『しーくがかり』
お久しぶりです。
『しーくがかり』
「ちくよー!おぼえておよー!」
ソリトくんとファルちゃんが入園して一週間。
今日も懲りずにクロンズくん、フィーリスちゃん、アリアーシャちゃんの三人は他の園児を虐めていました。
今日のターゲットは久々にルティアちゃん。
でも、やっぱりソリトくんに見つかって撃退され、泣きべそかいて何処かに行ってしまいました。
幼稚園の外には出てはいけせんからね。
「ソリトきゅん!」
「なんだ」
もじもじしながらソリトくんを呼んだルティアちゃん。
顔が真っ赤です。
気弱な性格の彼女。凄く勇気を振り絞って呼んだのでしょう。
でも、ソリトくんは素っ気ない。
少し萎縮してしまうルティアちゃんだったけど、頑張って彼に言いました。
「あ…あ…ああり、が……ありがと…」
「そーやって、ちゅぎは、たしゅけてってせんせーに言えよ」
「…………こわい」
「じゃーせんせーのところにいろ」
ソリトくんが助言をしますが、ルティアちゃんは無理と首を振ります。
「……お、世話がありゅから、むり」
「お世話?」
「…しーく」
そう言うと、ルティアちゃんは後ろに振り返り、トテトテと歩き出しました。
少しして、足を止めるとソリトくんの方に顔をほんのり赤くして振り向きます。
付いてきて、という事なのかもしれません。
そして、ルティアちゃんに付いていくと、幼稚園の裏の隅っこに小屋がありました。
「あそこの子のお世話…だよ」
どうやら、ルティアちゃんは幼稚園が飼育小屋で飼っている生き物のお世話をしているようです。
「……この子」
ソリトくんは小屋の中を覗きます。
そこには変わった色の小さなドラゴンがいました。
小さなドラゴンはすやすやと眠っており、ソリトくん達に気付いていません。
「誰もやらないのか?」
ルティアちゃんは頷きます。
その顔は何処か悲しそう。
「てんてーも、お世話する、けど……みんなといっちょで、こないの。この子………おなじここにいるのに。でも、ここでひちょりだから」
気弱なルティアちゃん。
その心はとても優しく純粋な様です。
「しーくにくゆ時は呼べ。おれもついてく」
「いーの?」
「いちゅもイジメられてゆから、ほーっておけない」
こっちの男の子も不器用だけど優しい子です。
「………あり…がと」
「せんせーに言ってくゆ」
ソリトくんは飼育小屋を後にしました。
「え?お世話してくれるんですの!?」
「せんせーうっせ。しじゅかにしろ」
「おっふ。よ、容赦ないですわ」
近くにいたクティスリーゼ園長先生に言った後の反応が煩く感じたソリトくんに注意されると、園長先生は鼻息荒くして膝をつきました。
ソリトくん、一歩後ろに退きます。
なにはともあれ、ソリトくんは、ルティアちゃんと同じ飼育係になりました。