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瑠璃光の復讐者(リベンジャー)~両親を悪徳貴族に殺され、妹と生き別れになった僕。運命の出会いをした美少女と共に機械巨人を駆り、世界を救う!~  作者: GOM
 第二部 僕は世界を救いたい。

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第19話(累計 第65話) アダムとプロト。

「プロトお姉さま。ご報告がありますの」


「何かしら、アルクメネ。レダ04の事かしら?」


「ええ。予想されていた中で最悪の結末ですわ、お姉さま。レダに貸与しました神話級ギガス『デーヴェーンドラ』が撃破されました。その際、搭乗していたカレリア民主労働党の中央委員長、ラザーリ・イグレシアスは操縦時の精神汚染に耐え切れず、精神崩壊。レダ共々に共和国軍に生きて捕縛されましたの」


 何処か分からぬ暗い部屋。

 情報モニターからの灯りのみに照らされた美女、ノルニルシリーズの長女プロト00は、妹アルクメネ03からの報告を琥珀色な酒を優雅に飲みながら報告を受けている。


「で、倒したのはトシミツ・クルスが駆るヴィローチャナかしら? これでトシの元に三人のノルニルシリーズが揃ってしまった事になるのね」


「はい、その通りです。更に、貸与機体も胴体部分が破損少なく鹵獲されてしまったので、新たな機体の強化部品にされる可能性もあります」


「あら、困った事ね。倒されるなら機体全部が失われると思っていましたのに、機体中枢とレダをトシが手に入れてしまった。確かに想定外ね。お人好しが動くと、こちらの予想をことごとく外してくるわ」


 口では困ったと言いながらも、笑みを絶やさないプロト。

 琥珀色の酒を楽しみつつ、モニターに写されたとある映像から視線を離さない。


「とりあえず、カレリアからノルニルシリーズを急ぎ引き上げ済み。情報漏洩の可能性もありましたので、ノルニル育成施設『ゆりかご』から人材と資材を全て移動させました」


「それでいいわ。念の為に『ゆりかご』にトラップを仕掛けておいてね」


「はい。既に地雷や自爆装置などトラップを設置済みですわ」


「結構。流石ね」


 淡々と業務をこなすアルクメネ。

 その答えに満足そうな笑みをプロトは返した。


「でも、多分トシは『ゆりかご』には直接来ないと思うの。あの子達、妙にカンは良いですから。今後、どうしましょうか? あの子達がいる陣営に力が集まり過ぎるのは人類のバランス上に悪いわ。わたくし達ノルニルシリーズこそ、人類を影から支援し操る存在ですのに、トシが人類の希望となるのは不味いですの。本当の希望は『この子』ですのに……」


 なおも、モニターから、目を離さないプロト。

 彼女にとって、目の前の些事よりもモニターに映し出された存在の方が気になる様だ。


「アダム様がお気になられるのですか、お姉さま」


「ええ、そうなの、アルクメネ。わたくし達は姉妹は全て女性。今はプラント経由で姉妹(量産型)たちしか生み出せませんが、それでは将来先細りになりますの。かといって、今更ただのヒト男性から精を授かるのも違いますわ。わたくし達は尊きヒトの上位種。地球人類の思惑通りにヒトに抱かれてまでして無理に命を生み出す必要はありませんですの」


 プロトの視線の先。

 モニターに写るは、有機玻璃(ガラス)の円柱の中。

 輝く液体の中、夢うつつの表情で漂う子供が居た。


 身長が140センチ程度。

 年恰好は十歳くらい、肋骨の形が分かるくらい華奢で純白の柔らかそうな肌をした肉体。

 すらりとした中性的な肢体、長い耳と淡い琥珀色の髪は姉妹(ノルニル)たちと同じ。

 しかし、他のノルニルシリーズとは腰付近の骨格が微妙に異なり、胸は一切ふくらみが無く、股間には女性ではありえないものが存在する。

 まだ幼く体毛も一切ない、一口サイズの腸詰めのような可愛い外性器が。


 そう。

 そこに眠るは、幼き姿成れど紛れもなき男性。

 ノルニルシリーズにあって、珍しき少年体であった。


「この子こそ、ノルニルの希望。わたくし達の王様。アダムが目が覚めるには、もうしばらくは時間が必要なの。その時間を稼いでくれないかしら、アルクメネ」


「はい。では『彼女』を使用しては如何でしょうか? 彼女自身、トシとは因縁浅からぬ関係と聞いております」


「彼女とは、数年前に戦場で拾った女性傭兵だったかしら?」


「はい。彼女を死亡直前に回収し、救命と精神支配を兼ねてサイバネ手術を行っています。今は、わたし共の先兵として各地で戦ってもらっていますわ」


 クスクス笑いをしながら悪意のある提案をプロト()に行うアルクメネ。

 トシを精神的に追い込めるだろう提案にプロトも黒い笑みを浮かべた。


「では、この場に彼女、デイアーナ・パドレスを呼んでくださいな。彼女には神話級ギガスを授けましょう」


「はい、お姉さま。あと、先日のカレリアから撤退時に勝手についてきた馬鹿な男はどうしましょうか? あまりに見苦しいので、こちらで処分しますか?」


「そいつも使い道はあるでしょう。変態ではありますが、人材を扱う才能はあるようですし。ついでに、私の前に連れてきてください。では、宜しくお願いしますね、アルクメネ」


 アルクメネが部屋を去った後。

 モニター上に写る、眠る美少年を頬を染めながらうっとりとした顔で眺めるプロト。


「ああ、アダム。貴方が全ての希望。早く眼を覚ましてくださいませ。貴方の最初の女性はわたくしですわよ」


 ノルニルシリーズの長女は、新たなる夢を見る。

 アダム少年の元、新たなるノルニルシリーズを生み出す。

 そして、彼女達の力で人類を支配し、更に高みを目指す。

 いずれ、自らを勝手に生み出して宇宙に捨てた地球人類への復讐を果たすために。

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