終末のその後で
人に逢うては人を斬る。
鬼に逢うては鬼を斬る。
仏に逢うては仏を斬る。
祖に逢うては祖を斬る。
神に逢うては神を斬る。
畜生に逢うては畜生を斬る。
魔物に逢うては魔物を斬る。
羅漢に逢うては羅漢を斬る。
父母に逢うては父母を斬る。
親眷に逢うては親眷を斬る。
剣士に逢うては剣士を斬る。
万象全てに逢うては万象全てを斬る。
これぞ剣士の本懐。
これぞ剣の理。
剣士には、何も要らずただ斬るのみ。
だが――。
「――まだじゃ」
勇者アルスが抱く剣の理は未だ極めには至ってはおらぬ。
既に老境の極み。
人生の終着点においてその剣の軌跡は、静かに鋭く、達人を越えて剣の鬼たる修羅の領域にあった。
だが、望むものにはほど遠い。
満足がゆくものでは断じてない。
だから、剣を振るい続けてきた。
もはや、あとには朽ちるだけの老骨であろうとも、己の時間が止まるまで神の一振りに至るまで刃を振るい続けたいと願う、それが叶わぬと知りながらも。
ゆえに、口惜しい。
未だ至らぬ身で魔王に挑まねばならぬことが口惜しい。
無様をさらせぬと勇者に任命されてから修行に明け暮れ早数十年。
目をかけていただいた王や姫君の期待にすら応えられぬ未熟っぷり。
ここで行かねば命が尽きるとはあれば秘境を降りぬわけにはいかぬ。
ただただ口惜しい。
限られた時間で完成に至れぬ己の非才。
そんな身で天才と謳われたことはもはや恥でしかない。
それを覆せぬ己の努力と力には嘆き以外の感情が浮かばぬ。
数十年もかけて山を斬り、空を割るだけで全く満足のいく斬線を残せぬ至らぬ未熟な身のまま秘境を出、魔王に挑まねばならぬことを恥じて、呪う。
このままでは勝てぬかもしれない。
世界の命運を背負うならば確実な勝利こそ約束しなければならないと言うのに。
先代に聞いた魔王の実力には全く届かない己に勝ち目などあるのだろうか。
「口惜しい。この非才の身が、この弱き身が」
だが、それでも行くしかないのだ。
「行こう」
世界を救う為に。
勇者アルスは、数十年の時を経て秘境を出る。世界を救う為に。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
階下が騒がしい。
何やら騒ぎがおきたらしく、部下である伝令翼魔が部屋に飛び込んで来る。
その報告を聞いた砦を預かるサルファーは、眉をひそめる。
「人間だと?」
報告には人間の剣士がこの砦で暴れているというのだ。
「絶滅しただろう」
人間は絶滅した。
数十年前までは生き残った人間たちが反乱していたが、それも平定されて人間は最後の一人まで殺し尽くした。
人間は、その時に絶滅したのだ。
かつて魔王の側近の一人であったサルファーは、その瞬間を目にしている。
間違いはない。
何度も捜索がなされ完全に絶滅したとされていた人間が何故いまさら出てくるのだ。
「それが秘境側から出てきたとかで」
「それこそあり得ないだろう」
秘境は魔王様ですら容易には手出し出来ぬ魔物も多く生息しているのだ。
こうやって砦をつくりサルファーほどの実力者を配置せねばならぬほどの領域、人間が一人で生きれるはずがない。
しかし、騒ぎが起きている以上、何かが侵入したことは間違いない。
部下ではどうにも出来ぬからサルファーが呼ばれた。
ならば行くしかない。
「行くぞ、この目で確かめる」
サルファーは、自らの魔装を編み上げる。
術式燃料足る魔力は、全力とは言い難いが緊急時ということもあって魔力生成炉たる魔心臓の駆動は、かつての戦乱時とそん色ない。
あとはやる気と覇気と意気の問題。
それでも通常通りの魔装を展開できたのは、常に備えているからに他ならない。
何より、彼が持つ魔力貯蔵の為の魔力嚢は他者よりも数段は巨大だ。
ゆえに、上位者と呼ばれているし魔王様からの信任も厚い。
展開するは漆黒の鎧と大戦斧。
魔族史上、最も強靭な魔装を身に纏い階下へと降りる。
そこに広がっていたのは、想像を絶する光景であった。
「なんだと!」
死の山が築かれ、血の河が流れている。
死だ! 死がそこに渦巻いている。
秘境から沸き出す強大な魔物を狩ってきた精強なサルファー子飼いの兵団が無様に屍を晒している、たった一人の老いた男の手によって!
