、高崎君の言う通りに食堂棟を目指して歩き出した。










「ったく、鈴森も面倒なことするもんだなぁ」



_________________________________________




……私は今、足がすくんで動けません。

理由ですか?そんなの決まってるじゃないですか。



“ガサガサ”


“ガチャ、バタン”



日も完全に落ちた午後7時の学校内で、こんな音されたらビビりな私が動けるわけないじゃないですか。

高崎君が漁る、という表現をしたのも納得できる。でもこれは―――――――



「食堂まで、いけないよぅ……」



そうなんです、私は今食堂棟と校舎を繋ぐ連絡橋で動けなくなっているんです。

もしかしたらこの音の正体が得体のしれない何かと思うと―――――



“いつもは俺が引っ張って帰るんだけど”



高崎君の言葉をそのまま信じるなら、この音の正体はうちのクラスの誰かなんだけど……




「……いこう。他の人だったら全力で逃げよう」




暗示をかけるように何度も呟きながら一歩一歩、食堂へ近づいていく。

そして10分かけてようやく食堂に付くとそこには――――――























小さな少女が、必死な形相で何かを探していた。



「おばちゃんのおやつ、もしかして変更しちゃったかな……」



背の低い、2つにまとめられてくるくるとかかった縦ロールがふわふわと揺れている。

みたことがある、と言うよりも第一印象があまりにも“お姉さま大好き”というでかいインパクトで括られた少女は、せっせと見習い泥棒のように辺り一面を散らかしながら一心不乱に何かを探している。



話しかけることすらためらったが――――――












「え、えっと……そこでなにしてるの?












梨夜さん」







「みてわからないのかりのっち!必死におばちゃんのおやつを……ってふえぇ!?」



「一応、見つけたってことでいいかな?」











開始3時間。

何か(本人談:おばちゃんのおやつ)を探す少女、発見です。

いやぁ、会話とか思いつかないよwww

ということでどうも、森野ですw


今回は高崎君の能力と、食堂を荒らす少女梨夜さんです←

高崎君のモデルさんはまぁ音ゲー大好きってことで、こういう能力にしましたw

梨夜さんモデルは……可愛い感じがいいな―なんて思ったらこんな風になっちゃったよ←

梨夜さんの容姿モデルはボーカロイドUTAUシリーズのテトさんを思い浮かべていただけたらと思います←モデルさん好き(だったと思う)なので←


それでは次回、凛ちゃんの能力を紹介していきたいと思います!



では、今日は失礼します!(`・ω・´)

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