ルール説明
達成報酬を聞いてクラスメートの多くはモチベーションが上がっていた。中には「俺、報酬で歌手の才能貰うんだ。」などといかにも死亡フラグっぽい台詞を言ってる奴もいる。おい、やめろ。
「やる気になって貰えて嬉しいです。それでは話を進めます。回収して欲しいリストを本にまとめて後程みなさんに配布します。ここには回収対象の能力もしくはアイテムの詳細、現在の所有者、現在地がページ毎に記載されています。アイテムと現在地しか記載されていないものは所有者がいないということです。ちなみにリストに載っているもの以外も向こうの世界にはありますがリストにないものは回収ができないようになっています。」
男の説明に翔があることに気がついたようで手を挙げて質問をする。
「さっき文明レベルの調整や世界の管理が困難になったっていってけどそっちの世界に行った人達はどうにかしなくていいんですか?」
翔の質問に男は答える。
「それについては問題ありません。こちらが依頼した一部の人以外たいした専門知識を持っているわけではないのでチートが無ければほとんどは兵隊より少し強いぐらいの一般人でしかありません。実を言うと都市部はもたらされた知識でそれなりに発展しているのでこちらの世界の知識で活躍できるのは発展が遅れている地方や未開の地域ぐらいでそれらも数年後には自然に知識が広まります。」
男はそのまま話を続ける。
「回収方法ですがまずは能力は所有者を殺害することです。
これは直接でなくとも間接的や意図せずとった行動の結果死なせた場合も含みます。当然一部の例外を除いて現地でも違法行為になるのでお勧めはしませんが覚えておいてください。
もう1つが所有者本人が先程説明したリストのページにある所有者の名前を付属のペンで塗りつぶすことです。これは誰のリストでも行うことができますが所有者本人しかできません。これを行うと全てのリストのページが消失します。
アイテムは能力と同じ手順で所有者欄が空欄になった状態でページを破ることで回収されます。この時所有者欄に名前を書くとその人物が所有者となります。
名前を書いてない人でも使用は可能ですが機能が限定もしくはそもそも使用できないこともあります。
そしてあくまで回収した場合に星が与えられるので回収する前にリタイアしたり他の人の手に渡った場合は無効です。
またチームを組んでいる場合は順番に星が配布されます。例えば3人組でいる場合ですとAさんが2つ回収するとAさんに1つとBさんに1つずつ与えられその次は誰が回収してもCさんのものになります。
仮に全員に同じ数が行き渡る前にチームが解散したり離脱者が出ても全員に同じ数が配布されるまではチームで入手したものとみなされ自動で分配されます。
途中加入の場合は既存のメンバーの配布数が同じになった後で加入メンバーを加えて分配されるようになります。ですからあまり加入や脱退を繰り返すとどれだけ回収しても星が増えないことになりかねないので注意してください。 ここまでで質問はありますか?」
男は周りを見回すが報酬を聞いてモチベーションが上がったみんなは早く話を進めろと催促する。
「これから行く世界はゲームなどではなく実在する世界ですので好き勝手することは出来ません。基本的には現地の法律に従ってもらいます。ですから基本的に自衛以外の殺人やゲームなどでよくあるよその家に勝手に入って室内の物を持ち去ることも罪になります。
違反したからといってこちらが罰則を与えることはないですが当然現地で処罰されますし、何らかのフォローをすることもありません。異世界での行動はこちらの世界同様記録されますから死後の行き先を決める要素になるので注意してください。またこちらでは考えられないようなことも罪に問われる事があるのでそちらも注意してください。
次に期限ですが向こうの世界もみなさんの世界とと同じぐらいの広さがあるのでそれなりの数を回収しようとすると時間が掛かるので最長で3年とします。ただし期限内でも死亡した場合やリタイアを希望した場合はそこで終了となります。
初期費用として向こうの世界の通貨で10万ゴールド支給しますがその後追加を支給する場合は星1つと交換で100万ゴールドとなります。向こうのでのお金の使い方や稼ぎ方もよく考えてください。」
話を一区切りすると男は手を叩いた。すると俺たちに全員の前に紙と分厚い辞書のようなものが複数現れる。