その手にある剣には血も脂もついていない。
だが、サルファーには分かる。
部下たちに存在する治りかけた剣傷が全てを如実に物語る。
斬ったのだ、あの錆びて刃こぼれした剣で部下たちを斬ったのだ。
その切れ味凄まじく、斬られたことすら分からぬ間に絶命したのだろう。
あまりにも切れ味が凄まじすぎて、傷が死ぬ間際の作用で治癒するほど。
それを人間がやった。
この目で見ても信じられぬほどだ。
「ああ、新手か。魔族がこのようなところにいるとは。王と姫は無事だろうか」
――ああ、そうかこいつは知らぬのだな。
先の男の言葉がサルファーに理解させる。
この男は過去の亡霊だ。
どういうわけか秘境にいて、今まで生き残っていたのだろう。
この強さならば可能だと理解する。
人間がどのようにこの力をつけたのかさだかではないが、同時に思う。楽しみだと。
張り合いがなかった。これまでの人生、張り合いが足りていない。
強大な魔物を狩る。それもまた一つの楽しみではあるのだが、かつてを思えば到底張り合いがあるとは思えない。
血沸き肉躍る戦乱でこそ、生の実感は得られ人生に張り合いが生まれるのだ。
今、ここにかつての敵が現れた。部下も殺された。ならば、理由はそれで充分だろう。
「魔王軍辺境秘境砦を預かるサルファーだ。名を聞こう、最後の人間よ」
「勇者アルス」
「そうか」
ならば納得だろう。かつての戦乱において代々勇者と呼ばれる者は人間を勝利に導いてきた存在だ。何度も煮え湯を飲まされてきた。
それならば秘境でも生きられるだろう。
かつての戦いの際、逃げたと思われていたがこんなところにいたとは。
事情は詮索すまい。それは情けなどではなく、これより始まる戦いには必要のないものだからだ。
「では、勇者アルスよ、いざ尋常に――勝負」
老人だろうとも侮ることはできないことは先刻の部下の結果が教えてくれている。
だからこそ、最初から本気だ。全力を出すにはまだ足りないためにここはこのまま行く。
大斧を振りかぶり振るう。単純に力強いだけの一撃。それで十分。
単純な一撃だからこその危険性をアルスは正確に理解していた。
単純なのはそれだけ余分なものがないということだ。
遊びがないという事でもあるが、この場合は単純ゆえに高威力であり余分がない分速い。
受けることは到底不可能であるし、回避すれば単純ゆえに即座に次が襲ってくるだろう。
あるいは、その大威力で地面を抉り大地を砕き礫とするか。
――なんにせよ凄まじいな。
高速で回転する戦闘思考の中で判断は連続する。
まず、一直線に突撃に傾きかけていた身体を制する。
そのままでは直撃コースだ。突撃に前に傾きかけていた身体を無理には戻そうとせずにそのまま右斜め横へと抜ける軌道へと乗せる。
続いて考えるのはカウンターだ。相手はそのまま攻撃に続ける。それを制する為にもカウンターは必須。
狙うならば一撃においてこちらの示威になる場所であれば一番であるが多くは望むまい。
非才の身において才気あふれるこの武人に勝つためには一つ一つ積み上げる必要があるからだ。
ゆえに、ここは正道を行く。
大斧の軌道を反れれば、サルファーとすれ違う形。彼は両の手で大斧を握っているので迎撃が来ることは考えない。
そのまま胴に叩き付けるように剣戟を見舞う。
手ごたえはない。
「ぬう、堅いのぉ」
先ほどまでの鎧を断ち肉を裂いて骨を斬ったという感覚がない。あるのは硬質な衝撃のみ。
斬れなかった。つまりはそういうことだろう。
それに対して何ら思うことがないわけではないが、今は戦闘中である。高速で回転する戦闘思考に余分な雑音は混じらない。
硬質だ。どのような金属であろうか。オリハルコンか、アダムスか、イロカネか。そのどれでもないだろう。
この場合は魔装と見るべきだ。
