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タイムパトロール(俺たちが歴史の証人だ。)  作者: ピーターフレミング
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第3話 蘇我入鹿

八木「隊長、中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我入鹿を殺した事件の事は知ってますか?」


隊長「だから、歴史は得意なんだよ。大化の改新だろ。」


八木「はい。半分正解です。」


隊長「なんだよ。半分て。」


八木「今は大化の改新とは言いません。」


隊長「なんだよ、これもかよ。」


八木「隊長の年代って本当にかわいそうですよね。」


隊長「だからさ、国がかりで嘘の歴史を教えるのはやめてくんない。ホント、俺たち、かわいそすぎるだろう。」


八木「今は、乙巳の変と言います。」


隊長「それなんて読むの?」


八木「いっしのへん」です。」


隊長「なんで?」


八木「干支の名前です。」


隊長「じゃあ、大化の改新は何だったの?」


八木「大化の改新てのはその後の政治改革の事で、このクーデターの事は乙巳の変って呼ぶことにしたらしいですよ。」


隊長「俺が生涯で何回「大化の改新」って書かされたと思ってんの?ほんと、いい加減にしろよな。」


八木「お気の毒とは思いますが、今日、私が提案したいのは別の事なんです。」


隊長「何だよ。」


八木「隊長は蘇我入鹿って名前がおかしいと思った事はないですか?「いるか」なんて名前、あり得ます?」


隊長「海にいるイルカと同じ名前だなとは思ってたけどな。」


八木「では、祖父の名前は?」


隊長「蘇我馬子。聖徳太子と一緒に政治をやってた奴だろう。」


八木「その通りです。では「馬子と入鹿」並べてみて思い浮かぶ言葉はないですか?」


隊長「うん?あっ、馬鹿だ。」


八木「そうなんですよ。馬鹿という文字が浮かび上がってくるんですよ。信じるかどうかはあなた次第ですが。」


隊長「なんか、聞いたことあるセルフだな。そんな事よりも、じゃあ、この名前も捏造って事か?」


八木「間違いないでしょうね。」


隊長「まじかよ?何で国はそんないい加減な歴史を教えんだよ!そんな歴史じゃ意味ねーだろう。やめちまえよ。」


八木「おっしゃる通りです。では決まりでいいですね。大化の改新の時代へ行きましょう。」


隊長「お前、大化の改新って何年か覚えてる?」


八木「覚えてないです。」


隊長「えー、645年だよ。俺たちは「むしごろし」って覚えたんだよ。」


八木「はい、出発しましょう。」


隊長「無視しやがって、分かったよ。じゃあ日時を設定してと。スイッチオン」



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二人の乗ったタイムマシーンは無事645年に到着した。


隊長「八木!大丈夫か。」


八木「はい、私の方は異常ありません。」


隊長「無事ついたようだな。じゃあ、蘇我氏の家に行くか?」


八木「また、そんな友達のうちに行くみたいな言い方して。」


隊長「だから、光線銃があるだろう。大丈夫だよ。」


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二人は難なく蘇我氏の館に着く事が出来た。


隊長「ここだよ、ここ。あー、あの人に聞いてみよう。」


八木「すみません、こちらに蘇我入鹿さんいらっしゃいますか?」


館の人「いるか」ですか?いや聞いた事もない名前ですね。」


隊長「やっぱり。聖徳太子の時と一緒だよ。」


八木「じゃあ、蘇我氏で今一番偉い人は誰ですか?」


館の人「そがのたろうくらづくりさまです。」


八木「はっ?もう一度、言ってもらっていいですか?」


館の人「そがの たろう くら づくり」です。漢字ではこう書きます。「蘇我大郎鞍作」。」


八木「入鹿とは似ても似つかない名前ですね。」


館の人「あっ、あそこを歩いているのが蘇我大郎鞍作様です。」


八木「なるほど、顔は分かりました。」


隊長「でも、どうやって、その「たろう」と入鹿が同一人物というのを確認すればいいの?」


八木「乙巳の変を見届けるしかないのでは?」


隊長「えー、クーデターを見届けるの?危なくないか?」


八木「私達には光線銃がありますから。」


隊長「はいはい。」


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いよいよ、乙巳の変の当日となった。


大極殿で三国の調の儀式が行われ、儀式の途中で中大兄皇子を先頭に皆で切りかかり蘇我大郎鞍作を暗殺してしまった。


八木「これで蘇我大郎鞍作と蘇我入鹿が同一人物だという事が確認できましたね。」


隊長「気分が悪くなってきた。早く帰ろう。」


八木「確認も出来たし、帰りましょうか?」


隊長「じゃあ現代に向けてスイッチオン」


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タイムマシンは無事2056年に戻って来た。


隊長「八木、無事か?」


八木「はい。私は大丈夫です。」


隊長「しかし、歴史って捏造ばっかだな。大丈夫か?日本は。」


八木「うーん、確かに今回の一件はひどいと思いますよ。」


隊長「なんか、今後の調査が不安になってきたな。」


八木「頑張ってやっていきましょう、隊長。」



つづく

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