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パラボラアンテナを設置

「アリャ?この家、ハードディスクがないのか…」

 この家に引っ越してきてすぐ、テレビにつなぐハードディスクが設置されていないコトに気づいた。

「そりゃ、そうか。録画してまでテレビを見るような人じゃなかったからな~、おばあちゃんは。そもそも、録画の仕方がわかっていたとも思えない。なくて当然か…」

 さすがにテレビはブラウン管ではなく液晶になってはいたが、録画用の機器だとかブルーレイプレイヤーだとか、そういうものはついていなかった。

 仕方がなく、僕はインターネットの大手通信販売サイトで、ハードディスクを1台注文した。ついでに、衛星放送を見る為のパラボラアンテナも。


 数日後、何の問題もなく商品が到着した。

「便利な世の中になったものだな。こんな田舎いなかにまで送料無料で配達してくれるだなんて」

 僕は、そんな風につぶやきながら、自分でパラボラアンテナを設置していった。特殊な能力など何も持ち合わせていない僕だけども、さすがにこの程度のコトは1人でできる。

 こういうのは、やる気の問題なのだ。世の中、やる気が大切だ。“好きこそ物の上手なれ”いうではないか。


 僕は、衛星放送でアニメ番組を見るのが好きなので、ハードディスクとパラボラアンテナは必須道具なのだ。そのくらいの設置、自然と1人でできるようになったのも、当然だといえる。

 ちなみに、これ、結構難しい。パラボラアンテナの角度が0.5度ずれただけで、もう何も映らない。テレビ画面を見ながら、微妙な調整が必要となってくる。

 ほんとは専用の道具があって、それでアンテナの感度を測りながら設置するのが一番理想的なのだけれども、何万円もするような道具なので僕は持っていなかった。たった1度の使用の為に数万円はとても出せない。数百円くらいだったら買ったかもしれないが。あんなものは、電気屋さんが持っていればいい。個人で購入するようなものではない。


 こうして、無事、衛星放送を録画できる環境を整えた僕は、次から次へとお気に入りの番組を録画登録していく。そのほとんどは、アニメとドキュメンタリーだ。

 昔は、この辺りの地域では、ほとんどまともにアニメを見ることができなかった。それが、今では衛星放送とインターネットの公式配信を駆使すれば、ほとんどの作品を視聴できるようになった。

 そういう意味で、地方格差はほとんどなくなったといっていいだろう。無理をして都会に住む必要はない。

 もちろん、都市部の方が仕事は見つけやすい。けれども、この辺りの地域でも、ちょっと街中へ出れば、仕事などいくらでもある。仕事を選ばなければ、だが。何もかも自分の希望通りの仕事など、どこに住んでいたってなかなかありつけるものではない。


 都会は物価が高い。特に、家賃は。そういう意味では、田舎に住むべきだろう。

 とはいえ、この街も食料品だとか雑貨だとかは、かなりの値段がする。ほとんどが定価で売られている。100円ショップの1軒だって存在しない。

 ちょっと前まで僕が住んでいた実家の辺りは、もっと便利だった。激安スーパーもあれば、100円ショップもあった。中古で構わないならば、リサイクルショップで購入するという手もある。服も靴も定価で買うだなんてあり得なかった。とんでもなく安い値段で簡単に手に入った。

「わずか車で1時間の距離なのに、えらく不便なのだな…」と、僕は1人でつぶやいた。

 ま、ちょっと不便ではあるけれども、それ以外に特に不満はない。

「しばらくは、ここで生活し続けるとするか…」

 あらためて僕は、そんな風に思うのだった。

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