上位魔族が使ったとされる魔力武装。己の魔力で編み上げた武装であり、その硬度は使用者の魔力と実力に依存する。魔力が高ければそれだけ密度も高まり硬くなるということ。
かなりの上位魔族であるとアルスは判断する。
「やるな、アルスよ。その年までよくぞ練り上げた。もしお前の剣が業物であれば鎧を斬られていたやもしれぬ」
「まだだ。この程度、ただの一振りで斬れぬのであれば、私もまだまだ未熟。賞賛などいらぬよ」
「そうか」
短く言葉はもういらぬとアルスは意気を滾らせる。
サルファーもそれに倣う。
心躍る戦いというのはこういうものだ。そう実感しながら、再びサルファーは踏み込む。
大斧を薙ぐ。振りおろしではなく薙ぎ。線の一撃ではあれど、その暴圧もまた恐ろしいまでの殺傷性能を秘めている。
ゆえに、線でありながらこれも面の一撃であった。
横へ避けることはできない。ならば後ろへ。
だが、アルスは前へ出ることを選択した。暴虐の塊たる大斧へと刃を合わせる。
傾斜した刃を流すように受け流す。振るわれる大斧の一撃一撃をそれで流していく。
巨人と戦っているかのような暴虐であるが、秘境にて数多の巨人と戦ってきたアルスにとってはこの程度はどうとでもなる。
やられた方はそうでもなく、驚愕で以て迎えられる為やらないでほしいが。
「なんだと」
だが、サルファーも名のある武人だ。驚愕こそすれ攻撃の手は休めない。
なぜならば、そのまま行けば勝てるからだ。大斧の一撃を受け流しているとはいえど限度というものがある。
少しずつ負傷が身体の表面を刻んでいるのが見える。それはアルスにとっては致命的だ。
彼は人間で、それも老人である。戦闘技術は冴えわたっているが、鍛え上げた肉体は既に枯れる寸前と言えた。
それでも力はある。だが、それでも老いとは逃げられぬ枷だろう。衰えは確実にある。
その点、魔族は魔力を持っているが為に、長命であるし何より頑強で衰えるということを知らない。子供であろうとも、力ならば人間を遥かに凌駕するほどである。
時間という枷もない以上研鑽を積んだサルファーなどの上位魔族は強い。
「だからこそ、惜しいな」
――お前が魔族であったならば。
良き戦友になったであろう。
強き敵も歓迎であるが、強き友もまた良いものである。互いの研鑽を見、切磋琢磨できる相手というのはなによりも貴重なものなのだから。
「そうか――」
アルスとて魔族であったならばと思わないでもない。勇者であるため大っぴらには出来ないが、時間という枷のない魔族は武人としては羨望の的だ。
自らの技術を際限なく、永遠と鍛えられる喜びは強い武人であればあるほど強まって行くのだ。
しかし、アルスの身は勇者である。
魔を滅ぼすことを期待された己は魔にはなれぬし、己に期待された役割を全うしなければならない。
その為に修業し、未だ至らぬ未熟な身であることがただただ嘆かわしくて仕方がない。
「素晴らしい、技術だ。感服するぞ人間」
賞賛の言葉がただただ恥ずべきものだとしか思えない。
この程度で、賞賛されるなど勇者としての恥でしかない。上位魔族を一振りで斬り伏せて来たと口を大にして言っていた先代には遠く及ばないではないか。
彼の仲間たちが、その話を聞いて修行に明け暮れるアルスを見て苦笑していたのは、まったく話にならなかったからであろう。
それを、
「さすがは勇者だ」
などと称賛するな。
そんな栄誉は、至らぬ未熟者が受け取って良いものではない。
ただの一撃で、相手を寸断できぬ非才で未熟なのだから。今もこうやって防戦しか出来ていないではないか。
だが、こんな己にも矜持というものはある。勇者としての矜持。弱く、非才で未熟な己に課した誓いともいえる。
その誓いは、負けないこと。何が在ろうとも勝つこと。
