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瑠璃光の復讐者(リベンジャー)~両親を悪徳貴族に殺され、妹と生き別れになった僕。運命の出会いをした美少女と共に機械巨人を駆り、世界を救う!~  作者: GOM
 第二部 僕は世界を救いたい。

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第44話(累計 第90話) 悲劇の真実。

「ここに播種(はしゅ)移民宇宙船団の母船があるんですか、プロトさん」


「ええ。わたくしは、この船から墜落時に脱出しました。最近でも時々は見に来ては、防衛している無人ギガスに追い払われてましたの。あ、見えてきた。あの『塔』がそうね」


 今、僕らはこの世界「オデッセア」。

 その北極上空をヴァハーナで飛行している。

 雲一つない蒼穹、地面は氷結した白い砂漠。

 地上で見るよりも、ずっと遠くまで地平線は伸び、丸みを帯びている。

 そんな中、遠景に何かが見えた。


 ……ヴィローとかに教えてもらっていたから知ってたけど、本当に世界(惑星)って丸いんだなぁ。


「すっごい! エヴァおねーちゃん。あれ、遠いから小さく見えるけど、ものすごく大きいんだよね?」

「多分。地球人類ってあんなものを宇宙(そら)に浮かべていたのね」


 氷に覆われた大地、そこにあるクレーターの中心にまるで塔のように突き刺さり立っている人工物。

 ヴィローの観測によれば、全長数キロは下らない様だ。

 そして、塔の周囲には「何か」が飛翔している。


「おにーちゃん。わたし、頑張ってみるの」


「リリ。君に何かあったら、皆悲しむんだ。だから、くれぐれも無理はしないで、皆の力を借りるんだぞ」


「そうよ、リリちゃん。わたしだけじゃなく、レダちゃん、アルクメネちゃん、そしてプロト姉さまも一緒なんだからね」


「うん!」


 僕は操縦をヴィローに任せつつ、数日前にマザーさんから聞いたことを思い出していた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


【トシ様。よくぞご無事にお勝ちになられました。その上、プロト00まで無事に確保なさるなんて】


「いえいえ。マザーさんがアカネさんと一緒にヴァハーナを届けてくれたからです」


「ここがリリちゃんの居た宇宙船ね。なるほど、こんなところに埋まっていたから、わたくしでも発見できなかったのかしら。マザーさん。貴方には、わたくしも聴きたいことがいっぱいありますわ」


 僕らはヴィローらの修理、及びプロトさんの確保をマザーさんに報告に行った。

 その際、プロトさんまで一緒に連れて行ったのは、彼女自身が自分が負けた理由を知りたかったから。


 ……元から、逃げる気ならいつでも逃げられたのに、プロトさん。結局、ずっと伯爵家から逃げなかったんだ。で、いつのまにか地下座敷牢じゃなくて、普通の部屋を貰って優雅にしているのは、貫禄が違うのか、ただの食いしん坊だったのか。


 いくどもプロトさんとは食事を共にしたけれど、案外と美食家で健啖。

 実は甘党でお酒なんて呑めないのを知って驚いたのは、アルクメネさん。

 身近にいたのに、彼女にも気が付かせなかったと、後で僕やリリに愚痴っていた。


 ……目の前で蒸留酒を呑んでいるふりをしていたのに、実は只のお茶だったのは爆笑だったよ。


【プロト00。いえ、プロト様。貴方の来訪を歓迎いたします。ヴィローを通じて貴方の事を色々教えて頂きました。地球人類が行った悪魔の所業。私もその一環として生み出されましたが、貴方の苦悩は察してあまりあるものでした。代わりに私が謝罪を……】


「いえ、良いわ。貴方だってわたくしと同じ様な存在。わたくしの様に捻くれるでもなく、リリちゃんを健やかに育つ相手に託したのは、とても機械知性(AI)とも思えない母性。わたくしが勝てなかったのも納得ね」


「そーなの。マザーさんのおかげで、わたしはおにーちゃんと出会えたんだもん!」


 マザーさんの端末な小型ギガスに対し、二人の美女が微笑み合う。

 実に良い風景だ。


「トシ。確かにずっと見ていたい風景なのは理解するけど、聴きたいことがあるんでしょ?」


「あ、そうだった。いつもツッコミありがと、エヴァさん」


「いえいえ。バカップルな貴方たち、それに一人でアホな事を考えて馬鹿していた姉を導くのもわたしの役目ですからね。うふふ」


 姉妹が仲良さそうにしているのを微笑みながら見ているのはエヴァさんも同じ。


「え? わたくしもリリちゃんと同じくエヴァちゃんのお世話になるのかしら?」


「そうよ、プロトお姉さま。貴方も一人にしておくと、碌な事を考えないから怖いわ。もう、貴方は一人じゃないの。アダムくんもいるんだし、わたし達も一緒。だから、慌てて間違った事をしないでね」


 ノルニル姉妹の中、唯一の突っ込み役。

 エヴァさんは案外と豊かな胸を逸らしてドヤ顔。

 僕は、そんな姉妹漫才に笑ってしまった。


「さて、マザーさん。リリと最初に出会わせてくれた時、貴方はリリを何処か、確か移民船団の母船に連れて行ってとおっしゃってました。また、ブラフマンはリリが『鍵』だとも言ってました。それはどういう意味なのですか?」


「ええ、わたくしもそれを知りたかったのです。わたくしは、母船も含めて多くの遺跡宇宙船を調査しました。殆どは機能をほぼ停止しており、妹たちを救うのがやっとでしたから。わたくしが初めて生きた船の知性体にあったのは、今回が初めて。教えて頂けますか? 母船が今も生きているのと、リリちゃんが『鍵』という意味を?」


【今の貴方がたになら、全てをお話できます。プロトさん、貴方はこの乾いた星に移民播種宇宙船が落ちてきた理由を知っていますね】


 マザーさんは操るギガスの眼を明滅しながら話し出した。


「ええ。わたくしが落としたのですもの」


【正確には違いますね。貴方はきっかけを作っただけ。落としたのは愚かな船長ら。争いあった指導者たちです。貴方は悪ぶる必要はないのですよ】


「う。うう」


 プロトさんは、マザーさんに言い返されて狼狽えた。

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