「この紙にはみなさんがの能力値と習得しているスキルを向こうの世界のレベルで表したものが書いてありそのしたの空欄に持っていくアイテムもしくは能力を書いてもらいます。アイテムと能力は通常は1つですがみなさんは2つまで選んでもらいます。伝説上のものやフィクションの物、みなさんの世界の物などいろいろありますが基本的に複数生産されたという記述や同じものを同時期に複数所持していたという記録がないものは1つしかありません。例えばエクスカリバーなどは複数の物語などにでてきますが1つしかありません。しかし伝説に存在するものとは別で後年それを元に再現したものなら存在します。また既に持ち込んだ人がいるものも選択出来ません。希望のものがない場合は自分で作ってもらっても構いませんがその場合は適性かどうか判断して修正してもらうこともあります。持ち込んだ能力とは別に向こうの世界でもスキルは習得できるので何を持ち込んで何を習得するかも考えてください。」
クラスメートの一人が質問する。
「向こうでのスキルの習得ってどうするんですか?」
男はチョークを持ち黒板に書きながら質問に答えた。
「1つ目はこちらの世界と同様に勉強や訓練で習得する方法です。技の場合は武器を使い経験を積むとその武器の扱いのレベルが上がりますからその後使いたい技の訓練をすれば使えるようになります。魔法の場合は原理を理解して詠唱を覚えて魔力のコントロールができるようになれば使えるようになります。
2つ目はレベルアップの時にポイントが貰えるのでそれを使い覚えることです。レベルアップについては後で説明します。
3つ目は特定のアイテムなどに記録されているものを覚えること
4つ目は自力で作ることですがこれは完全なオリジナルにしろ既にあるものを元にするにしろとても大変なものなのでそういう方法があるという程度の認識でいいです。
いずれの場合も方法などを理解していても前提として必要なスキルを覚えていないと実際には使えないので注意してください。」
男は習得方法を書き終えるとこちらを向いて話を続ける。
「レベルアップですがゲームなどと違うの必ずしも敵を倒す必要はないということです。
ここで言う倒すとは敵の殺害や戦闘不能にすることをいいますが
大切なのは戦う経験を積むことなので敵を倒せなくても長時間戦えば経験値はそれなりの量を獲得できますし、実戦でなくとも訓練や稽古でも獲得できます。しかし例えば何も出来ず気が着いたらやられていたとか本人が何もしていない場合は獲得出来ません。
こうして経験値が一定までたまればレベルアップします。この時能力上昇と別でポイントが入りますがこのポイントはさらに能力上昇に使用したりスキルの習得に使う事ができます。もちろん持ち越して好きなときに使う事もできます。能力はレベルアップやポイントを使わなくても訓練などで上げる事ができます。
ちなみにですがレベルアップでポイントが貰えることやそのポイントを使ってスキルなどを覚えることができるのはみなさんのようにこちらから向こうの世界へ行く人達だけなので向こうの世界の人達は出来ません。
次に持っていくものについての注意です。」
男がいうと黒板が中央で別れて左右に開き奥から新たな黒板が現れる。男は再度黒板に書きながら説明を続ける。
「先程の本には持ち込めるものしか記載されてないので自分で作る場合になりますがまず原則として無理なものは時間の巻き戻し、停止や加速を含めた時間操作全般、死者を甦らせるもの、新たな生命を生み出すことです。これらは私の管轄を越えるものなので禁止です。」
男は書き終えると赤のチョークでそれらに大きく×を書いた。
「規模の大きいものや持続時間が長いもの、あまりに強力だと判断したものにはこちらで制限をかけますが逆に言えば条件をつけて強化することも出来ます。そしておすすめしないのがロボットや最先端の機械の持ち込みです。持ち込んだアイテムの使用方法は持ち込んだ本人は自在に使えるようになりますが燃料や消耗品、破損時の部品交換など向こうの世界ではできないものも多いですし何より目立ちます。複数の人で役割分担するにしてもそれなら他のものを持ち込んだ方が効率的です。」
男は説明を終えるとこちらに向き直りこれで最後と言い話を続ける。
「それではこれから何を持ち込むか決めてもらいます。誰かと話し合っても構いませんし私に相談してもらっても構いません。みなさんが戦うのはチート持ち以外にもモンスターや犯罪者などもいます。それらと戦うことも考慮してください。最終的には出された案を見て必要なら調整を加えますが決定後変更は出来ないのでよく考えて決めてください。
私はこの教室を出たところに待機してますから終わった方から来てください。
向こうの世界に到着するのは全員同じタイミングなのでゆっくり決めてもらって構いませんよ。」
そういって男は教室から出ていった。