それが出来ねば己は勇者ではない。一撃で断てぬほどに弱いのであれば、せめて負けないように勝つしかない。
それが勇者アルスにできる唯一の事だ。
だからこそ、ここに来てカウンターではなく初めてアルスは攻撃へと移った。
「シッ――――」
短く呼気を吐きだし、強く振り下ろされる大斧に対して剣を強打する。
受け流すだろうと思い込みそれに適応していたサルファーはこの動きに一瞬未満だけではあるが遅れる。一瞬未満で済んだのはサルファーの実力と言えた。
それでも、その一瞬は戦いにおいては大きな間だ。その間があれば剣を数度振るうことなど雑作もない。
引き絞られた弓のように身体左側へと剣が遷移しての溜めの姿勢。
そして、弾かれたように剣が振るわれる。
鈴と音が鳴ったかのような錯覚。否、本当に鳴っていたのかもしれない。大気を引き裂く金属の鳴りは剣の言葉だ。
これからお前を斬るのだという端的で鋭い。
ゆえに、サルファーは下がる。
武人として引けぬし、人間相手に下がったとあっては名誉が傷つくということもあるがそんなことには構わず下がる。
この一振りをそのまま受けては斬られてしまう。それがわかった。
鈴となった剣の鳴りは澄み切っている。切れ味そのままの剣の言葉。
だからこそ、下がった。ステップを踏んで後ろへと。
だが、
「逃がさぬ」
それにアルスは追従した。
ここが剣の間合い。こここそがアルスの領域。であるならば、この一撃を当てられなくてどうする。反撃すると言ったのだから反撃する。
それは決定事項だ。ゆえに、さらに一歩踏み込んだ。
剣先が伸びるように腰から入る。腰から相手の左肩口へと向けて切り上げた。
魔族も人間も変わらぬ赤い血が噴き出した。
アルスは目を細める。
手ごたえはあったが、やはりそれは望むものには程遠い。
一振りは肩口へ抜けたものの望むよりも浅い。肉を裂いたが、骨には達していないだろう。つまりは、臓器まで達していない。
そのならばこそ両断などには程遠いということにほかならず、魔装すら切り裂いた見事な一撃だろうともアルスが望むものでは到底ない。
なぜならば、
「オオオオォォォォ!!」
サルファーは斬られてのけ反りはしたが、耐えて次の一撃を振りかぶっている。
勇者は、希望だ。反撃など許してはいけないと良く言われてきたアルスにとって、この結果は勇者失格でしかない。
それを後ろに下がって躱す。
「やるな、流石は勇者というところか」
「…………」
「ならばこそ、俺も本気を見せるとしよう」
高揚が力となる。意気高揚。魔力を発生させる魔心臓は、何よりも強くその高揚に合わせて速く、速く鼓動を刻んでいる。
生成される魔力は既に、通常時の数十倍以上。
「――来たれ神滅魔装、我が大斧ウコンバサラよ!! 我が心を燃焼させ、我が魔装は駆動する――!!」
かつての戦乱においても最終局面においてのみしようされた真なる魔の武装がその姿を現す。
これより先は神滅巨人闘争。
超常の力が現出する。これが魔族が畏れられ、この大地を制覇するに至った理由。上位魔族しか扱えぬ魔装の次なる段階。
数十メートル、あるいは数百メートルにも及ぶ超巨大武装。
それは、超巨大な斧だ。大地を、世界を割断せんとばかりに巨大な得物が現出する。
如何な上位魔族であろうとも、これを戦いの場で出すことなど稀だ。そこまで魔心臓は加熱せず、意気は燃焼しない。
だが、この場においての相手は勇者アルス。強敵だった。
ゆえに、滾るのだ。忘れかけていた闘争の日々。血沸き肉躍る戦い。これこそが、魔族としての本能。神々に挑み、全てを崩壊させる黄昏の種族の在り方。
顕現した大斧ウコンバサラが吠える。ばちりとはじけるその輝きは、いつか空に見た輝きだった。
人の身でこれに抗うことなどできない。これが、魔王に、魔族に勝てない理由。アルスが、修業して何十年もかけた理由。
