表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

第1話

「私を本当に殺してくれるの?」


「あぁ君が望むのならそうしてあげよう」


〜某所六月頃〜


「ハァハァハァ…」


一人の少女が道を全速力で走る。


彼女は現在家を飛び出し母親から逃げている最中だった。


彼女の名前は相馬咲夜華(そうまさやか)、歳は15歳で高校一年生にあたる歳だ。


咲夜華が家出した訳は咲夜華の母親からの無理な要求からだった。


咲夜華は中学校卒業をきっかけに母親からは高校には行かせる程のお金は準備出来ないと言われ働く事を告げられていた。


さらに母親は職場を決めておりその職場は咲夜華の歳で働くには違法となる水商売の店だった。


もちろん咲夜華は断ったが母親は聞く耳を持たず、嫌なら家を出ていけと言い、咲夜華は仕方なく母親に従う事とした。


その店では客が店の子に過度なスキンシップを取ることは禁止されており咲夜華自身も酷い事はされなかった為咲夜華はその店で働く事に対して特別な嫌悪感を抱く事はなかった。


しかし事件が起こってしまう。


咲夜華が勤める店の常連客が咲夜華を気に入りストーカーとなってしまいとある日には遂に家まで突き止められてしまった。


事を知った母親はそのストーカーと話しをすると言い咲夜華が勤務を終了し帰宅する時間に合わせて住んでいるアパートへの入り口付近で待機していた。


咲夜華は母親の事を嫌っていたが母親は自分の事を心配している思い咲夜華は心の中で喜んだ…がその感情はすぐさま無くなってしまった。


「咲夜華、あんたこの人に身体を売りなさい」


母親から告げられた言葉は信じられないものだった。


アパートへの入り口付近で母親とストーカーは話しをし、ストーカーが切り出した話しは咲夜華と性行為をさせてくれたら一回事にお金を払うと言うものだった。


そして咲夜華は心の中で決心し家を飛び出した。


しかし母親からは逃げる事が出来たものの数日の間に所持していた有り金は底を突いてしまった。


それからさらに数日が経ち咲夜華は空腹により限界を迎えていた。


咲夜華は人気が少ない所でじっと座り込んでいたがそこに一人の男が近付いてきた。


「君どうしたの?」


男が話しかけてきて咲夜華は今までの事を男に伝え、そしてぽつりと一言こう言った。


「死にたい」


その言葉を聞いた男は笑みを浮かべ咲夜華にこう言った。


「なら殺してあげようか?」


その言葉を聞いた咲夜華は驚いたがすぐ男に聞き返す。


「私を本当に殺してくれるの?」


「君が望むのならそうしてあげよう」


咲夜華はその言葉を聞き何か解放された気分になりそして咲夜華は目を瞑り「お願いします」と男に告げた。


目を瞑ると咲夜華は小学生だった時の将来の夢を題材にした作文を読み上げていた光景を思い出していた。


咲夜華の将来の夢はお嫁さんになる事だった。


そんな夢と言えるのか分からない内容だったがそれすら叶える事が出来なかった人生を後悔すると同時に咲夜華は死にたいと思うよりも生きたいと思っていた。


(もしこんな私を助けてくれるような天使のような人がいるのなら私を…)


そう心で思うと咲夜華は目を開いた。


咲夜華の視界に映ったのは先ほどまでいた人間の男では無く化け物のような姿をした何かだった。


そう、咲夜華に近付いてきた男は人間では無く魔人だったのだ。


咲夜華は恐怖に襲われ魔人から離れる為に走り出したが直ぐに魔人に捕まってしまう。


「どうして逃げるの?君の願いを叶えてあげようとしてるのに」


咲夜華は心の中で死にたくないとずっと連呼してそしてその言葉は口から発せられた。


「死にたくない!こんな私だけどまだ生きたい!」


「なんでそんな事を言うの?君の事を聞いたから言うけどこの先生きても何もいい事なんて無いよ?」


魔人はそう言い口を大きく開き咲夜華を食べようとして来た…が。


魔人は苦しそうな声を上げ咲夜華は魔人に視線を移すと人間の心臓がある部分に化け物の手をした何者かの腕が魔人の心臓を貫いていた。


魔人は力が入らなくなったのか咲夜華を離し、魔人は跡形も無く消えてしまった。


魔人が消えた事により魔人の背後にいる人物が咲夜華の視界に映った。


咲夜華の視界に映った人物は男性のようで全身黒の服を着ておりフードを深く被り、マスクもしていた為顔はよく見えなかったが肌白く髪の色も金色に染めており咲夜華にはその男性は本物の"天使"に見えた。


「私を助けてくれたのですか?」


「仕事だからな」


「あなたは天使ですか?」


「…」


咲夜華の問い掛けに男性は口を閉じたが咲夜華はこう思った。


"私を助けたのは天使でした"と。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