表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

181/248

181、亀山制圧

永禄五年 (1562年) 六月上旬 丹波(たんば)(のくに) 今岡(いまおか)(じょう)  伊勢虎福丸


「これより亀山の地に兵を向ける。その後で古世(こせ)(じょう)を落とす」


 俺は家臣たちを見回す。重臣たちに加えて、並河一門や福井一門も顔を(そろ)えている。国人衆を味方としたことで志気は高まっている。


「もう少しで京に辿(たど)()く。それで一息(ひといき)が付けよう」


 亀山(かめやま)一帯(いったい)制圧(せいあつ)すれば、波多野に対して一気に有利に振る舞うことができる。丹波の王として君臨してきた波多野もその勢威は衰えるだろう。代わりに俺たち伊勢家がこの地域を治めることになる。


 伊勢家の内政は活況(かっきょう)(てい)する。人も物も伊勢家に集まる。


「先鋒は(つつみ)三郎(さぶろう)兵衛(ひょうえ)、二陣が大沢内記(おおさわないき)、三陣は河村権之助とする。本陣は俺が率いる。遊軍(ゆうぐん)として並河、福井、新田を置く。香西軍も共に進軍する。力を合わせて亀山の地を取るのだ」


 重臣たちが返事をする。


 順調だ。何かもな。波多野孫四郎(はたのまごしろう)は焦っているという。国人衆を城に集めて、物々しい動きをしているのだそうだ。

波多野家は領内に年貢(ねんぐ)減免(げんめん)に触れを出しているという。民への懐柔(かいじゅう)(さく)だろう。ただ急な減税は収入減になる。波多野家は財政に苦しむことになるはずだ。


 この戦は勝てる。そう思う。評定を終えると、すぐに出陣だ。









永禄五年 (1562年) 六月上旬 丹波(たんば)(のくに) 亀山  伊勢虎福丸


 亀山の地はあっさりと手に入れることができた。大した抵抗もない。町衆など金子(きんす)を持って参上(さんじょう)する程だった。


 俺の前に町衆が五人いる。いずれも中年の男たちだ。


波多野孫四郎(はたのまごしろう)はそれ程ひどいか」


「はい。町衆は恐れて口を閉ざしております。年貢(ねんぐ)も安くすると言っては(うば)い取り、金を貸してはその(ばい)()を取る。泣く泣く娘を遊郭(ゆうかく)に入れた町衆も少なくありませぬ」


 知らなかったな。波多野がそれ程、腐り果てているとは。


(あい)()かった。町衆は伊勢家が守る。波多野の兵など追い返して見せる。それでだな、伊勢家には親しい商人がいるのだ。敦賀にも数多くな。その者たちを快く迎え入れて欲しい。この地をもっと豊かにしたい」


「若様の仰せとあらば」

「皆、喜んで迎え入れまする」


 町衆が笑みを浮かべながら平伏する。これで亀山の地も伊勢家の物になった。町には投資しよう。伊勢家の主要な拠点になるように大事にせねばな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