これを斬る。そうでなければ勇者ではない。勇者は誰よりも輝き、鮮烈な希望でなければならないのだ。
本来ならばこれを使わせる前に倒すのが理想。だが、使われたのであれば、倒す。話を聞く限り最強と言われていた先代すら倒した神滅魔装を斬るのだ。
未だ至らぬ未熟の身で大言壮語を吐いている自覚はある。だが、斬らねばならぬ。斬らねば勇者ではない。
だから、アルスは真正面からウコンバサラに相対する。超巨大。天を貫く大斧に対して、生身で向かうのだ。
柄が握り潰れるほどに、握り跡がつくほどに握った鋼鉄の剣の柄を更に強く握る。錆ている、はこぼれもしている。
だからどうした。そう言わんばかりに自らの身体を引き絞る。
「潰れ切れろ勇者よ!!」
振るわれるウコンバサラ。天上を覆うその刃が降り注ぐ。ただのそれだけで凄まじい風が木々を薙ぎ山を削る。
身体が切れていくのを自覚しながらアルスはただ身体を引き絞る。引き絞り、ただ引き絞る。
もはや何も考えぬ明鏡止水。音も匂いも、何も感じない。静かに、己と敵だけがいる。
頭上に刃が来た瞬間、その一振りを放った。
何の音もない。ただするりと感慨もなく剣はウコンバサラの刃へと入る。
リィィンと、鈴の音が鳴り響く。
剣の言葉が響く。
「見事、なり――」
機関ごと斬り裂かれたウコンバサラ。
サルファーにあったのは、純粋な賞賛だった。
負ける気などなかったし、今放った一撃もまた自らにできる最上のものだ。ただ相手が強かったのだ。
ならば良し、悔いはない。
「すばらしき、いくさ、だった」
「ああ、こちらもだサルファーよ。感謝しよう。また一歩、勇者に近づいた気がした」
「そう、か」
「一つ問いたい。なぜ、お前はここにいる。ここは人間の領土であろう」
「滅んだからだ」
「そうか」
うすうすは感じていたが、やはりそうかとアルスは思う。
「修業を短期間で完遂できなかった、私の不徳だ」
王も姫ももはやこの世界にはおらず、守るべき者も戦う理由すらないのだろう。
全ては至らぬ未熟で非才な我が身が悪いのだ。
「ならば、魔王を斬る」
だからこそ、魔王を斬るのだとアルスは決めている。
例え、もはやその理由がなくとも、自らは勇者だ。魔王を斬ることこそが至上の目的。その過程で己はきっと至れるかもしれない。
「そう、かならばもってゆけい」
渡されるのは一本の剣。業物であることがわかる。その輝きは漆黒。何よりも鋭く全てを斬ると剣が言っている。
「ありがたく」
ありがたく受け取った。
「では、行く」
「行け、最後の人間よ、おまえと戦えたこと、誉としよう」
そう言ってサルファーは死んだ。彼もまた武人であった。願わくば、黄泉で再び逢いまみえることを切に願う。
アルスは行く。
此れより先は魔族の王道楽土。彼らの世界。ただ一人の人間として、アルスは、行く――。
自己評価が低く理想が高すぎる勇者がこれでは魔王を倒せぬと数十年くらい修業にあけくれていたらそろそろ寿命がきそうになったので魔王討伐に出向くと世界は滅んでいた的な話。
戦闘シーン練習用。簡単に言うとレベル上げに明け暮れすぎて世界滅んじゃった的な感じです。
人間には魔力なんてないし魔法も使えない。
一応、続きの敵の構想とかはありますね。
槍とか弓とか魔装の武装ごとに戦うお話が。
それから補足として神滅魔装は、実際かなり強いです。今回一撃でやられちゃったけど実際は使われると負け確定の代物です。
まあ、使うにはテンションあげて魔力生成しないといけないんで使うのかなり難しいんですけどね。
あと人型にトランスフォームします。てか実際は武装形態にもなれる人型ロボットです。
ガンソードのダンとかそのあたりと似たようなものです。
まあ、評判が良ければ続くんじゃないかな。