#2「好きになった人は会社の社長さんでした」
俺は掛川翔)歳は30 見た目はどう見ても15歳位だが、自分で言うのもなんだが、ちょっとはイケメンだと思う
何故ここまで極端に若く見えるかと言うと5歳の時に製薬会社の車と事故を起こし、横転した車から
こぼれた変な液体に触れて成長速度が遅くなってしまったようだ
周りからは、いつもおかしな目で見られ、何度も数奇な目で見られたものだ
両親はあちこちの有名な病院に連れて行ってくれたが、原因は分からずじまいだった
何しろ高校入学当時でも実際の15歳が、身長120センチの10歳程度の子供なのだから
ここまで成長が遅いので、両親だけでもなく自分でも不思議に感じていたものだ、そしていつの間に
か自分で考えるようになった
「考えられるのはあの時の事故しかないのだが・・・」
あの時事故に有った製薬会社を両親に教えてもらい、そこに行って自分で調べて治すしかない高校、大学と必死に頑張った
22歳の時点では、見た目はまだ幼かったが、身長は何とか175まで伸びたから普通に何とか過ごせた
が18歳の時から付き合っていた彼女にも不思議がられ、別れた
大学は薬学部に進み成績は常にトップだった
そんな辛い努力の甲斐あって、あの会社シナジー製薬の開発に入社することができた
「今日から入社する掛川です、宜しくお願い致します」
「おう、頑張れよ!」
「きゃ~可愛いわね~♪」
女子からは非常にモテたが、仕事はしんどかった
でも頑張った・・・新薬開発をを何度も立ち上げ、営業部に移ってからは会社の業績を3倍まで伸ば
し若い役員を1年努めて大抜擢で社長の話があり、10年経った今日からシナジー製薬の本社社長にな
った
さて、そんな訳で本来自宅に車が迎えに来るはずなのだが、高速で事故が有ったらしく1時間近く遅
れそうだ
「初日からたまらんな、仕方ないが電車で行くしかないな」
「本社までは車だと45分程度だが、電車だと少し早めに出ないといかんな」
ただ本社近くの桜ヶ丘と一緒になるな・・・
満員電車のほぼ全員が女子高生ってのも悪くはないが・・・
「まあ、やむをえんな! 初日挨拶に社長が遅刻ってのも今後の格好がつかんしな ははは」
たしかに駅に向かう道中は、やはり女子達が同じく駅に向かって歩いている
一応名門校だし、うちの地区は金持ちが多いしな
駅に着くと、改札前がごった返している、切符買うのも手間がかかった位女子が多い
「なんでこんなに女子がたくさん・・・」
改札を抜けて長い上りのエスカレーターに乗ろうとした時に前の男がなにやらごそごそしているのに
気づいた
「なんか動きがおかしいな?」
数秒間様子を見ていて気づいた「盗撮か?」なにやらカバンの中に手を入れてごそごそしているよう
だ
前にはミニスカートの女子高生が立っている「こりゃやらかすな」声を掛けた
「君、何をしているのかね? 変な事をしているようだが?」
男は「な、なんの事だ?おれは財布をだそうとしてただけだぞ」
「それならカバンの中身ちらっと見せてくれないか?カメラか何か入ってるんじゃないか?」
「そ、そんな権利ないだろう?」 男とエスカレーターで言い合いをしてるうちにホームに着いた
「俺はなにも、しらないからな!」
男は逃げるような感じで早足でホームを進んで行く
近くの駅員に声を掛けて、男は駅員2人に止められた
「お客さん、怪しくないならちょっとだけ中身を覗かせてもらえませんか?」
駅員の問いかけにたいしても、男は「な、なんの権利があるんだ、俺は急いでいるから知らないぞ」
「検査させて頂けないなら、警察に来て頂くしか無いですねえ 一瞬でいいんですよ」
「ううう・・・」男が諦めてカバンを開けると、びっくりするくらいの盗撮できるように機材が配置
がされていた
「これはオカシイですね、警察を呼んで調べてもらうしかないですね」
「ご協力感謝しますね」駅員に礼を言われ、会釈を交わす
男は駅員3人に取り囲まれ、ホームから連れて行かれた
「さて、少し遅れたがまだ間に合うな 会社に行かなきゃな」
電車に乗ろうと歩き始めると、1人の女子がいそいそと近づいて来た
「あ、あの~ 助けて頂いて有難うございました、私さっきあの男の人の前に居たんです」
「あの時の子だったんだ、良かったね何事も無くて」あの時の前の彼女だったようだ
「わ、私あの時助けて貰わなかったら、恥ずかしい動画とかインターネットとかに流れてたんですよ
ね?」
「そ、それは判らないなぁ 個人で所有するのが好きな人とかもいるから」
「でも、本当に助かりました あ、申し遅れました私は春風結衣と申します」
「あ、俺は掛川翔です じゃあ会社が有るんで急ぐから、これからは気を付けてね」
「待ってください是非お礼を」俺は電車に飛び乗ったが、「しまった・・・」
彼女は寸前で乗れなかったが、名刺入れを飛び乗る時にホームに落としてしまった・・・
「なんだろこれ?」彼女は名刺入れを拾って開けてみると同じ名刺が沢山入っている
㈱シナジー製薬 代表取締役CEO 掛川翔
そう書かれていた
「ええ?彼社長さんなの?」
夏風邪で続きが遅れました事を深謝致します
とっとつあん