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クサリス  前準備

長くなりそうなので分割して投稿します。


次はちゃんと出かけますデス…

 で、さっそく依頼掲示板の前で物色しているわけだが…

  赤皮紙…至急・緊急

  黄皮紙…通常

  緑皮紙…常時

 で分けられた依頼票で楽そうなものを探す。


 「これはどうでしょう?」


 そういってファームが指差すのは『大猪の毛皮』の収集だった。

 1枚からでも良いようだが、できるだけ多く…となっているし、手始めには良いと思う。

 分類は戦・雑で、副材として大蜥蜴の皮、鱗も査定に含まれるともある。

 大猪はこの街の周辺にも手広く繁殖している獣で大きさは平均…高さ1m程度。

 農家の野菜などにたまに被害を出すが、基本は雑食で街のすぐ近くにはそれほど現れない。

 大蜥蜴はやはりこの街の周辺にも分布している獣の一種で主に肉食で時には人間も捕食対象にされるという危険なものだ。

 集団性があり5・6頭の群れで行動することが多く、また周囲の危険や獲物の存在を鳴き声で群れに知らせる程度の判断ができる。

 どちらも下手に手を出すと返り討ちにもあいかねない相手で、狩猟・納品依頼初心者の試金石的な存在である。

 どちらも初級防具の素材に適し、繁殖力と適応力も高いことから常態的にギルドの依頼票に載っている。


 「ま、良いだろう」


 そういうと俺は依頼票を1枚、千切り受理受付に持っていく。

 常時依頼の受理票は常に束で掲示板に留められており、随時ちぎって受理するというシステムとなっている。


 「『大猪の毛皮の納品』で間違いありませんね?」


 受理受付の担当の受付嬢が内容を確認する問いに頷くことで答える。


 「それと、運搬用の荷馬車、その護衛を頼みたい」


 納品依頼なら、大きな荷物の運搬には荷車や荷馬車が使われるし、その護衛も必要だ。食料や水、そして荷馬車なら馬の護衛…もちろん盗賊対策も含めて必要となる。


 「荷馬車の貸出は1黄貨で、荷馬込みでしたら5緑貨となります。

 護衛は別途、依頼として受付けることもできますが、ギルド員からでしたら1日当たり、1人3黄貨を前払いでお願いします」

 「急がないので、依頼としてくれ。人数は問わないが5日キャンプ予定、必要経費込みで報酬は全体で1緑貨」

 「承りました。受理報告はどちらにすればよろしいですか?

 「俺に…今日は待合で夕方まで待ち、明日も朝から待合に入る」

 「はい、よろしくお願いいたします」


 と、受付嬢とのやり取りが終わる。

 参考までにこの国の通貨は以下のようになっている。

  一般通貨として…

   赤貨

   黄貨 =  100赤貨

   緑貨 =  100黄貨

   青貨 =  100緑貨

   紫貨 =  100青貨

 これらはこの国で産出される水晶を粉末化、彩色したものを再結晶化して作られる。

 そして、上位通貨として、

   銀貨 =  100紫貨

   金貨 = 1000銀貨

   白貨 = 1000金貨

 となる。

 参考までに、諸外国では水晶貨は作成技術が低いか持ち合わせておらず、貨幣信用度はカイゼル皇国が一番高い。

 カイゼル皇国と諸外国との銀貨対紫貨の外国換金レートは『1:0.8』を基準としている。

 

 一般的な昼食が1食で5赤貨、夕食が10赤貨未満、中流層の1期の給与が90黄貨~1緑貨程度…

 1期は90日で1年が4期。繁殖期、寒冷期、温暖期、熱帯期で1年である。


 つまり、俺が提示した護衛の報酬はギルドの取り分を差し引くと、70~90黄貨となり、報酬としてはそれなりに高い部類に入る。


 その日は日が落ちるまでギルドで雑談など時間をつぶし、待機していたが護衛の受理者は現れず、翌日に持ち越しとなった。




 翌日、装備の手入れ、消耗品の用意などを終わらせ、ギルドに待機する。

 俺とファームの座る席は何かと目立っているようで…というかファームがその美貌…から目立っているだけで…


 「なぁ…メンバーを探してるなら、俺達とどうだ?」


 といったナンパが途切れることが無かった昨日に比べて、直接接触がないというだけで、

注目を良くも悪くも集めている。

 そして昼にも差し掛かろうという時刻…


 「すみません、カイザートさん」


 エインベル嬢が幾人かの人を連れてやってきた。


 「こちらの方が荷馬車護衛の依頼をお受けしたいそうです」


 といって紹介されたのは、まだ新しい油の匂いをもつ皮防具を身に着けた1人の青年戦士。

 まぁ、大抵は俺の方が若いんだが、歳はそれほどかわらないと予想する。


 「クリストファーです。よろしくお願いします」


 といって軽く会釈。


 「クリスさんは、最近になってギルドの技能試験に合格された優秀な方です。

 カイザートさんも安心してお任せできるかと思います」


 エインベル嬢がにこやかに続ける。

 まぁ、正直(技術はそれほど信用してないので)誰だっていい。


 「こちらこそ頼みます。 リーフ=カイザート…こっちはティル=ファーム…」


 簡素に名前だけ紹介する。あとは自分たちでやってくれ(笑)


 「一応、2日を予定しているので、自身の準備はしてほしい。

 出発は…明日の朝、ギルド前に集まってから…で良いですか?」

 「判りました。では、準備に一旦戻ります」


 明日の出発の予定だけ告げて一時解散とする。こちらも準備を改めてする必要がある。

 荷馬車には水樽、飼葉、保存食が2x5日分、燃料用の油…そして雨除けの防水布を用意する。

 そして自分たちは個人の装備の確認…

 俺は長尺剣、長剣、短剣、ナイフx4と軽い部分皮鎧…

 ファームは…長剣、歩兵槍、投擲槍と金属製の部分鎧…

 それらに加え、共用品として砥石や磨粉などの手入れ用品。

 これらを予めギルドの荷馬車に積み込み明日の出立の準備とする。その時、荷馬の確認もしておく。


 「明日から、よろしく頼むな(笑)」

 (お任せください、黒皇様)


荷馬の頸を撫でながらの囁きにいきなり意識に割り込んでくる声? 何故か耳に聞こえているのでは無いと断定したが感覚は似ている。

とっさに周囲の気配を探るが特に気になるものには当たらない…鈍ったか…?

………??

とっさに荷馬を見る…俺と目が合うと傅くように頭を下げる荷馬…

…??


「まさか…お前…か…?」

(驚かせてしまったようで、すみません…)


話しかけた荷馬が謝罪した。

 なんというか…耳から聞こえているのでは無いが、通常の会話と遜色なく捉えられる意思…レベルでの会話…というか…

 驚く…を5周くらいして、元に戻った…くらい驚いた。


 で、ついでに…荷馬と色々、この件について話を聞いて…明日に備えるために帰宅した。


お気に入り登録 8件 ありがとうございます。


ご指摘、ご感想を頂ければありがたく、また励みになります。

よろしくお願いいたします。

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