53.ドラゴンさん家は募集する
『急募! ダンジョン勤務職員!条件は要相談。面談で色々と決定します』
でかでかと、そしてやたらと目がチカチカと痛むような色で書かれた文字を見て我はため息をついた。
だってのう? これ、ただの広告じゃぞ?
ダンジョンの管理を手伝ってくれる奴等がこれできてくれるか凄まじく疑問を感じるんじゃが……
「こんな広告でくるのかのう?」
思った不安を思ったまま口にする。
この広告には不安しかない!
「マスター何が不安なんです?」
「そうです。私達が渾身の出来で作ったポスターですよ?」
ヘルガとスピアの二人はまるで問題ないと言わんばかりじゃ。それどころかこいつ大丈夫か? みたいな目で我を見てきよる。
いや、なんでじゃよ。不安しかないじゃろが。
「このポスターに書かれている絵はなんじゃ? 書き損じの染みか?」
我はポスターの一部、見ているだけで精神が削られそうになるようなよくわからない絵を指差す。あれ? これ絵じゃよね? なんか動いてない? あとなんか呻き声も聞こえるんじゃが空耳か?
「ドラゴンだけど?」
「どう見てもドラゴンでしょう? 染みとかバカご主人の眼は腐っているんですか?」
また呆れたような眼を向けられた。
どう見ても染みじゃよね⁉︎ しかも精神を害しそうなやつ! 我か?我の美的感覚が狂っておるというのか⁉︎
これ絶対に宝箱とかに入れて人間が開けたら呪いのアイテムとか言われるの間違いなしじゃろ!
「百歩譲ってそのポスターを配布するとしてどこに配るんじゃよ」
人間が見たら確実に意識を無くす気がする。下手したら心臓止まるんじゃないじゃろうか。
「そりゃ普通に街で配りますけど?」
「ポスターと広告なんですから当たり前です」
なんじゃろう。あんなものが貼られたり配られたりしたら街が一つ滅びるんじゃないじゃろうな。
複数貼ったらなんかやばい効果とか発生しそうじゃし。
「というかマジでこのポスターや広告を貼る気なのか? この世界の人間がダンジョン運営側に回るとやばいんじゃないのかのう」
魔界ではポピュラーな物であるダンジョンじゃがこの世界では異物じゃからな。
この世界でダンジョン側に付くのはどう判断されるか全くわからんが。あと人間って弱いからのう。我が殴ったら大体は死ぬじゃろうし。弱すぎるとダンジョンでは使えん気がするし。
我が人間を使うのを嫌がっているをスピアはわかったらしい。
「ご主人、まさか私もゴミ人間を運営側になんて使う気はありませんよ。使うなら魔法契約で自由意志がない程に縛り付けてから使います」
「お、おう」
相変わらず人間をゴミくらいにしか見とらんのう。あと魔法契約はやりすぎると廃人になるからやめといたほうがいいと思うんじゃが…… 冗談じゃよね? いや、目がマジじゃ!
「人間なんて数だけで弱い生き物を使うなら、同じ欲深い生き物でも安い方を使います」
「彼等は従順に働いてくれますよ。なにせ働くところがないんですから」
「ええ、馬車馬の如く働いてもらいましょう」
「「就職難の魔族にね」」
こうして魔界にダンジョン職員募集のポスターや広告がばら撒かれたのじゃった。




