58.ドラゴンさんは街に行きたい
「というわけで街に行きたいのじゃ」
フィンブルス姉様は謎の抗議のような尻尾による乱れ打ちをし、我があまりの痛さに動けなくなった後に自分のダンジョンに帰っていった。一体なんじゃったんじゃ?
そんな姉様が帰った後に我はダンジョンのモニタールームにいるヘルガとスピアに相談したのじゃ。
街の話を聞いたら最近読んだ漫画でもダンジョンマスターが街に行って色々やってたしな。黒幕ムーブとかいうやつじゃ!
ちなみにジョバンは意外と有能じゃったので書類仕事に埋もれておる。しかもゴーレムを作って操る魔法まで持っておったから人手不足も多少は改善されるという思わぬ副産物まであった。ゴーレム、有能すぎる。
おかけでダンジョン運営はかなり楽になった。その代わりジョバンの顔色はかなり悪くなっているがな。
なんか回復ポーションでも渡した方がいいかもしれんな。
「ご主人、私も街に同行を希望します」
「マスター、私も行きたい」
スピアは機械族ぽく淡々と、ヘルガは元気よく手を挙げて行ってきた。
「何しに行くんじゃ? 我はちょっと街を見たいだけなんじゃが?」
姉様が言ってた戦争? そんなものは人同士で勝手にやればいいのじゃ。我には関係ないし? もし我に取って不快なことがあればドラゴン、怒っちゃうし!
「もちろんわかっています。クズ人間どもの街で情報収集を行うのでしょう?」
「え、そのまま街を潰すんじゃ…… なんでもない」
ヘルガ、お主は頭を使うのが仕事ではなかったのか?
ジョバンに仕事を押し付けて楽しとるんじゃろ!
……そんなにストレスが溜まってたのじゃろうか。もしかして、ストレスからあたまが禿げてたりするんじゃろうか? 勇者族でもストレスで禿げるらしいし。いや、そもそも勇者族は脳筋が多いという話じゃし深く考えてないだけかもしれん。
「なんでマスターは私をそんな哀れなものを見るような眼で見るんです? あとなんでそんな頭を見てくるんですか?」
「いや、辛かったのかと。はげたりしとらんか?」
「何の心配してるんです⁉︎」
「ヘルガ先輩。機械族の人口毛なら抜けませんよ?」
「スピアまでなに⁉︎」
お主の頭の心配じゃが? とは心の中では言えるが口では言えん。言ったら絶対に刃が向かってくるし。
今思えば脳筋にダンジョンの管理なんかさせるのが無理じゃったんじゃろうなぁ。
そしてスピアよ。いつも無表情なのに本気で心配そうな顔をするでないわ!
「冗談はさておき、ご主人。私は敵情視察もとい市場確認に行きたいのです」
「市場確認?」
「はい、街での流行の武器や防具を確認して近々導入予定のダンジョンの宝箱に入れようかと思いまして」
「おお、宝箱!」
今まではDPが無くて魔剣くらいしかいいアイテムがなかったがついにダンジョンと言えばと言われる宝箱を置けるわけじゃな!
これで冒険者を見るのが楽しくなるというものじゃ。
「そうやって街の経済を少しずつ切り崩していくのです。ふふ、愚か者どもめ。いずれはダンジョンなしにには生活できないようにしてやります」
怖い、スピアが怖いのじゃ。
経済的に切り崩すってどうやるのかわからんがなんか怖い!
「で、ヘルガはなんで街に行きたいんじゃ? 滅ぼしに?」
「ち、ちがいますマスター」
めちゃくちゃ目が泳いどるんじゃが?
絶対に街に攻め込むと勘違いしよったな。
「私はただ外に出たいだけです! あと買い物がしたい!」
「そういいながらお主はちょいちょいDPで買い物しとるじゃろが」
我、知ってるんじゃからな。
なんかやたらと高い化粧品をサラッと我のDPで買ってるのを!
「あれは必要経費です。ストレス緩和に必要です。スキンケアは必須なんです」
「ご主人、私も関節部につける高級オイルが欲しいです」
「欲望丸出しじゃな!」
欲しいものを全くか隠そうとしとらんし。
しかし、やっぱりヘルガはストレスを感じていたんじゃないか!
「だからハゲてません!」
我とスピアの視線を感じ取ったらしいヘルガは頭を庇うようにしながら叫ぶのだった。




