初恋
初恋
あの気持ちが初恋というのであれば、それはそうだったのだろう。
あの子が僕の前に現れたのは、まだ夏の残暑がほんのり残る夏休み明けの9月中旬の時だった。
「みんな!!転校生が来るらしいぞ!!」
坊主の男子生徒が興奮しながら教壇の上に乗ってみんなに言った。
「しかも女の子!!!」
坊主の生徒のとなりの男子生徒が付け加えて言った。
その言葉に男子生徒が沸き上がったのが見てなくても分かった。
ーーーーキンコーンカーンコーンーーーーー
学校のチャイムが鳴ると同時にドアが開いた。
「おーい、席に座れー」
先生がそう言った瞬間教室が静まった。
コツコツコツ
静まり返った教室に廊下からスクールシューズの足音が響いた。
「転校生を紹介するー、前にきて自己紹介を」
先生に呼ばれた女子が元気に教室と廊下の境界線を跨ぐ。
「はーーい!!」
その瞬間、苦くて甘いような夏の残暑が薄れあの懐かしい春の兆しのような空間が教室を包んだ。
吸い込まれそうな大きな目、程よく垂れ下がった眉毛、細くて高い鼻、小さいながらも存在感のある口
ほんのちょっと動いただけでも揺れるなめらかな髪。
僕の心の中で恋が落ちる音がした。
とりあえずこれだけ気が向いたら続き書きます。