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回復魔力-9999の白魔道士  作者: 勇者になった社畜
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第一話

初投稿となります。

よろしくお願いします(≧∇≦*)

 「壊せ、ヒール!」


  僕が呪文を唱えると、目の前にあった巨岩は

  盛大に音を立てて崩れる。


 「おお、よくやった!

  これでワシの教えられることは全てじゃ。

  アレンよ、今日でお主も立派な魔導師じゃよ!」


 「はい師匠!」


  この方は導師アレフガルド。

  かつては魔王を討伐の勇者の一行にも加わっていた、すごい白魔道士なんだ。

  捨て子だった僕を広い今まで育ててくれたのも師匠だ。

  僕は5歳から、かれこれ10年間、師匠に魔法を習っている。

  そして今日、ついに1人前として認めてもらえた。


 「実は、師匠……」


 「どうしたのじゃ、アレン?」


  僕には以前からひとつの望みがあった。

  師匠が許してくれるか分からないけど、認めてもらえた今なら、

 それを伝えてもいい気がする。

  だから今、意を決して師匠に伝えてみる。


 「実は僕、学校に通ってみたいのです。

  前からずっと思っていたのですが、師匠に言い出せなくって……」

 

 「なるほどの。

  いいぞ! お主が、行きたいのなら行くべきじゃ。

  きっといい経験になるじゃろう!」


 「え、いいのですか!?」


  てっきりダメだと思っていた僕は、師匠の反応に驚く。


 「行きたいのじゃろう?」


 「はい!」


 「そうと決まれば話は早い。

  ここからは遠いのじゃが、王都にはいい魔法学園がある。

  お主ほどの実力なら入学も余裕じゃろう。」


 「魔法学園……!」


  遂に夢が叶うんだ!

  まだ見ぬ学園生活を想像し、僕は心躍る。

 

 「試験は今から2ヶ月後、火の月じゃから、すぐに出れば間に合うぞ。

  これからは忙しくなりそうじゃな!」


 「はい!」

 


  ◇



  一週間後--


 「師匠、今までお世話になりました。

  師匠みたいな立派な白魔導師になるため、

  これからも頑張ります!」


 「頑張るのじゃぞ。

  お主はワシの一人息子じゃ。

  例え血は繋がっておらぬとしても、それは変わらないのじゃ.....」


  師匠の目の端に、キラリと光る涙が浮かぶ。

  師匠はそれを手の甲で拭った。


 「師匠.....」


  辛いのは僕だけじゃなく、師匠も同じだ。

  だからこそ尚更頑張らなきゃ。

  また戻って来た時に胸をはれるように。


 「最後に、お主に言わねばならぬことがある。

  アレンよ、決してお主の魔法を誰かを傷つけるために使ってはならぬ。

  お主の魔法は、誰かを傷つけるのではなく、誰かを助けるために使うのじゃぞ 」


 「ええ、分かってます」


  僕の答えを聞くと師匠は満足そうに頷く。


 「よく言った。

  これでこそワシの弟子じゃ!」

 

 「はい!」


  ああ...。

  これで師匠との日々も終わりなんだ.....。

  思えばあっという間だったなぁ。

  師匠は厳しくも、思いやりのある人だった。

  そんな師匠とお別れだと思うと改めて胸が痛む。

  そんな僕の内心を見透かしたかのように師匠は話題を変えてくれた。


 「そう言えばアレンや。

  王都までの道筋は分かっておるか?」


 「当たり前ですよ!

  まずここからコリン村を抜けて、エルンストの街へ向かいます。

  そして、エルンストから馬車で王都まで向かうんですよね?」


 「そうじゃ!

  じゃが、コリン村に行くまでに、大きな森を抜けねばならぬ。

  強い魔物もおるから、気を付けるのじゃぞ!」


 「常闇の森ですね! 気を付けます」


 「なら大丈夫じゃ。」


  師匠はもう一度涙を拭うと、満面の笑を浮かべる。

  師匠の気持ちが、痛いほどに分かるので、僕も笑顔を作る。

  泣き顔を見て別れるなんて、そんなの嫌でしょ?


 「さあ、そろそろ出立じゃ.....。

  いつまでも感慨にふけっているのもよくない」


 「はい.....!」


 「無理せずにな」


 「師匠こそお達者で...!」


  そう言うと僕は、師匠からもらった

 マジックボックスというなんでも入る袋を担ぐ。

  そして、見慣れた小屋を後にする。

  思うところはあるが、途中で決して振り返らない。

  そうじゃなきゃ、せっかく笑顔で分かれた意味

 がなくなるからだ.....。



  ◇



  アレンの後ろ姿が、見えなくなると、誰ともな

 くつぶやくアレフガルド.....。


 「はぁ、これで寂しくなるのぉ.....。

  じゃが、あの子にワシの全てを教え込めた。

  この老いぼれも満足して死ねるわい。」


  アレフガルドは今、息子の門出を祝う喜びと、

  そして、悲しみにの同居した気持ちであった。

  そして、息子を思い再びつぶやく.....。


 「世界で2人目の反転白魔道士.....。

  頑張るのじゃぞ.....!」


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