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9.使い魔さんはガチャを思い出す

 

「ガチャを引きましょう!」


 ゴブリンに恐怖を植え付けられていたヘルガの休養に丸三日を費やし、復活したヘルガが勢いよくテーブルを叩いて宣言する。

 その手にあるのはスポットを購入して手に入れた魔法陣ガチャチケット。


「おお! そういえばスポットを買った特典で付いてきたのがあるんだったな」


 ゴブリンの脅威にすっかり忘れていたが、ヘルガの本来の目的はシークレットモンスターガチャだったな。


「はい! そうですよ! 間引くのなんて私達がするのではなく召喚したモンスターにさせればよかったんですよ!」


 確かにその通りだ。

 さすがはヘルガ。ない胸を誇らしげにするだけのことはあるな。

 じゃがヘルガは我の使い魔じゃよな?


「…… なにか失礼なことを考えましたか?」

「気のせいじゃ。しかし生半可なモンスターではだめじゃな。なにせ我のブレスでも一部しか焼きはらえなかったし」


 先日、生贄にされたヘルガがぐずったために仕方なしに我も扉から顔を出し十分ほどブレスを吹いてみたのだが数だけを見ると全然減ってる感じがせん。

 焼けたゴブリンも大して美味くなかったしな。いや、ゴブリン自体が大して美味くないんだが。おやつにもならん。

 一体一ならば確実に勝てるものじゃろうが数で押されたら負けはせんがストレスが溜まりじゃな。まさに数の暴力。

 正直、今の我のダンジョンはゴブリンの支配下にあるような状態だからな。


「ふふん! 私のLUCKを舐めないでいただきましょう!」

「微塵も信用できんぞ」

「な、なぜですか!」


 即座に否定の言葉を返した我に抗議があるらしいヘルガがすぐさま噛み付いてくる。

 自分の部下を悪く言いたくはないがヘルガの運のなさは筋金入りだ。じゃんけんで子供に二十回連続で負けてたからな。二十一回目で勝てたのは子供に憐れまれて子供の方が後出しで負けてくれてたからに過ぎない。下手をすればひたすらに負け続けたかもしれん。


「そもそもそういう楽しそうなのは我がやるべきだろう!」


 魔法陣ガチャなどそうそうやるものではないからな。

 魔法陣ガチャは一番上がSS、一番下がCランクのモンスター、その下が粗品が当たるというガチャだ。特殊な魔法陣からモンスターを召喚するためダンジョンマスターからは人気のガチャだ。

 ガチャを回してダンジョン経営をするダンジョンマスターもいるらしいからのう。


「私がやるんです!」

「ヘルガ、お前のLUCKでは精々スライムナイトくらいしか呼べんだろうよ。いや、下手したらポケットティッシュじゃ!」

「わ、私をバカにし過ぎじゃありませんか⁉︎」


 ちなみにスライムナイトは魔法陣ガチャの中では一番ランクの低いCランク。しかもその中で一番弱い魔物である。出たらみんなにため息を疲れるような可哀想なモンスターだ。更に言えばポケットティッシュは粗品でめちゃくちゃ出るハズレ枠じゃ。


「仮にだ、仮にスライムナイトじゃなかったとしてもじゃ!」

「マスターの中で私のLUCKはどんだけ低いと思われてるんですか!」


 無論、最下層。と言ってやりたいがさすがに傷つきそうだからやめておく。


「スライムナイトじゃないとしてもヘルガが引くのは絶対にCランクのモンスターじゃ!」

「断言した⁉︎ 断言しましたね! だったらその評価を覆して差し上げます!」


 ヘルガは手にしていた魔法陣ガチャチケットを天高く掲げ、さらにはそこへ魔力を流し込んでいく。


 《引くのじゃ》


 魔力を流し込まれたことによってヘルガの頭上に巨大な魔法陣が現れ、声が空から落ちてくる。おのれ! 我が引こうとしていたものを!


「ガチャ神さまガチャ神さま、運のない私に幸運を!」

「認めてるの⁉︎」


 ガチャの神様であるガチャ神さまに祈りを捧げるヘルガを見て思わずツッコミをしてしまった。

 そんなことをしている間に魔法陣は魔力を放ち徐々に青色、赤色、金色と変わっていき、


「きませぇぇぇぇい!」


 ヘルガの珍しく気合の入った叫びと共に最高レアである虹色へと変わったのじゃった。

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