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リンクワールド(仮題)  作者: 花ざかざか間
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第1話 〜異次元転移〜


カタカタとキーボードを打つ音のみがこの静かな家に響き渡る。

この美少女...いや、生物学上性別は男なのだが。まぁそんな事はどうでもいい。

彼はたった今、世間を賑わせている【New World Online】通称NWOにて、最難関ダンジョンをソロで挑んでいる。通常は人数上限の32人の8パーティを組んで挑んでも勝てないのだが、彼は違う。

敵の攻撃を巧みに躱し、次々と敵を屠る。その一切の無駄のない動きはまるでTASの様であり、実際に彼はTASの記録を幾度となく塗り替えてきた。


っと紹介がまだ済んでいなかったな。

彼の名は海座優希。それをかけてゲーム内のユーザー名はkaiserである。優希という名前からして女の子さが増している気がするが、今は置いておこう。因みに一人称は僕だ。

年齢は17の高校生だが、よくこういうのにある不登校ではない。寧ろ頭はそこら辺の大学教授とは比べ物にならない程良い筈だし、不登校になる様な出来事など微塵も無い。だが、毎朝男子達に告白やラブレターを貰う事に多少の鬱陶しさは感じている様だが。

そして冒頭から分かる様に、ゲームの腕が凄い。それなのに、現実の戦闘面においても、どの格闘技でも師範代を名乗れる程に強い。

さて、此処まで圧倒的な主人公的スペックを披露してきた訳だが、これまた圧倒的な弱点もある。それは、圧倒的人見知りと、圧倒的コミュ障である。それが現実なら尚更。しかし最近クラスメイトとは仲良くやれている様で嬉しい限りである。

おっと、紹介が思った以上に長くなったな、だがもうそろそろ物語が進むので此処は一度引くとする。それではまた後で逢おうか。じゃあな。



「はぁ〜やっとこのダンジョンのアイテムコンプしたぁ〜ってもうこんな時間か。結局徹夜しちゃったなぁ」


ダンジョンクリアの画面が出ているpcの前の彼が呟き、少し早いが学校に行く準備をする。今の時刻は午前6:30。

まだまだ学校に行くには時間があるが、制服に着替え、朝のニュースを見ながら朝食をとり、少し時間が余ったので、NWOの公式サイトを覗くと、


「ヘぇ。今日午前8:00時からアプデが来るのかぁ。内容はアプデ後メールで伝える、ねぇ。うーん滅茶苦茶気になるなぁ〜!学校終わってからの楽しみが出来ちゃったなぁ」


そう言い時計を見ると、時刻は7:52。


「あわわ、急がなきゃ!」


慌てて鞄を持って玄関にて、


「いってきま〜す!」


と家族に声を掛け、ドアを開ける。




筈だったのだが、一瞬視界がホワイトアウトし、気付くと白く、何処までも続いているかの様な部屋に居た。

そしてそこには自分にそっくりだが何かが明らかに違う...




自分が居た。

そこにいるそっくりな自分は、海座優希がいる事に気付くと、


「おっ、来たか」


と言い満面の笑みを浮かべ、そしてまた口を開き、こう言った。


「まぁよく分からんだろうが、自己紹介といこうか、どうも、貴方の前世のうーん、そうだな。まぁ謎の人物Xとでも言っておこうか。よろしく」


彼、もといXは優希の困惑した表情を見兼ね、自己紹介をして、手を差し出してきた。優希はそれに反射的に応え、手を握り返す。握手を交わした後、自分もと自己紹介をしようとするが、Xが、


「自己紹介はしなくても大丈夫だ、お前の事は誰より知っているし、さっき紹介もした所だ」


紹介した?一体誰に。優希はまたも困惑する。だが今はそれどころでは無い事に気付き、取り敢えず聞きたい事を聞く事にした。


「これは...一体何が起こったんだい?まさか異世界転生だとかラノベの話みたいなものじゃないよね?」


そう優希が聞くと、Xがニヤリと笑いこう言う。


「そのまさかだ。ただ、違うのが転生では無く、お前NWOやってただろ?そんで、今日午前8:00にアプデが来てただろ?つまり、そういう事だ」


いや、つまり、そういう事だ。とか言われても...だが、なんとな〜く優希は分かった。つまり...


「多分だけど、NWOのユーザーがNWOの世界に一斉に転移。いや、運営によって転送された。そういう事かな?」


「おぉ、流石に頭の回転が早いな。その通りだ。滅茶苦茶な無茶振りしたと思ったんだがな...」


超当てずっぽだったんだけど...

当てられたことが悔しいのか、Xの顔は少しガッカリしていた。だが、すぐに切り替え、こう言い放った。


「まぁつまりはだな、そのアプデで追加された10個のダンジョンをクリアして世界を救ってくれってこった」


「うん。全然良いよ。って、え?世界を救うって一体どういう事だい?」


「ん?言葉のまんまの意味だが。それともなにか?1人じゃ心細いか?」


違う、そうじゃない。と非常に困惑した様子で優希はXを見る。するとXは、


「アッハッハ!!冗談だ。ククククップフッ...!!だが世界を救って欲しいのは本当だ。今のNWOの世界普及率はいくらだった?」


その言葉に優希はハッとする。確かNWOの世界普及率は80%を超えていた筈だ。それなら世界を救って欲しいっていう言葉はあながち間違いではないだろう。

それにしてもこの前世、笑い過ぎである。今でも腹を抱えて笑っている。そんなに面白かっただろうか。


あっ、動かなくなった。と思ったら頭にたんこぶが出来ている。そしていつの間にか横に女の人が1人立っていた。彼女がやったんだろうか、と優希は思ったがそう考えると同時に背筋が凍った。


何故なら、もしあのたんこぶがこの彼女がやったのだとすれば、とても信じられない話だからだ。

優希は達人クラスに気配を感じる事が出来るが、今彼女の気は感じられなかった。

それに、優希はずっとXを見ていたのにも関わらず、その拳を捉えるどころか拳の残像すら見えなかったのだ。

彼女は絶対敵対しない方が良いと優希は思い、出来るだけ表に出さない様に怯えていると、彼女が話しかけて来た


「あの...その、そんなに怯えないでいただけるとその、助かります」


「アッハイ」


そうは言われても本能的に怯えているので仕方がないのである。

でも案外悪い人では無さそうだ。そう思うと少し気が楽になった


「少し落ち着いていただけた様ですし、あまりにもX様がお話にならないので、大変恐縮ですが、この私ガブリエルからお話をさせていただきます」


優希はそれに黙って頷く。ちなみに彼女の見た目は眼鏡をしており、セミロングのとても綺麗な金髪、そして眼は右が深い蒼で左が黄色というよりも金色に近い色をしていて、顔立ちはとても整っており、100人中誰がみても美しいと言う様な神秘的な美しさを彼女は持っていた。

っていうか今ガブリエルって言わなかった?聞き間違いかな...


「えーっと...そんなに褒めても何も出ませんよぉ?」


彼女は顔を赤くし、人差し指で頰を掻きながら、モジモジしてそう言った。非常に可愛い。だが


「え?」


優希は自分の口と耳を疑った。今自分は声に出していなかった筈だ。なのに何故聞こえている?意味がわからない。


「だって私、心読めるんですもの。ってこんな事話してたら一向に前に進みませんので説明しますよ!」


彼女は少し怒気を放ってそう言った。

優希は彼女の正体に非常に興味を持ったが、話を聞くのが先決なので、その話に耳を傾ける事にした。

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