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瑠璃光の復讐者(リベンジャー)~両親を悪徳貴族に殺され、妹と生き別れになった僕。運命の出会いをした美少女と共に機械巨人を駆り、世界を救う!~  作者: GOM
 第二部 僕は世界を救いたい。

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第17話(累計 第63話) 哀れなる雷帝の最後。

「はぁはぁ。流石にこれでアイツは死んだよね。ママぁ、機体状態はどうなの?」


「……。は、はい、ラザーリ様。魔力残量(マナプール)は残り三分の一。機体各部の表面が融解。関節可動部に異常あり。また、雷撃の元であります積乱雲も消滅しました。いくら雷撃に耐性があっても、無茶な攻撃でしたわ。これで敵を撃破できていれば良いのですが……」


 晴れ渡る夜の空高くに浮かぶギガス。

 先程まで上空で渦巻いていた積乱雲を全て使い、自らをも巻き込むような最大級の雷撃を繰り出した神話級機体デーヴェーンドラ。

 赤褐色の機体各部が溶け、高熱による蒸気を上げている。

 また機体前方。

 ヴィローチャナが居たあたりは、濃い蒸気で覆われていて中を見ることが出来ない。


「あれをマトモに喰らえば、耐性がない機体は溶けるに決まってる。この蒸気は、愚か者の機体が溶けたものに違い無いよ。ハハハ。神話級ギガスをも倒したボクらこそ、世界最強。もう、これで誰もボクらを止められないんだ。ね、ママぁ」


 高笑いをして自らの勝利を疑わないラザーリ。

 彼が幼児退行をしつつある状況に、レダは顔を悲しみに歪めるも必死に情報支援を行う。

 しかし次の瞬間。


「なにぃぃ!」


 ラザーリは、驚愕の大声を上げた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「おにーちゃん、今!」

「トシ。チャンスよ」

【マスター!】

「ここだぁ! 十文字斬り!」


 雷撃を受ける直前、機体全体を覆うくらいの巨大な水球を生成させたヴィロー。

 大量の水が蒸発することで、雷撃の直撃と高熱から機体を守った。

 後は、大技の後の隙を突くだけだ。


「ぐわぁ」

【オノレェェ!】


 蒸気の壁から飛び出したヴィロー。

 一気に二本の赤く輝く高周波刀を振り払い、デーヴェーンドラの胸部装甲に深く「X」の傷を付ける。


「追撃だぁ!」

【はい、マスター!】


 怯んだ敵へ、更に赤熱の斬撃を繰り出すヴィロー。

 一撃ごとに、デーヴェーンドラの装甲に傷が深く付いて行く。


「この雑魚ガキがぁぁ!」


「きゃぁ」

「リリちゃん、しっかり」

「くぅ。ヴィロー、空中姿勢制御を」


 接近戦でこれ以上ダメージを受けるのを嫌った敵機。

 爆裂火球を眼前に召喚し、それを爆発させることで間合いを遠ざけた。


「ママぁ。ここは一旦、逃げるよぉ」


「逃がすかぁ。ヴィロー、全方位(オールレンジ)攻撃だぁ」

【御意、マスター、空を駆けよ、我が腕!】


 爆風で吹き飛ばされ、剣の間合いから離されたヴィロー。

 それを見て逃げる算段のデーヴェーンドラ。

 しかし、僕とヴィローは敵を逃さない。

 二対四本ある副腕を切り離し、ロケット推進で飛ばした。


「なんだぁ!? う、腕が飛んでくる!」


「切り裂け、ヴィロー。敵機の手足、スラスターを全部壊すんだぁ!」

【御意】


 有線で飛ぶヴィローの腕。

 逃げ惑う敵機を囲みこんで襲い、鋭い指先は敵を容赦なく抉る。


「ど、どうして! ボ、ボクが負けるんだぁ。ママぁ、ママぁ」

「ラザーリ様ぁ」


 敵機から、若い女性の声が聞こえる。


 ……やっぱり、リリの姉妹が乗っていたんだ。殺さずに倒すぞ!


「このままトドメ! 二刀両断!」


「うわぁぁ!」


 動きが止まった敵機、デーヴェーンドラのコクピット下。

 下腹部に二本の刀を一気に振りぬいたヴィロー。

 二刀の攻撃を受けた敵機。

 切断面を赤熱させ、上下真っ二つになった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ラザーリ・イグレシアス。早くコクピットを開放し、そこから出てきなさい。今なら貴方の命は保証します」


 上空から墜落していく達磨状態のデーヴェーンドラを受け止め、そのまま地上に降ろした僕ら。

 今は少し離れた場所から、降伏勧告をしている。


 ……既に敵機の手足や飛行スラスターは欠損。念のために着地後、機体の頭部を切り飛ばしておいたから、これで何も出来ないはず。


「おにーちゃん。あの人、出てくるかなぁ」

「出てこないなら、攻撃をもっとするだけね。あまりしたくはないけど」


 二人の乙女は、これ以上の攻撃を躊躇する。

 そこに自らの姉妹が乗っているのなら、そう思うのも自然だ。


「降伏勧告です。早く出てきなさい。もう、貴方がたに逃げ場所は無いです!」


 機能を失ったコクピットには聞こえないかと思い、僕はもう一度大声で降伏勧告をした。


「くそぉ、くそぉ。どうして世界はボクを裏切るんだぁぁ! 母さんも父さんも。そして、今度はママもぉ」


 パカンとコクピットハッチが吹き飛ぶが、誰も出てはこない。

 しかし、大声で子供の様に泣き叫ぶ男がそこに居た。


「ラザーリ様。今は一旦降伏しましょう。ここで死んでしまえば全て終わりですの。向こうにはわたしの姉妹も居ます。彼らが命を奪わないというのなら、絶対に大丈夫ですわ」


「だってぇ。だってぇ。ボク、ボクはね。ママ、レダとはもう離れたくないよぉ。捕まったら、絶対に一緒には居られない。ママ、ママ。ママぁぁ!」


 慰める女の子に対し、ママと叫ぶラザーリ。


「これって……」

「可哀そうに。機体に呑まれてしまったのね」


 そんな様子に、リリもエヴァさんも声が出ない。


「これは一体? 何が起きたんだ?」


【マスター。恐らくですが、元々精神的に不安定なところに、神話級ギガスの制御という極度な精神負担が重なり、精神崩壊をしている可能性があります。機体制御には操者(パイロット)との精神接続を行いますが、それに耐えうる資質がないものには負担が大きいのです】


 ……そういえば、以前。師匠から聞いたことがあるな。心が強くなければギガスに呑まれるって。こういう事か。


【A級くらいまでなら、精神崩壊するまでの精神負荷は無いのですが、神話級ともなれば負担は強大。私の場合は、マスターとの相性が良いのと制御負担の半分は私が受け持っています。更にリリ姫やエヴァ姫がいれば、各自の負担は少なくなります。それでも心弱い人が乗ればD級であろうとも、欲望と力に呑まれて機械魔獣になってしまう可能性は十分にあります】


 僕らは泣き叫ぶ「幼子」を前に絶句してしまった。

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