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6 言語の解読

「ふぅ・・・」

「大丈夫ですかクナイ様」

「あぁ」

「ならよかった。このスバルビー、彼らを見張っておきます」

「分かった。気を付けてくれ」


「ため込むのは良くないですぞ」

「爺や・・・」

「私はあなたの側近。何とでもお話しください」

「・・・奴らが求めるのは何なのだろう。まだかの国の名前も知らん。どんなものなのかも知らん。私は正直不安だ」

「そのことは今考えることではないでしょう。まずは国の体制をしっかりと整えなければ」

「整える・・・?」

「まず、顔を上げてください」

机に伏せていた彼女は顔を上げる。その顔は疲労に満ちていた

「疲れるのは分かりますが・・・」

「ヤダ」

「は?」

「ヤダ。これは魔王命令だ。こんな仕事初めてだし・・・」


早速魔王の癖が出た

表向きは出来る演技をしているが、裏の顔は面倒くさがり屋

魔王国が人間に攻められる要因にもなった一つだ


彼女はそのせいで部下を統制することができなかった

内政も上手くいかず、境地に立たされていたのだ


こうなった原因は彼女の父親だ

彼が彼女に甘くしすぎたせいで、このような面倒くさがり屋になったのだ

(仕方がない。奴を呼ぶか・・・)


「クナイ様、助っ人を連れてきました」

「ん、助っ人?」

「はぁ~いクナイちゃーん!」

「げっ!?なんでお前っ・・・」

全身をピンクの服で身を包み、耳ピアス、奇抜な髪型をした女のような男

つまりオカマである


「お前っ・・・東に行ったんじゃないのか?」

「う~ん。忘れ物したから戻ってきてたの」

「クナイ様の元教育係であり、内政能力も優秀。これ以上にない逸材ですな。任せましたよベルブルド」

「ぬーっ!いやなんだぁ!」



関西言語大学

大阪府に位置する英語やフランス語、韓国語からアラビア語まで幅広い語学を学べるだけでなく、古代言語の解読など歴史関係の学部もある

日本中から語学の天才が集まる場所でもある


未知言語解読研究部

「こまるよー野中君」

「すみません市川さん」


市川。未知言語解読研究部に所属する学者である

日々解読されていない言語を解読しようとする部なのである

元々は市川が派遣される予定だったが、海外に行っていたため、代わりに野中が行くことになったのだ

「ここからは任せてぇー!!」

「あ、彼の名前はドラーク。建造物のある国から派遣された学者です」

「ほぉー、学者なのか!ほんとか!」

市川がドラークを舐めまわすに見る


ドラークが困惑した表情で野中に助けを求める

「大丈夫ですよ。こう見えても彼は語学の天才。16つの言語を話す、書くことが出来るんですよ!」

そう絵文字にして書くが、上手く伝わっていないようだった

「頑張ったようだね野中君」

「は、はい!」

「野中君は休んでいいよ。あとは私がやるよ」

「え、大丈夫なのです?」

「うん。私に任せて!」

「では、少し仮眠を取らせてください」

「りょーかい」


3時間後・・・


「ペラペラペラ!」

「ペラペラペラ?」

「ペラペラ!」


「ぬあっ!?も、もう話せているだと・・・」

目の前で理解のできない会話が繰り広げられているのを見て驚愕する

「流石は市川さんだ」

「うん?あ、起きたの?」

市川が野中に気づく

「え、えぇ・・・」

「じゃあ、このノート。明日の昼までにパソコンに打ち込んでおいてね」

「は!?」

野中の顔が青くなるのであった


「まずは食料問題からよ~ん」

「籠城戦に備えて1か月分の食料は用意している!」

(1か月分だけしか用意できなかったのが正しいが)

ルヤマーが心の中でツッコミを入れる


「ーーだが、どうするの?」

「え?」

「1か月は持つとしてその後よ~。このまま元の世界に戻っても人間には勝てない」

クナイが拳を握り締める

「じゃ、じゃあどうすればいいの!」

「先ほど接触してきた国。あの国と交流し、援軍を募るのです。勿論それに見合う対価を用意せねば」

「た、例えば・・・?」

「カラダ・・・とブヘッ!」

ルヤマーがすかさず腹パンを1発ぶち込んで黙らせる

(やはりコイツを連れてきたのは間違いかもしれん)



「それでは閣僚会議を始めたいと思います」

菅本総理がまとめ役をする

「まずは外務省から報告してくれ」

「はい。未知の国から派遣された学者についてですが、関西言語大学の学者と言語の解読を進めており、日常的な会話が出来るレベルまで上達しており、このペースであれば1週間もかからないかと」

「それはよかった。官房長官、敵諜報員の状態はどうなっている?」

「まず、アメリカの諜報員については消息が不明です。他国の諜報員が活動しているとの情報はありません」

「奴らは早とちりしすぎだ」

松本大臣がニヤニヤと笑う

「まったくだ。防衛省は?」

「はい。未知の国についての監視は継続中です。しかし現地の隊員の疲労を考えて部隊を増強するほか、現在展開している部隊を交換しようかと」

「それについては問題ない。あとで計画書を提出してくれ」

「了解しました」



「野中く~ん。牛丼屋に行こう」

「え、彼を連れて行くんです?」

「あぁそうだ。あと、俺の名は彼ではない。ドラークだ」

「いや、知ってますよ。というか日本語喋れるようになったんですね」



「歩いていくんですか?」

「ドラークを外に出すわけにはいかないだろ」

「ですよね。テイクアウトにしましょう。私買ってきますよ」

「いや、3人で行くぞ」

「は?」



『緊急事態発生!ドラークがいない。ドラークがいない!』

警備担当の警察官から警備本部に無線が入る

「な、何!?逃げ出したぁ?」

現場は大騒ぎになり

パトカー数両が辺りの巡回を始め、私服警官が付近を手当たり次第に探す

「何という事だ・・・これは想定外だ」

思わぬ事態に警備隊長も開いた口が塞がらない




そのころ市川らは・・・

「牛丼美味いだろ?」

『うむ、市川。美味いぞ。これは魔王様に食べさせるべきだ』

笑顔で牛丼を口に運ぶドラーク

それとは逆で市川の顔が青ざめていく

「・・・?なんて言ったんです?」

「ま、魔王様と・・・言ったぞ・・・」



「居たぞ!」

「見つけた!」

「確保しろ!」

数人の警察官が窓の外から3人を指さす

「ゲッ!」野中は思わず声を出してしまう

ついてきた自分に後悔するのであった





「・・・そうか。市川とか言う学者は中々なことやるなぁ」

『えぇ、そう言う人なのです。彼は』

「まさか牛丼屋とはな。しっかりと監視できなかったお前らにも非があるのだからな」

『は、はい。心得ております・・・それより川口長官、まだ確定ではないのですがーーー』

「そうか・・・それが本当ならとても面白いことになりそうだな」

『えぇ・・・冗談言わないでくださいよ』








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