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おばあちゃんの残した畑を耕し始める

 翌日から、僕は畑をたがやし始めた。

 ヒツジマーケットのおばさんに教えてもらった畑は、5メートル×10メートルほどの広さだった。本格的に農業を始めるにしては、あまりにもチッポケなものだったが、個人が趣味で耕すには充分な広さだった。


 おばあちゃんの残してくれた畑は、住んでいる家から5分ほどの距離にあり、ちょっとばかし坂を登った場所にあった。

 何年もほうったらかしになっていたようで、草はボウボウにはえまくり、荒れ放題ほうだいに荒れてしまっていた。


 僕は、家の倉庫にしまってあったサビだらけのクワやシャベルを引っ張り出すと、さっそく作業を始める。前の日にインターネットで調べておいたので、基本的に何をやるかはわかっていた。

「まずは、草を抜いていかないとな…」

 そうつぶやくと、僕はボロボロになった軍手を手にはめると、端から草を抜き始めた。この辺はゲームと同じだ。農場経営のゲームでも、最初は雑草を抜いたり刈ったりする所から始める。邪魔な切り株があれば、それも除去していく。

 幸い、この畑は、それまでおばあちゃんが管理していただけあって、大きなな石だとか切り株があったりはしない。ゼロから開墾かいこんしていくのとは違う。そういう意味では、初心者向けのステージだといえる。


 最初は調子よく進んでいた僕だったが、すぐに疲れが来てしまった。

 なにしろ、ズ~ッと家の中で暮らし続けていたのだ。肉体労働なんてほとんどやったことがない。腰をかがめて作業をするだけでもすぐに疲れてしまう。その上、草はやわらかいものばかりではなく、強情ごうじょうに地面に根を張っているものも多かった。

 仕方がないので、あまりにも深くまで根が張っている草は手で抜くのはあきらめて、クワを使って掘り起こすようにした。これが、また一苦労なのだ。


「もっと便利な道具はないものだろうか?そもそも、これ、根っこから全部掘り起こす必要があるのだろうか?草の表面だけ刈り取って、根は残っていてもいいんじゃないのかな~?」

 作業を続けていると、そんな疑問がわいてくる。

 そこで、僕はその日の畑作業が終わると、家に帰ってからインターネットでいろいろと調べてみるのだった。

「より効率のよい草の抜き方は?」

「どのような道具があるといいのだろうか?」

「最も力にかからない体勢は、どのようなものだろうか?」

 そういった疑問を片っ端にキーボードに叩き込んでいき、調べ倒す。


 さらに、お昼寝の時間も増えた。

 2~3時間の畑作業を終えると、家に帰って軽くシャワーを浴びる。その後、パタリと布団に倒れ込み、グ~スカピ~と眠り込むのだった。まるで、幼稚園児みたいに。


 これが、僕の日課となっていった。

 毎日、僕は畑に出かけ、草を抜いたり地面を耕したりする。それからシャワーを浴びて、お昼寝をする。その後、近所にある駄菓子屋まで歩いていき、例のビデオゲームに没頭する。

 夜になると、インターネットで調べ物をし、ネットの大手通販サイトで必要な書籍などを購入する。


 こんな日々が何日も続き、ついに僕はおばあちゃんの残した畑を全て耕し終わった。

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