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大地のためのダンジョン運営  作者: あがつま ゆい
ダンジョンマスターと魔王
34/70

第34話 撮影を終えて

「しっかし、コイツ重いよなぁ」

「しょうがねえだろ、ドラゴンなんだし」


 気絶したドラを運び出してダンジョンの外に出たアルフレッド一行は、もう十分だろうと配信を終えることにした。


「ふう……今回の冒険は以上となります。最後まで見ていただき本当にありがとうございました。次回も見てね」


 そう言うと同時に使い魔を握り潰し、撮影を終える。


「お疲れさま」


 ドラゴン1匹を外まで運ぶ。という重労働を終え、一行はクタクタに疲れていた。アルフレッドも撮影が終わるまで隠していたが、息が切れていた。

 一仕事を終えた後、レナは腕を怪我したゴンに心配そうに話しかける。




「ゴンちゃん、大丈夫? 血は止まってるようだけど腕とかきちんと動く?」

「ガウッ!」


 ゴンが言うには「大丈夫だ」と言いたいらしい。


「グルルル……」


 その時、気を失っていたドラに意識が戻り、立ち上がる。


「ドラちゃん、大丈夫!? 痛い所とか無い!?」

「ガウッ!」


 彼もまた「大丈夫だ」と言う意味でひと鳴きした。




 アルフレッド一行が呼吸を整え、ようやく余裕が出て来た所に、ダンジョンマスターSことソルがやって来た。


「そっち行っても大丈夫か?」

「大丈夫ですけど、先生! ちょっとやり過ぎなんじゃないんですか!? ドラちゃんもゴンちゃんも結構なケガしてたんだから……ドラちゃんは気絶したんですよ!?」

「悪かったよ。ドラゴンを相手にするだなんて初めてだから加減が分からなくてさぁ……すまない事したよ」


(ククク……ソルの奴、マスターに怒られてやがる)

(ああ。いい気味だぜ)


 ドラゴン2匹がほくそ笑んでいたのは誰も知らない。




「言い訳になるかもしれないけど、ドラとゴンの奴が本気出して襲ってきたからこっちも本気で戦わざるを得なかったんだ」

「先生、ドラちゃんやゴンちゃんが悪い。って言いたいんですか?」

「レナは離れていたから分かりにくいだろうけど、アイツら本気で挑んできたんだよ。殺気もビンビン感じてたんだ。下手したらこっちが大けがを負うところだったんだぜ?」

「もう、そんなのただの言い訳じゃない。ドラちゃんもゴンちゃんもそんなことしないよね?」

「「ガアッ!!」」

「ホラやっぱりね」


 ドラとゴンの奴、上手い事演技しやがって……ソルは上手い事立ち回るドラゴン2匹に苛立ちを感じていたが、それを理解してくれる仲間はいなかった。




「ところでアルフレッド、どうだ? 今回の撮影は上手い事行ったか?」

「ああ、スゲェのが撮れた。ドラゴン相手にあそこまで立ち回るなんてそうそうないぞ。ソル、お前とんでもなく強い奴なんだな。ビックリしたぜ」

「小さい頃からダンジョンマスターやってりゃ、これくらいのことは出来るさ。さすがにドラゴンを相手にするのはしんどいけどな。出来れば2度はやりたくない」

「ソル、ありがとう。いつもあの程度の出演料しか出せなくて悪いけど」

「良いって事よ。俺とお前の仲だろ?」


 アルフレッドがダンジョンマスターSに払ったお金がそのままその日の出演料となった。




 配信が行われてから3日後。各地から続々とファンレターが届いていた。


『アルフレッドさん、配信お疲れ様でした。ドラゴンなんて初めて見ましたよ。良い物見せてもらいました』

『配信お疲れ様です。ダンジョンマスターS、かなり強いですね。あのドラゴンを相手にしても1歩も引かずに戦ってましたから』

『生きてるドラゴンなんて初めて見たから大変面白く見させていただきました。次回の配信も期待しています!』


 今回の配信も大きな反響が出ていた。特に生きているドラゴンが見れたとあって、いつも以上に評判は高い。




「いやぁ、相変わらずこういうお便りがあると配信のしがいがあるよなぁ」


 ファンレターの数々にかなりの上機嫌だった。そんな時……。


「おいアルフレッド」


 この国の王である一番上の兄が部屋に入って来る。その表情は相変わらず険しい。




「今までは黙ってたが、今後配信を続けるのなら税金を払ってもらおうか?」

「へぇ~、税金ですか。って事はボクのやってる事を道楽ではなく立派な事業だ、と認めるわけですか? いやぁお兄様に認められて嬉しい限りですなぁ」

「……!! こ、この野郎! とにかく娯楽を提供しているという仕事をやっているのなら、払うものは払ってもらわないと困る! 例え実の弟だとしてもそうだ。

 王族だけ特例事項で見逃していたら、職権乱用を疑われて支持が落ちるからな。しっかりと払えよ。脱税は許さんからな」

「分かりましたよお兄様。払うものは払わせていただきますのでご安心を」

「クッ……」


 国王は苦虫をかみつぶしたような渋い顔をしながら部屋を出て行った。

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