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第33回 歌壇賞 落選作 全30首

作者: 御影堂 歩

第33回 歌壇賞 落選作

『想像の美』 御影堂 歩




ヴィーナスの腕を切断 メデューサの首を差し向け想像の美を


想像の翼を広げ天翔れ血より生まれし人の頭よ


限りなく0に近い可能性 それで現実を割ってみようか


後悔は期限の切れた大御馳走食べたら危ないでも食べてしまう


トロイアの木馬のように入り込むネットニュースに殺される心


言の葉の刃の切れの鋭さよ 白刃一閃 傷は一生


温厚な時計が狂う五秒前チクタクチクタクチクタクチッ


日常通常運航中突然不時着 見上げてみればハッとする景色


マスクして坂道上るシーシュポスもうすぐ山頂終わりの始まり


役に立つ星の光が目に届く時間をかけて埋めた場所から


年齢を重ねるほどに増していく完成度 それは、生の、死の?


光より速く走るものがあり突然体にぶつかってくる死


死んでいたはずの自分は生きていて…… 遺族が嘆くたらればの日々よ……


肉体の痛みは点で精神の痛みは線だと気づいた忌日


憎しみよ残念だけどここまでだ私は一人赦しの道をゆく


絶望を乗りこえ剥がすその仮面その正体は希望だった……


先生が来たぞと叫べば一斉に蝉が鳴き止む八月の終わり


恋に落ちある日突然さようならちょっと待ってよ穴の上から


いつだって木から春が落ちるのは一瞬 天にペルセウス座が


停電がこのまま続けばいいのにと思わなくもないそんな星空


天球を横切り流れるものがありふたたびそこに落ちるものとは


アキレスの踵に刺さった金の矢が抜けずにそのまま冬へと歩む


アスファルト一人歩きのクリスマス見ざる着飾るイルミネーション


恋の花もう用済みだ散ってゆけ ただ……一枚だけもらっていくよ


大きな白い花びらと小さな赤い花びらが混ざってひらり散ってゆく


私には何もないけど何かある目に見えるもの目に見えないもの


苦しみは永遠の青春である 笑顔で振り返れるならば


憂鬱を睨み掴んで振り回せ!投げて叫んでああ気持ちいい!


溶けかけの愛が一番美味しいねと笑い合った仲直りの夜


恋をした次の日から二週間破り取られている日記帳

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