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第七話 第三次ソロモン海戦、第二ラウンド

 1942年(昭和十七年)11月13日

 13日の金曜日——西洋では不吉とされるこの日、ソロモンの海には日米双方の主力艦隊が集結しつつあった。


 連合艦隊 司令長官:山本五十六大将

 主力部隊(連合艦隊直率)

 第一戦隊【戦艦】「大和」「長門」「陸奥」

 第三水雷戦隊【軽巡洋艦】「川内」

  第六駆逐隊【駆逐艦】「暁」「雷」「電」

  第十一駆逐隊【駆逐艦】「白雪」「初雪」「叢雲」

  第十九駆逐隊【駆逐艦】「浦波」「綾波」「敷波」


 第二艦隊 司令長官:近藤信竹中将

 第四戦隊【重巡洋艦】「高雄」「愛宕」

  第四駆逐隊【駆逐艦】「嵐」「野分」「萩風」「舞風」

 第七戦隊【重巡洋艦】「最上」「三隈」「鈴谷」「熊野」

 第十一戦隊【戦艦】「霧島」

 第二水雷戦隊【軽巡洋艦】「阿賀野」

  第十五駆逐隊【駆逐艦】「黒潮」「親潮」「早潮」

  第十六駆逐隊【駆逐艦】「初風」「雪風」「時津風」


 支援部隊 指揮官:山口多門中将(二航戦司令)

 第二航空戦隊【空母】「蒼龍」「飛龍」

 第八戦隊【重巡洋艦】「利根」

 第十戦隊【防空巡洋艦】「長良」

  第四十一駆逐隊【駆逐艦】「新月」「若月」「霜月」


 外南洋部隊(第八艦隊) 司令長官:三川軍一中将

 【重巡洋艦】「鳥海」(旗艦)

  第八駆逐隊【駆逐艦】「朝潮」「大潮」「満潮」「荒潮」

 第六戦隊【重巡洋艦】「加古」「衣笠」

 第七水雷戦隊【軽巡洋艦】「名取」

  第四十三駆逐隊【駆逐艦】「松」「竹」「梅」「桃」

  第五十二駆逐隊【駆逐艦】「桑」「桐」「杉」「槇」

  第五十三駆逐隊【駆逐艦】「樅」「樫」「榧」「楢」

 【輸送船】11隻

  

※挺身艦隊のうち四水戦及び第二十四駆逐隊は損傷艦を護衛しトラックへ、それ以外は第二艦隊隷下に。


 日本海軍は(事実上の)水上艦隊たる第二艦隊に加え、山本五十六連合艦隊司令長官率いる第一戦隊までもが航空支援を担当する二航戦とともにソロモン海へ向かっていた。一方、外南洋部隊である第八艦隊は輸送船を護衛し、第三十八師団の揚陸を支援することになっている。さらに、基地航空隊たる第十一航空艦隊もラバウル、ブカ、ブインの各基地に展開し航空支援を行う。


 第16任務部隊 指揮官:トーマス・キンケイド少将

 【空母】「レンジャー」

 【護衛空母】「ロング・アイランド」「スワニー」

 【重巡洋艦】「ペンサコーラ」「ノーザンプトン」

 【軽巡洋艦】「サンディエゴ」

 【駆逐艦】12隻


 第64任務部隊 指揮官:ウィリス・リー少将

 【戦艦】「ワシントン」「サウスダコタ」「インディアナ」

 【重巡洋艦】「オーガスタ」「ウィチタ」「タスカルーサ」

 【軽巡洋艦】「ブルックリン」「クリーブランド」

 【駆逐艦】15隻


 対するアメリカ海軍は虎の子の正規空母を含む第16任務部隊(TF16)に、新鋭戦艦を中核とする第64任務部隊(TF64)と太平洋艦隊のほぼ全兵力を集結させていた。さらに、ニューヘブリディーズ諸島(特にエスピリトゥサント島)の陸軍航空隊も存在する。


 なお、これら艦艇の多くが1942年11月8日に実行された大西洋での連合国軍反攻作戦「トーチ作戦」の参加予定艦艇であった。この結果、同作戦の規模は縮小され、その成果は戦略的には不十分なものとなっている。



 さて、乱戦となった第一夜戦終了後、アメリカ軍は残敵掃討のためエスピリトゥサント島のB-17「フライングフォートレス」やTF16のF4F、SBDにTBD、さらに新鋭雷撃機TBF「アヴェンジャー」ら100機近くの航空隊を送り込んだ。


 しかし、二航戦及びブイン基地から発進した直掩隊(およそ40機)の妨害を受け、攻撃は困難を極めた。陸海軍の連携が十分に取れず、日本側に迎撃の隙を与えてしまったことも大きい。


