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タイムパトロール(俺たちが歴史の証人だ。)  作者: ピーターフレミング
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最終話 坂本龍馬

八木「隊長、好きな歴史上の人物ナンバーワンは誰だと思いますか?」


隊長「うーん、俺が一番好きなのは坂本龍馬だけどな。」


八木「正解です、隊長。」


隊長「そっか。大体かっこいいよな。一介の浪人の身分で薩長同盟の仲介役をしたり、大政奉還を成し遂げたり、本当にスーパーマンだよな。しかもそんな偉業を31歳の若さで暗殺されるまでに成し遂げたんだぞ。凄いとは思わないか?」


八木「いやー、その事なんですが、どうも怪しいんですよね。」


隊長「何が?」


八木「どうも、坂本龍馬に関しては史実と小説がごっちゃになっていてらしくて、私はそれを確かめたいんですよ。」


隊長「えっ、なに、また捏造(ねつぞう)?」


八木「いや、坂本龍馬に関しては捏造とは違いますよ。司馬遼太郎の「竜馬がゆく」という小説がフィクションにもかかわらず、みんながそれを事実だと信じてしまったんですよ。だから、司馬遼太郎は龍馬ではなく竜馬という漢字をあえて使っているのでしょうか?」


隊長「えー、まじで。まあ、俺が読んだのは司馬遼太郎の「竜馬がゆく」じゃなくて、武田鉄矢と小山ゆうの漫画「おーい!竜馬」だけどさ。えー、俺、感動して泣いたよ。」


八木「すいません。ただ、我々の仕事は歴史の真実を確かめる事ですからね。」


隊長「俺の何十年もの思いが今日粉々に砕かれちゃうの?ひどくない?」


八木「じゃあどうします。坂本龍馬に関しては封印しちゃいます。」


隊長「そんな訳にいかないだろう。行くよ。あーあ、今回もがっかりの旅になりそうだな。」


八木「気持ちは分かりますが、しょうがないですよ。それが我々に与えられた重要な任務ですから。」


隊長「分かったよ。じゃあ日時を設定してと。スイッチオン。」


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二人の乗ったタイムマシーンは無事1867年に到着した。


隊長「八木!大丈夫か。」


八木「はい、私の方は異常ありません。」


隊長「無事ついたようだな。じゃあ、早速、龍馬を探すか。」


八木「はい。ただ、龍馬は命を狙われていますからね、きっと身なりを変えたり名前を変えたりしてどこかに潜んでると思うんですよね。簡単に見つかりますかね。」


隊長「じゃあ、龍馬の暗殺された近江屋に行ってみるか?」


八木「そうですね。暗殺の日にちも迫っていますし、近江屋ならば手掛かりを掴めそうですね。」


隊長「ところで八木、光線銃は持ってきているだろうな。」


八木「はい、ここに。」


隊長「さすがにこの時代は物騒だからな、新選組や京都見廻組がうろうろしてるはずだぞ。」


八木「さすが隊長、詳しいですね。」


隊長「おーい!竜馬」はかなり読み込んだからな。」


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二人は近江屋に到着した。


八木「すみません、坂本龍馬さんはいらっしゃいますか?」


店主「いや、そういう方はご存じありませんな。」


やっぱり身を隠しているようだ。


八木「そうですか?でも私たちは敵ではありませんから、誤解のないように。では、また来てみますよ。」


二人は近江屋の近くに宿を取り、龍馬が出入りするところを見張ることにした。


隊長「この時代は写真があるからまだ助かるよな。それに比べて聖徳太子の肖像画はひどいよな、あれじゃ見つからんぞ。」


八木「根に持ってますね。」


隊長「当たり前だろう。しかし、今回は真実を知るのが怖いよ。」


八木「頑張りましょう。」


--------------------------------------------------------------------


翌日、龍馬が近江屋を出入りするのをあっけなく見つけた2人は早速近づいてみた。


八木「すみません、坂本龍馬さんですよね。」


龍馬「・・・・。」


八木「我々はあなたの敵ではありません。我々は未来から来た者です。あなたから直接お話を伺いたくてやってきました。」


龍馬「未来?よく分からんがわしに危害は加えんのじゃたら、話くらいは聞いてやろう。」


八木「ありがとうございます。」


二人は近江屋の2階へ通された。


八木「早速ですが、あなたは坂本龍馬さんに間違いないですよね。」


龍馬「間違いなく、正真正銘、わしが坂本龍馬じゃ。」


八木「では、いくつかご質問いたします。」


龍馬「おう、聞いてくれ。」


八木「あなたの一番の功績とされる「薩長同盟」はあなたの仲介によるものですか?」


龍馬「いや、わしは使い走り程度で、「薩長同盟」の一番の立役者は薩摩藩の小松帯刀さんじゃ。だいたい、一介の浪人のわしにそんな大役が務まるわけがなかろうが。」


八木「だ、そうです。隊長。」


隊長「はい、分かりました。」


八木「隊長、気持ちは分かりますが、もう少し頑張ってください。では龍馬さん、大政奉還を画策したのもあなたですか?」


龍馬「それは後藤象二郎がやった事じゃ。わしも後藤と少しは話をしたが、ほとんどは後藤の力じゃな。」


八木「隊長、分かりましたか?」


隊長「じゃあ、龍馬さん、あなたは何をやったんですか?」」


龍馬「うーんわしか?わしは亀山社中という会社を作ったぞ。ただし、船はみんな沈没しちゃうし、赤字続きで大失敗だったな。」


隊長「八木、もういいよ。俺は帰ってすぐ横になりたい。早く帰ろう。」


八木「そうしましょうか?龍馬さん、お時間をいただきありがとうございました。我々はこれで帰ります。」


龍馬「おう、そうか。ご苦労さん。達者でな。」


八木「龍馬さんこそ、お達者で。では失礼いたします。」


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タイムマシンは無事2056年に戻って来た。


隊長「八木、無事か?」


八木「はい。私は大丈夫です。で、どうでした、坂本龍馬に会ってみて?」


隊長「早く帰って横になりたい。」


八木「隊長、そうがっかりしないでください。司馬さんの小説が素晴らしすぎてフィクションが独り歩きしてしまったんですよ。」


隊長「分かったよ。」


八木「でも隊長、考え方によってはやっぱり坂本龍馬ってすごくないですか?一介の浪人が幕末の志士たちと顔見知りで話し合いまでしているんですよ。」


隊長「そうだな。ありがとう八木。でも、俺この仕事辞める。」


八木「えー。何ですか、急に。」


隊長「もう耐えられない。だって、歴史って嘘ばっかりじゃん。」


八木「隊長、少し休暇を取りましょう。1か月も休めばまたやる気が出ますって。」


隊長「じゃあ、長官に休暇願を出しておいて。俺、帰って横になりたい。」



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