畑を荒らして放置しておく
時は流れ、10月が過ぎ、11月となる。
ここまでくると、植物はほとんど育たなくなってくる。
僕は、新しく種をまくのはやめて、来年に備えることに決めた。
近所からお手伝いの声をかけられることもほとんどなくなってしまった。
「次は、いつから再開すればいいのだろうか?」
畑の真ん中でクワを持って立ち尽くしたまま、僕はそうつぶやく。
「2月だろうか?3月だろうか?」
“冬の間は、畑をクワで耕し、適当に荒らしたまま放置しておいた方がいい”と、近所の農家の人から聞いていた。
なので、何も植える予定もない畑を、僕は一生懸命に耕し続けているのだった。きれいにウネを作るのではなく、こうして適当に荒らしておいて空気に触れさせておいた方がいいらしい。
けれども、その作業にも段々と飽きてきた。
しかも、11月も終わりに近づくと、思っていた以上に空気が冷たくなってくる。
段々と畑に行く時間が減っていき、家の中で過ごす時間が長くなっていく。
それと同時に、パタリと収入が途絶える。
毎月、国からもらえる8万円以外は、全く入ってくるお金がなくなってしまった。
「ちょっと節約しながら生きていくしかないか…」
幸い、秋の内に作っておいた保存食もある。近所の食堂やヒツジマーケットのお弁当を駆使すれば、食べていくくらいはどうにでもなるだろう。食費に1日1000円使ったとしても、月に3万円で済む。光熱費や通信費などを含めても5万円はかからない。
「こういう時に家賃がかからないというのは、本当に助かるな。とはいえ、冬の間は節約しつつ生きていかないと」
そういいつつ、僕は無駄づかいもしてしまっていた。テレビの衛星放送で、有料放送を契約してしまったのだ。
畑作業に行かなくなった分、異様に時間が余ってしまい、時間を持て余してしまっていた。最近は、駄菓子屋に例のビデオゲームをプレーしに行くようなこともなくなった。そこで、有料放送の契約をして、映画でも見て過ごそうと思ったのだ。
「まあ、このくらいの贅沢は許されるだろう。近所にレンタルビデオショップもないことだし」
僕は、自分で自分にそういいきかせる。
おかげで、思った通り、心の底から映画を楽しむことができた。最新作から古典まで、24時間ひっきりなしに映画の放送をしているのだ。それ以外にも、海外の最新ドラマや、リアリティショーなどのバラエティ番組も放送されている。同時に3チャンネルの放送があって、これで月々2500円しかかからない。
そうやって、僕のテレビ三昧の日々が続く。
が、楽しかったのは最初の何ヶ月かだけだった。
しばらくは映画を中心に有料の衛星放送を堪能していた僕だったが、段々とそれにも飽きてきた。そもそも、24時間放送しているとはいっても、再放送が異様に多いのだ。ひたすらに同じ作品のループで成り立っている。
それでも、冬の間の暇つぶしにはなった。1日1本の映画を見ても、1本あたり100円もかからない計算になる。完全に元は取れている。しかも、短期間の内に、かなり映画にも詳しくなった。それだけでも、時間とお金をかけたかいはあっただろう。




