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8 条約の締結

大広間にて3人の日本人が席に座る

向かいには魔王と幹部の5人が座っていた

「自己紹介いたします。日本国外務大臣の向井と申します」

「おぉ、もう共通語が」

「えぇ、そしてこちらが通訳の市川、そしてこちらが同じく外交官の牧田です」

「通訳ですか。ドラークはしっかり仕事をしているようで」

「はい」

(市川緊張しているな・・・)向井が市川の方を見ると少し体が震えていた

(こっちも緊張しているんだ。相手は人間じゃないし)

「申し遅れました。わたくしルヤマーと申します。こちらは外交担当官のヘルト、今回はすべてわたくしが取り仕切らせてもらいます」

「問題ありません」



(はえ~なんか西洋風みたい)市川が部屋中をぎょろぎょろと見回す

「どうかされましたかな?」

ルヤマーが市川を見る

「い、いえ珍しかったのでつい・・・」


その瞬間ヘルトの中にある考えが生まれる

(なるほど、日本と言う国では珍しいのか・・・文明レベルは我々より下か?)

ヘルトがルヤマーに目配せする

「それではまず条約とやらを」

「はい。我々が求めるのはこちらになります。ご確認ください」

ヘルトが書類を受け取る

「ふむ」

「我が国と貴国の立場について不可侵条約を結ぶこと、そして両国を領域を定めることです」

(質の良い紙だ。ヘルトが触り心地、そしてインクの質などを確認する)

「質問がある」

ルヤマーが手を挙げる

「まず一つ、不可侵条約とは何か?」

「簡単に言えば戦争をしないという事です」

「では両国の領域については?」

「こちらが衛星写真です」


いきなり目の前に出された上空からの写真に6人は衝撃を受ける

「な、なんと正確な・・・」

「元々この地域は我が国の地域です。しかし我々が"妥協"して、この城壁内を貴国の領土と定めたい」

「なるほど、それについては問題ない」

「我々についても」

「なんでしょう?」

ヘルトが口を開ける

「我々はそれらの条件を吞む代わりに食料が欲しい」

「そうですか。しかしこの条約は領土と互いの立場を示すだけの条約です。それにあなた方がどこから来たのか分からないですし、食材が体に合うのか・・・」

「そうです。それに食料をあなた方にタダで売るわけにはいきません。そのための視察の申し出です」

「なるほど。そう言う事なら許可しますし、条約にも締結いたします」

「それではこちらの紙に署名を」


この日、魔王国と日本国の間で基本条約が締結された


「今回の視察を担当させていただくマールと申します」

「外務省の向井です」

「通訳の市川です」

「今回お二人方には街の中を散策して頂くほか、可能であれば食を体験していただくこともできますが」

「それについては今回控えさせていただきます」


しかし向井らが見たのは最悪の光景である

兵士が自分たちの周りを取り囲み、マールを先頭に歩いていく

辺りを見回せば治安の悪い発展途上国のような感じで、ゴミが散乱しあたりにホームレスのような者らがたむろしている。

それに加え、明らかに人間ではない種族が居るため、2人に恐怖が浮かび上がる


「これ、排せつ物などはどう処理しているので?」

「元々は我々国の者が集め、農家に肥料として渡して解決していたのですが・・・」

「なるほどね・・・」


家の隅に排せつ物らしきものが溜まっているのが見え、市川が慌てて顔を逸らす



一方で向井は店や建物をじっくりと観察し、文明レベルや食料と交換できるものはないかと探っていく

この国では金貨、銀貨、銅貨の3つが使われている

物価についても調べる必要がある

そこは文字が読める市川が出店の値札や商人の会話を聞いてチェックしていく


1時間後・・・


「市川さんどうでしたか?」

「む、無理です。そもそも小さなパンを最高硬貨の金貨で取引している時点でもう適正価格が分かりません」

「高すぎて誰も買ってなかったですね」

「向井さんはどうだったんです?」

「いや、無理です。文明レベル、生活水準が低すぎます。何か硬貨の代わりになるものを見つけることはできなかったですし・・・」




「大臣、近江八幡市に駐屯地を作ることで決定したわけですが、予算はそっちが出してくれるんですよね?」

「部隊の編成は補正予算で何とかしてくれ、建設費は予備費から出す」

「分かりました。部隊の編成ですがこちらで勝手に決めても?」

「あぁ、問題ない」



「本日大隊長として任命された上本だ!」

立ち入り禁止区域内に建てられた仮駐屯地内で声を張り上げる屈強な男

元空挺団員であり、その覇気は自衛隊内でも上位だ


陸上総隊に属する特別普通科大隊

本日設立された新しい大隊だ

大まかに偵察中隊、戦闘中隊、普通科中隊の3つの中隊から成る大隊だ

主に禁止区域内の警備と、魔王国とされる国を監視、そして問題に対処するために生まれた部隊だ


「いいか!明日は魔王国と呼ばれる国の使者が我が日本の食文化を体験しに来るのだ!」

「押忍!」

「マスコミや馬鹿が侵入しようとしてきたら即座に撃ち殺せ!」

「いや撃っちゃダメです」

そんな彼に冷静にツッコミを入れるのは川松と言う


米軍との共同演習で圧倒的な力を見せつけ

米兵からはシリアルキラーと呼ばれ、自衛隊内からは鬼、悪魔と呼ばれている男だ

しかし自衛隊内では強いという意味ではない。

クズ、変態なことで有名なのだ

すり寄ってきた女性が逃げ出すほどのクズさ、そして更衣室のぞき見未遂と言う罪がある

しかし自衛隊内では屈指のイケメン、そして圧倒的な実力により許されているのだ


それは上本もよく知っている

「副大隊長になりました川松です。よろしくお願いします」


「よし!それでは解散。各自準備に入ってくれ!」



仮駐屯地内では魔王国の使者らを迎える準備が始まっていた

その様子にマスコミ関係者も何があるのかとソワソワしだす


しかし政府や自衛隊関係者はこれに頭を悩ませることになる












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