名前を呼ぶだけで
掲載日:2026/04/24
初夏の日差し。
学校の庭のベンチで、アルとエリカは昼食をとっていた。
「アル、このサンドイッチ美味しい」
「良かった。エリカのは、少し薄味にしてみたんだ」
その一言に、エリカは小さく息を止めた。
(今……)
自然に呼ばれた。
名前で。
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ふふ、と笑みがこぼれる。
「エリカ? 何がおかしいの」
「おかしくないよ」
エリカは首を振る。
「嬉しいの。アルが“エリカ”って呼んでくれるのが」
アルは少しだけ驚いた顔をして、それから笑った。
「俺も嬉しいよ。“アル”って呼ばれるの」
二人で、少しだけ照れながら笑う。
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「アル」
「エリカ」
呼んで、返して。
それだけなのに、なんだか少し特別だった。
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「アル。嬉しい?」
「うん。エリカは?」
「もちろん」
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風が少しだけ吹いた。
昼休みは、まだ終わらない。
二人はそのまま、並んで座っていた。
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