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出会い…

遅くなり、申し訳ありません。(誰も読んで無いでしょうがw)

短いですが、仮で投稿します。

 外から聞き覚えのある声がする。

 夜遅くに怪我を負いながら慌てて村に帰ってきた父達。

 その父によるとリーフさんが一人で賊の足止めをしているらしい。

 賊の人数は5人以上…とても勝てる人数じゃない。


「カイザートさんも足止めだけして逃げるだろう…この辺の森は庭みたいなものだ」


 治療を受けながらつぶやく父に安堵をおぼえるものの、不安は拭えない。

 賊だって縄張りにする程度の土地勘はあるだろうし、リーフさんの戦士としての姿も知らない…

 不安な気持ちは途切れることは無かった。


 朝になった。

 リーフさんはまだ村には戻らない。

 負けて殺されたんじゃないだろうか?

 怪我で動けないんじゃないだろうか?

 そんな不安に押しつぶされそうになる。でも…今できることは無い。


 「いまさらなんだが…」


 父が包帯の具合を確かめるように腕を回しながら、落ち着いた声で言う。


 「カイザートさんは大丈夫なんじゃないかな…」

 「え?」


 フィーが聞き返す。何の根拠があってそう思うんだろう?


 「チラッと見ただけなんだが…カイザートさん、人と戦うことに慣れている感じだった…」そう言って村の外に続く通りを見る。

 通りに人影が見えた。特徴的な長い剣だろう棒状の影も見える。遠目には十字にも見える影が次第にリーフの姿を映し始める。


 「リーフさん!」


 呼びながらフィーがリーフに駆け寄る…見れば衣服のあちこちに褪せ始めた血の色が見える。


 「ゼムさんたちは?」

 「みんな無事、それより…」


 俺の問いに応えながらフィーはリーフの身体をやさしく触り傷の有無を確かめる。


 「大丈夫、怪我は無いよ。血が付くといけないから…」


 少し、間をおいて言う。


 「よかったぁ…」


 ほっとした…気の抜けた表情のフィー…を残して俺は共同井戸の水を汲み、そのまま頭から浴びた。

 身体についた血汚れを流すためだ。一晩経ち半乾きになりつつあったそれらを綺麗に流しきることはできないが、幾分かマシである。


 「カイザートさん…ご苦労様でした」


 そんな俺に村長が声をかける。


 「大事にならなくて良かったです」


 俺は前髪から滴を落とすに任せたままで応える。


 「皆、大した怪我はしておらんし…まぁ…荷物はなくしたが、生きているだけで良しとせねば…」


 心からの安堵をうかがわせる笑顔の村長に俺は言葉を続けた。


 「そうですね…たぶん…近くを探せば荷物も見つかるかもしれませんが…しばらくは村の外に出るのは控えたほうが良いでしょうね…


 森の獣が血の匂いに惹かれて集まっているでしょうし…」

 森には危険な獣も多くいる。人など簡単に狩れてしまうほどの脅威もある。


 「そうだのぉ…で、どうするかね?」


 村長が訪ねた。

 人として…盗賊ではあるが人を殺したリーフは村に居辛くなる。理由はあれど人殺しには違いない。

 それを問うていることが俺にも解かる。


 「明日にでも村を出ますよ…そうしないと助けられたゼムさんたちにも迷惑がかかりますしね」


 事もなげにそう応えた。


 「そうか…すまんな…」


 村長は俺にそれだけ言うと、その場から立ち去った…



 そして3週間…

 村から日が昇る前に、村の誰にも会うこともなく立ち去ってそれだけの時間が経つ。

 町にようやくたどり着いた俺は必要な補充品…保存のきく食料と消耗品を補充するだけで、次の町に向けて直ぐに出た。

 村…町の区別しかない場所では、村の事件は直ぐに伝わり、結局、居場所がなくなるからである。

