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6.ドラゴンさん、おバカであることが露呈する


「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 森の中を最強種のドラゴンである我の雄叫びが響き渡る。

 鳥は止まっていた木から慌てたようにして飛び立ち、昼下がりの昼寝を楽しんでいた動物や野生のモンスターたちも慌てたようにして飛び上がり森の中を駆け巡る。

 さすがは我の咆哮。

 あっという間に森の生き物達はパニック状態だ。

 うむ、人化の首輪を付けられドラゴンの姿を封じられてもいても我は人型でも強いからのぅ!

 さすがにパンツ一枚で外に出ようとしたらヘルガの奴に止められたから黒いワンピースを着ておるがな。


『マスター森の生き物達の誘導は順調ですか?』


 森の中を歩いている最中に魔法、念話の力によりヘルガの声が我の頭に直接響く。

 この念話はなんか頭蓋骨を叩かれているような感覚になるからあまり好きにはなれんのだが便利なのは認めるしかあるまい。


「うむ! 我の咆哮で森の生き物達は逃げ散ったぞ」

『はぁ、相変わらずのおばかマスターですね』


 ん? なんで言われた仕事をこなしているのにこんな言われ方をしなけりゃいかんのじゃ?


『マスター、私がして欲しいのはダンジョンへの生き物の誘導です。逃げ散らかしたいわけではありません。すでにマスターのゆるい頭では覚えていないのかもしれませんがDPはダンジョンの中に生き物を導いて初めて発生するのですよ』

「むぅ」


 まるで我が物分かりが悪いような子供のような言い方ではないか。確かに人化した我は見た目は完全に人間の幼児のような姿をしているがそんなことくらいわかってるぞ?


『ではマスター。どのようにして逃げ散った生き物達をダンジョンへと誘導するのか案を教えてください』


 ヘルガの奴め。頭に響く声の感じからし「どうせ何も考えていんだろ? あぁん?」という感じがバレバレじゃな。

 だが! 今日をもってして我が脳筋というのを改めるがいい!


 無論、策はある。そにためにいつもなら寝ている時間に今日は早起きして森の中を彷徨い歩いたんじゃからな。


『ほほう? 聞きましょう』


 この森の至る所にあるものを設置しておいた。あれにかかれば逃げ散った生き物供もダンジョンの入り口を目指すことだろうよ!


『ほほう! その自信からしてモンスターでも配置しましたか? ようやくマスターもダンジョンマスターとしての自覚が芽生えてきたようですね』


 どことく頭の中に響くヘルガの声は嬉しそうなものである。

 ならば聞かせよう! この脳筋改め賢きドラゴンことオリビアの策を!


『うむ、おそらく森の生き物達が逃げるであろうルートに看板を設置したからな!』

『は?』


 そう、我が追い込みをかける前に設置しておいたもの。それはダンジョンへの道筋を詳細に記入しておいた看板だ。あれを見ればどんな輩であろうとも容易くダンジョンへと辿り着くことじゃろう!


『……』


 さらに描いた地図はいずれ我が自身の手で美少女人形を作るために血の滲むような努力をして得た技術で書いているためかなりリアルな代物じゃ。


『この……』

「ん?」

『このバカドラゴンガァァァァァァァ!』

「ぴゃぁぁぁぁぁぁ⁉︎」


 意気揚々と歩いていた我だったがいきなり怒りの波長を帯びた念話を叩き込まれたために驚き、姿勢を崩し地面を転がる羽目となった。

 我の子供のような体は転がったことにより、地面にあった小さなくぼみに嵌り、あっという間に泥だらけになってしもうた。


『いきなり頭に強い念話を飛ばすな! ドラゴンでも痛いんじゃぞ!』


 なにせ念話は魔力の塊のようなものじゃからな。

 それを強い意志を込めて送られるとそれなりの痛さになるわけだ。


『だまらっしゃい! ダメドラゴンが! 知能の低い生き物やモンスターがそんなの見て理解できるわけないでしょ⁉︎ やるなら落とし穴とか罠を張ってくださいよ! そうすればダンジョンに連れ帰って殺せばポイントが入ったのに!』


 …… こいつ天才か⁉︎

 いや、さすがは我の部下と言うべきか。

 ならば今から捕獲するか!


『とっくにどこかに行きましたよ!バカドラゴン!』


 なぁ、本当に我の部下はひどくないだろうか……

 またバカって言われたし。


『やっぱり転職しようかなぁ……』


 やめろ! 生々しいじゃろうが!

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[一言] おバカだったのですね。
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