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4 接触

■防衛省

「松本大臣、接触の準備は整いましたが・・・」

「言語の解析が終わったのか」

「はい。交渉の際は護衛としてレンジャー隊員をつけます」

「特戦群とかつけなくていいのか?」

「それは問題ないかと」



「自衛隊の車が今制限区域内へと入っていきます!」

「あれは外務省でしょうか?数両の高級車が中へと入っていきます」

車列にテレビカメラが向けられる


「山下2等陸尉!部隊の編成が完了しました!」

「そうか」

「LAV4両、一番後ろの車両にM2ブローニング車両、他の3両は5.56mmの軽機関銃で」

「1両に3人ずつで」

「隊長はどうするんです?」

「釜本でいいだろ。あの筋肉馬鹿なら何とかなる」

「りょ、了解です」



「特別隊長になった釜本だ。よろしく頼む!今回の任務は外交官を安全に輸送することだ!心してかかれ」

集合した自衛官らの前に立ち、声を張り上げる釜本

暑苦しすぎてため息が出る


「自衛隊の車両に乗るなんて初めてです」

「大丈夫です。私もです」

捉えた奴らのうち2人だけを連れて、例の場所へと向かう

『全隊員に告ぐ、銃剣を装着し戦闘に備えろ』


カチャッ、ガシッ

89式小銃を準備する音が車内に響く

野中は不安そうにしている2人とコミュニケーションを取る

まだ名前を聞き出すことはできないが、牛の奴、何かフード被った黒い奴(フード野郎)


「ついたぞ野中。彼らを外に出してくれ」

「はい」

野中が絵文字を見せて交渉するように伝える

しっかり伝わっているのかは知らないが・・・


「おい、何かきたぞ!」

「ま、魔獣か?」

城門の上から監視していた兵士が車列を見て慌てる

「あれは!!」

彼らの目に入ったのは斥侯部隊として出発し消息を絶った魔族の内の2人だ


「魔王様!大変です」

外の景色を見ていたクナイは敵対勢力が攻めてきたのかと、不安になりながら何があったのかとたずねる

「な、何!?斥侯部隊のうちの2人が現地勢力を連れて帰ってきただと」


クナイは驚きのあまり後ずさる

「ど、どうしましょう。城へ招き入れますか?」

「も、勿論!通して」



ガラガラガラと城門が開く

街の住民は何事かと外を見る

4台のLAVは彼らから見たら魔獣に見えただろう


ザッザッザッ・・・


「あれは・・・ゴブリン・・・?」

目の前に現れた軍勢に若干警戒しながらも、その様子を観察する

牛とフードの2人が野中に安心しろとの旨を説明する


2人が彼らの前に出て、何かを話し始める

野中はそれを解読しようと試みる


「無理だぁ・・・」

「あぁ~そう落ち込まないでくださいよ」

外交官の山岡が野中を励ます


牛の奴が野中のところに戻ってきて、絵文字でついてくるように伝える

「ついてこいと」

「分かった」

釜本が全車に発進するように伝える

『その間武装は解くなよ』

「了解」


「・・・物騒だな」

野中が無線を聞きながらそうつぶやく

「仕方ないですよ」

運転している自衛官が野中の呟きに反応する


「思ってた異世界と違うなぁ・・・」

「なんか汚い感じがするよな」

城下町はよくある異世界モノである、きれいで西洋風の街並みかと思ったが、何か汚くボロボロである


数分立って、再び大きな城壁が目の前に入る

「これが見えた大きな建造物か」


「うっ・・・」

2度目の城壁をくぐると一気に空気が重くなる

ズーンとした重みが自衛官の体調を一気に悪くする

「なんだこれは・・・」

すると牛とフードの奴が外に出ろとジェスチャーで伝える


「山岡外務官、我々は武装したままでいいのでしょうか?」

「う、うーん。問題ないのでは?」

山岡が野中の方を見る

「い、いやぁ~。特に問題はないと思いますけど」



「俺と数人、外務官らの護衛の隊員のみついていく」

「了解です。他の者はここで待機しておきます。いつでも逃げれるように」


自衛官らの周りを人間ではない別の種族の兵士らが囲む

いつでも発砲できるように自衛官は引き金に指を掛ける


暫く進んだところに大きな扉が現れる

「これは・・・」

両サイドに巨人のような兵が立っており、警備は厳重だ

ガガガガガ・・・

重い扉が開き始める


窓から眩しい光が差し込める

眩しいと自衛官らが手で光を遮る


「なっ・・・」

その先に居たのは、玉座に座る1人の女、いや少女

その横にはかなり年おいた男がこちらを睨みつける



※魔王側は『』で日本語で表しますが、外務官や自衛官には全く分かりません。



『よく来た。そして斥侯役の2人もよくぞ無事であった。そちら方はなんだ。あとの2人はどうしたのだ』

『ははっ。彼らは高い文明を持っている人間です。絵文字で会話できるほどの知能も持っております。転移前の世界と違うのは魔力が無いこと。簡単に支配できるでありましょう。ですが残りの2人はまだ閉じ込められております』

『そうであったか。そちらの国の使いの話を聞こうではないか』

それを聞いて牛の者が野中から紙と鉛筆を借りて、そこに書き始める

「挨拶しろと言う意味か」

野中が山岡に伝える

「日本国外務省の山岡と申します。本日は我々を歓迎して頂き大変光栄であります」

それを野中が絵文字で挨拶していると告げる

『そうか。挨拶しているのか。魔族に友好的で助かったな。この世界のことについて聞いてくれないか?』

「この国のこと・・・か?」

山岡が紙に日本地図と、城の絵を琵琶湖のところに書く


『なるほど』

牛の奴が魔王に絵を見せに行く

『島国と言うわけか。珍しいな』

クナイはその絵を興味津々に見る

『なるほど、彼らは我々と仲良くしたいのか・・・だが我々と奴らは会話できないのだろう?』

『しかし、彼らは我々の言葉で挨拶できるまで成長しています』

『そうか。残りの2人の返還と言語解析のために本好きのあいつを派遣すると伝えろ』



「菅本総理、作戦成功です。彼らの長と接触が叶いました」

「そうか!どうなった」

菅本が身を乗り出して外務大臣の井原に聞く

「彼らは残りの2人の返還を求める代わりに、言語に詳しいものを派遣するとのこと」

「そうか。直ぐに準備してくれ。とりあえずこれは外務省に任せる」

「了解しました。総理」


「総理、それよりも・・・」

菅本の顔に力が入る

「あの件か」

「はい。我々公安警察がしっかりと目をつけております。現地の機動隊にもしっかりと忠告しておりますので」

「よろしく頼む川口長官」

「はっ。お任せください」


日本と魔王国の接触は無事に成功で終わるのだった






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