ぼくが消える
大勢の人がいるのに、
生涯で言葉を交わせる人は、
ほんのわずか。
不思議や無情や夢や生涯という
あやふやで、どうにも
できなさそうな言葉が塊になり、
胸の中にゴロンと転がり落ちてくる。
大勢の人は何故、
考えを持つようになったのだろう。
個々の考えや思想を認めるふりで、
この世界は、
実は優秀なロボットを
求めているに過ぎないのではないか。
仕事が立て込んだ今は、
どうしても、
そんなことを思ってしまう。
ああ、日本人が消える。
日本沈没が、
かなりのリアリティを伴って、
人を、ぼくを、巻き込んでゆく。
記憶を遡り、
古い都に一人いるぼくを、
巻き込んでゆく。