 次の町までは徒歩で2週間…先の町よりは規模も大きく人の数も多い。

 噂の伝播は止められないだろうが、どこのだれ?と特定するには至らないだろうとおもう。

 とりあえずの拠点をその町にと思い10日ほど街道を歩いた所でリーフは小さな焚き木を起こし野営をしていた。

 空には満天の星、少し肌寒いが凍えるほどではない気温。時折、焚き木を揺らす風…

 その風に乗って獣の声が流れてくる。

 少しキツメの酒で暖をとり…


 「………」


 風に乗って人の悲鳴が聞こえた。

 元々、軽装での旅路である。俺は手荷物を素早く纏めると声が聞こえる街道を次の町の方向に向かって走った。



 しばらく走ると大きな影が街道に見えた。どうやら荷馬車のようである。

 そして血の匂い…

 歩みを緩め…気配を殺し…様子を確認するために近付いて行くと…どうやら獣の群れに人が襲われているようであった。

 そっと後ろ腰の長剣を抜く…さらに姿勢を低くして息を殺し、近付く。

 こうしている間にも被害者…死者は増える可能性が高いが、獣の群れに単独で斬りこむ無謀は持ち合わせていない。

 夜に慣れ目が利くとはいえ、不利な夜間戦闘を野生の獣に仕掛けるのだ。慎重に過ぎるということはない。

 これでも、本来は全滅するような事態なのだ。助けが入るだけでもマシと思ってもらわなければ困る。別段、俺は英雄譚に出てくる英雄ではないので出来る事と出来ない事がある。

 周囲を確認し、群れの数を数える…5頭の中型の獣だ…野犬か狼か…だろう。

 まだ生きている人の悲鳴と怒声が聞こえるが、それをあえて意識の隅に追いやり、5頭の中で群れのボスであろう1頭を推察する。

 (アレか…)

 少し体格の大きい1頭に目星をつける。幸い、こっちは風下で匂いと足音は群れには届きにくい。

 空いている右手に予備の剣を抜くと…狙いを定めてボスであろう1頭に向けて思い切り投げる。

 俺の手で投げられた剣は遠心力で回転運動を描きながら…


 「ギャンっ!」


 放物線を描いて狙い通りの1頭の背中に突き刺さり…勢いのまま前に向かって1頭を転がすように吹き飛ばした。

 その頃には俺も駆け出して距離を半分に詰めている。

 異変に気付きこちらに振り替える残りの野犬…としておこう。

 にさらに駆け寄ると少し遠間から長剣を横薙ぎに薙ぎ払った。

 当たる距離ではなかったが不意打ちで1頭を殺したことが警戒を生んだらしく、群れは大きく飛び下がった。



 「まだ、生きてるかぁ?」


 少し間の抜けた男の声。突然の乱入者…の問いに応えを返せない。

 野犬の群れの突然の襲撃に護衛の冒険者たちの数人はすぐに殺され、残る数人も自分の身を守るだけで精一杯だった。

 幸いにも父親と私は幌付き馬車の中でじっとしていたので、まだ襲撃はされていないが、野犬の咆哮と生き残った冒険者達の怒声と悲鳴が聞こえていた事から、まだ戦い…という名の狩りが終わっていない事が解かり、震える事も出来ずにいた。

 そんな時に突然、野犬の悲鳴と…生存を問う…場違いな声。

 誰かが援軍に来てくれたようだった。

 そして続いておきる野犬の悲鳴…

 顔も上げられずに震えていると、どれくらい経ったのかは判らないけれど、幌馬車の中に入ってくる影。


 「もう大丈夫だ…」


 できるだけ穏やかに…おびえる娘を宥めるように声をかけた。

 野犬の群れは1頭が逃げたが意味が無いので追おうとは思わなかった。


 「もう大丈夫だ…」


 震えて動けない娘とその娘を抱きかばう中年の男にもう一度声をかけて外に出る。

周囲では野犬に襲われた後始末の最中で生き残りの護衛2人が傷の手当てをしていた。


色々とありまして、中々進みませんでした。

すみません。

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