閑話「新世界情勢 vol.1」
※ 改行3つ
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※ ◆
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大きな星が落ちてくる。何気ない日常の中で。
その星に人々は、文明は無力だった。抗う猶予すら与えられず、星は飛来し、住まうこの星の生命を殺さず、頼れる文明のみを奪い去った。
その星は「転生星」と名付けられ、曰くこの日を星が生まれ変わった日とし、「転生元日」とされた。
———この時、『転生歴 〇年』———
この時より新世界、人々は秩序なき大地に放り出された。
夜明けの光を見た人間はほんのわずか。以外は暗き空が光を阻む。
晴れた空の下、病む空の下、同様に以前の光景に見えた影は、このとき歪な形で地に張り付く。
転生星の影響か、現在する生物で突然変異を起こした危険生物「異核獣」が出現し、残骸のように残った人類の文明を容易く凌駕する力を見せつけた。
獣が卓上へあがる。皿の上ではなく———盛り付けられたのは人の方。
人の頼る文明は朽ちている。生存物に縋りついても、派手な音のみ。奴らの身体に赤を付けれはしなかった。
———ここより『転生歴 一年』———
希望なき暗雲が太陽を幾度と拒み続けた。人々は恐れ怯える他無く死を届けられ、また自らでそれを求めた。
その時代は時代というには短くも、命が終始変生するこの期間は印象深く、「命囂期」と呼ばれ時代に刻まれる。
そんな絶望の淵で旗を上げたのは、後に色彩英雄と呼ばれる者たち。
色づく極光にて獣たちを屠る色彩英雄のリーダー、『彩主』を筆頭に、暗雲が阻む空に色彩を見せ、この星に再び人界を呼び戻した。
青色、黄色、水色、緑色、桃色、橙色、鶯色、茶色、紫色、灰色———
生きる伝説として語られる彼らには、時に各々固有の色彩を用いてそう呼ばれる。
彼らの力はのちに『耀偽』と呼ばれ、彼ら力ある者はこう呼ばれる。
核心を持つ者———『核者』と。
核者は命囂期終わりを境に爆発的に増え、それによる悲劇はそのすぐ。
———ここより『転生歴 二年』———
善あれば悪のものあり。
何とも愚かで悲しい。
暗雲と獣の災害が減るにつれ、ある一つの災害が日増しに発生し始めた。
それは人の災害。血染めの災害とも呼ばれ、人が人を脅かす災害。
しかし戦争ではない。たった一人で起こせる、最も罪深い、快楽と衝動のみの、旧世界を生き、新世界の暗雲から身を狭め積もった、秩序の枷というおもりから一切を解き放たれた、自分勝手な狂人たちの喚きである。
旧世界を知る奴ら狂人は、秩序なき世界において弱肉強食を好んだ。
奴らの中でも特段危険な存在である「核者の犯罪者」は『咎人』と呼ばれ、力なき弱者から恐れられることになる。
———ここより『転生歴 三年』———
『新世界』の地にはすでに幾つもの、各々志を持った組織が生まれ、人々は世界全土、各領地へと散らばり、旧世界人並みの生活を取り戻し始める。
領地や法など、世界重要案件を決める世界会議(のちに世導会議と呼ばれる)では、闘争が起きぬよう公正に判定、記録、管理を行うと名乗りをあげた『新界域天秤・バーチカルム』という審判役組織のもと、公正に分配、決定された。
領地を獲得する組織は核者でない人間、その他生物の受け入れを可能とする組織が優先された。
しかし未だ不特定多数の要因で領地に適さない土地も存在し、『不文律界域』という名目でバーチカルムが管理、そのすぐ後のこと、一部を『冒険者ギルド』という新たな組織が非常に過酷な土地を領地として獲得、開放した。
世界に秩序が息を吹き返したことで組織体制を持った咎人たちが各領地で軒並み討伐、捕縛された。
捕縛された咎人たちは罪状によっては咎人の大集合監獄、『監獄大陸』に収監され、取り調べなど様々なことをされる。
———ここより『転生歴 四年』———
無秩序な時代がようやく幕を閉じかけた頃、『狩猟教団』という犯罪組織が壊滅状態の別犯罪組織を吸収、現在の世界体制に不満のある組織を取り込むなど、数日で超巨大組織へと拡大。
名を改め『狩猟教団テミス・ハデス』として巨悪の根源へと変貌、幾つもの組織、領地の影に潜入、巣を作り散らばる。
世界全土で狩猟教団による虐殺が始まる。
後に光輪戦争と呼ばれ、この時現存する人類三十億人の7割ほどが死亡するという結末で幕を閉じたのだった。
——————
光輪戦争において、幾つもの領地へ救援に向かい咎人を捕縛、討伐し、戦争を終着に向かわせた立役者『贖罪騎士団』。
旧世界における警察のような役回りで、主に咎人の対処を行う。
世導会議にて広大な領地を手に入れ、現在も行く宛のない民間人を多く受け入れている。
外部からの咎人案件救援要請も受け入れており、対核者のプロフェッショナルとして世界的に知られている組織でもある。
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『色彩の都パレステス』。色彩英雄のリーダー、「彩主」が転生歴二年時に開国した、世界最大の領地を誇る国で『色都』とも呼ばれる。
現在正式に国として運営している唯一の場所。
民間人の年間受け入れも最多であり、治安も圧倒的に良い。
命囂期、数多の強力な異核獣を討伐してきた経験から、対異核獣のプロフェッショナルとして世界的に知られているだけでなく、唯一光輪戦争を外部の手を借りず咎人を殲滅、戦争を治めた実績やその他技術も発達しているなど、全能組織として自立発展を可能としている。
しかし黒い噂が世界で広まっており、内容は転生歴三年時に世導会議が終了直後のこと。
『黄昏浄土』という主に作物の栽培など食料確保を優先に、世界全土の組織、領地へ分配を行う完全社会貢献に重きを置いた組織の領地内へ突如襲撃を行なったというもの。
実際には黄昏浄土の領地にて凶悪な異核獣が出現し、パレステスの最大戦力を持って討伐に向かい、その戦闘の最中、凶悪な異核獣の耀偽によってパレステスの騎士たちが洗脳、暴走したことで黄昏浄土が襲撃されたと誤認されている。
その凶悪な異核獣は、耀偽の力から『血染めの獣』と呼ばれ、彩主率いる色彩英雄たちが総力をかけて討伐に成功。
しかしその戦闘でパレステスは甚大な被害を喰らい、色彩英雄の大半がそこで死亡している。
———転生歴 六年(現在)———
現在世界ではパレステスと血染めの獣との戦闘が誤認された解釈をされ、中でも領地の近い贖罪騎士領ではパレステスがいつ攻めて来てもおかしくないと不安を募らせている。
このような煽りが両者組織内で高まり、実際に現状関係は極めて悪い。
しかし現在、この問題についての解決策として両者上層部の外交の結果、パレステスと贖罪騎士領が挟むような形で面している不文律界域『夜明けの地』にて、平和協定を結ぶような動きがある。
———新世界情勢 vol.1 完———
シナリオのない閑話をお読み頂きありがとうございました!
堅苦しい説明文になってしまったかもしれませんが
この部分を押さえておくと、本編の展開が分かりやすく楽しめると思います。
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