 米軍による日本艦艇への空襲は不首尾な結果に終わった。14時ごろには「比叡」の曳航に成功し、日本海軍残存艦艇は戦場を離脱することができた。


 また、この前後にはガ島に座礁していた重巡「サンフランシスコ」を日本軍が発見、部隊を送り込み同艦を制圧・鹵獲している。


 そんな中、14日の日の出ごろには日米双方の主力艦隊がソロモンの海に集結、戦いの第二ラウンドが幕を開ける……



 11月14日 5時30分

 太陽が水平線から顔を出し、白みがかった空の下を進む第二艦隊、その戦列の中に二水戦旗艦「阿賀野」の姿はあった。戦艦「比叡」の曳航終了後、一息つく間もなく「阿賀野」は第二艦隊に編入されていた。


「しかし、GFも人使いが荒いですな、こちらは補給も済ませていないと言うのに」

 対空警戒を行う「阿賀野」艦橋、そこで主計長が呟いた。海戦後の「阿賀野」が受けた補給は戦艦「大和」からの燃料のみであり、砲弾は定数の6割、魚雷は半分しか残っていない。


「口を慎め、それは他の艦も同じだ」

 中川艦長が注意する。しかし、彼自身もこの先この「阿賀野」が生き残れるのか内心不安であった。


 中川は後方に双眼鏡を向けた。そこには連合艦隊旗艦「大和」がいる。世界最大の巨艦の雄姿は遠目にもよくわかる。

(山本長官も前線に来ている。正に「決戦」だな、ミッドウェー以上の激戦になるだろう)


 その時、通信室から報告が上がる。

「GF司令部より入電!『右舷後方ヨリ友軍機、誤射ナキヨウ注意サレタシ』」


 およそ十分後、複数の機影が見えてきた。基地航空隊の零戦、一式陸攻だ。さらに遅れて数分後には二航戦の零戦、九九艦爆、二式艦偵の姿も現れた。彼らはガ島南方にいるであろう敵機動部隊へ向かう……



 9時50分

「無念だ……」

 TF16指揮官トーマス・キンケイド少将はうなだれていた。眼前には板材がめくれ上がり、炎と煙に包まれた飛行甲板が見える。


 彼が乗る空母「レンジャー」の命運は尽きようとしていた。日本軍の一式陸攻ベディ九九艦爆ヴァルの大群に襲われた彼女は爆弾5発、魚雷2本を喰らい、軍艦としての機能を完全に失った。


 キンケイドは飛行甲板中央に爆弾を命中させたヴァルの姿を思い返す。見事としか言えない投弾だった。おそらく日本軍の中でも特に腕利きのパイロットなのだろう。あの被弾によって舵機室が破壊され、「レンジャー」は操舵不能となり滅多打ちにされてしまった。


 彼が率いるTF16の中で被害を受けたのは「レンジャー」だけではなかった。貨物船改造の護衛空母「ロング・アイランド」は被雷により横転、今にも波間に消えようとしており、重巡「ペンサコーラ」は魚雷2本を受け航行不能となっていた。


 さらに、こちらが放った攻撃隊も日本の輸送船団らしき部隊を発見したものの戦果は巡洋艦2隻と駆逐艦1隻に損害を与えたのみ、主力部隊も発見できなかった。


 キンケイドにとって救いだったのは、大西洋から引き抜かれた護衛空母「スワニー」が無傷で残っていることだった。まだウィリス・リー少将率いるTF64の支援はできる。


 部下に促され、キンケイドは将旗を軽巡「サンディエゴ」に移す。

(空母機動部隊の能力ではいまだ日本が上なのだな)

 再び「あのヴァル」の姿を思い返しながらキンケイドは思った。


 大炎上した「レンジャー」は懸命な消火活動が行われたものの、炎を食い止めることが出来ず艦の放棄が決定した。


 乗員が退艦した後もいまだ海の上に浮かぶ「レンジャー」への対応が協議される。その最中「レンジャー」は大爆発を起こした。弾薬庫に火が回ったのだ。

 彼女の姿が南太平洋に消えたのは12時28分のことであった。




 そして日没が訪れ、ソロモン諸島は闇に支配された。日米の艦隊はガ島沖に突入、ここに第三次ソロモン海戦第二夜戦の幕が開ける……


 第三次ソロモン海戦 11月14日 19時頃

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
 遅くなりました。今回も参加ありがとうございます。  堅実な歴史改変かつ、海戦シーンが良い味出しています。  いよいよ第三次ソロモン海戦第二夜戦。史実よりも早く竣工した「阿賀野」の活躍に期待大です…
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