28.勇者さんは叫ぶ
『な、なんなんだよあれ!』
『お、落ち着いてくださいソラ!』
歴戦の勇者みたいな威圧感を出しながら歩くヘルガを見て勇者、たしかソラ?とかいう名前の奴が叫いとる。
隣の僧侶らしき女も若干呆然としていたようだが隣の勇者の方が慌てておったから冷静になったといった感じじゃな。
周りのモンスター、ゴブリンやスケルトンはどうもあいつらにはある程度の数がいないと相手にならないようじゃ。
現に混乱しながらも襲いかかってくるモンスターを切り分けておるし。
いやいや、勇者ってやっぱりずるい存在じゃよな。さっき死んだのは奇襲時にたまたま油断でもしておったのか?
『せっかくの俺の巨乳ハーレムがぁぁぁぁぁぁぁぁ!乳がへったぁぁぁぁぁ!』
『落ち着いてください勇者さま! ソラのスキルでリズィも ナタリーも無事ですから! 巨乳は一ミリも減ってません!』
『そ、そうか』
…… この勇者、メンタルやばくないか?
いや、そもそも巨乳が減るってなんなのじゃ? 乳は減る物なんじゃろうか? 人体は不思議じゃなぁ。
そしてあの女の話からしてやはりあの虹色に光って消えるのは勇者のスキルか。殺しても死なんとはやはり勇者ずるい。
まあ、倒し方はいくらでもあるんじゃがな。動けないようにして殺さないように埋めるとか。
『いや、それはよかったんだけどさ! でもあれは駄目だろ! 俺様たちの目的は近場のダンジョン探索だったはずだ。あんな化け物とやるには俺様のレベルが低すぎる!』
意外と冷静な判断をしとるのう。
じゃが間違いじゃ。お主達レベルではなく大半の人間がヘルガの相手をまともにするにはレベルが低すぎるんじゃからな。
まともな戦闘をするとなれば、いや下手をしたら小指一本でも相手にならんじゃろうな。
しかし、此奴らの狙いが我のダンジョンだったとは……
結果論じゃがヘルガがダンジョン災害を起こしたのはラッキーじゃったかもしれん。
腐っても勇者。そんな存在がダンジョン内で暴れられたら面倒じゃったし。そして今はどれだけ暴れても我のダンジョンではない外
なら壊れても全く問題ないしな!
「ヘルガ、とりあえずさっさと勇者をぶっ殺しとくのじゃ。周りのモンスターもかなり巻き添えで死んだし、タマも頑張ったしのう」
『わかりました』
周りにはモンスターの死骸が山ほど。さらにまだタマの奴が武器を振り回しておる。
残りのゴブリンやスケルトンの数も大したこともないから放っておいても問題はない。
残るはビビりきった勇者と僧侶だけだからのう。




