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落ちぶれ勇者の信頼回復冒険記  作者: シシトゥ
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第6話 かつてのメンバー

 道中特にトラブルも無く2人は中都市「ゼンダイ」に到着した。ジャンはとりあえず依頼達成の報告と報酬を受け取る為ギルドに向かった。

 

 ギルドに入ると中に居た冒険者達は一斉にジャンに目を向ける。その目は明らかにジャンを小馬鹿にするような感じだった。そしてジャンが受付に行くまでにヒソヒソと話す冒険者も現れた。しかしジャンは気にすることなく受付人に話しかける。


 「依頼は終わったぜ。ついでにボスブギーが現れて暴れてたから倒しといたから報酬上乗せ頼むわ。」


 そう言ってボスブギーの牙を出した。それを見ていた他の冒険者達はざわめき出した。勇者の恩恵を受けているとは言え1人でボスブギーを倒すのは容易では無いからだ。その時団体がギルドに入ってきた。ジャンは思わず怪訝な顔をする。それもその筈、入ってきた団体の数人は元ジャンのパーティーメンバーだったからである。


 「あれあれ?そこに居るのはひとりぼっちの勇者様じゃないですかぁ?」


 メンバーの一人が如何にも煽るように話しかけてきた。元パーティーメンバーであり当時攻撃面ならジャンに負けるとも劣らない程の力があったバーナだ。


 「まーた日銭でも稼いで今日のご飯代を貰いに来たのか?勇者様が。」


 ジャンは何か反論したいところだったが、分かりやすい挑発に乗るのも癪なので無視する事にした。その様子が面白くなかったのかバーナは煽り続けた。他のメンバーはその様子に黙っている。恐らくはバーナが強い為止める事が出来ないのであろう。


 「バーナ、その辺にして下さい。」


 その時最後に入ってきたであろう人物がバーナを諫めた。ジャンはその人物を見た瞬間顔をしかめた。その人物こそがかつてジャンのパーティーメンバーであり幼馴染であり、そしてジャンの横暴によりメンバーを解雇され後に勇者になったマガジだった。


 「バーナさん、少し言い過ぎです。一応勇者パーティー【アルカイオン】のメンバーなんですから。」


 バーナは舌打ちをしギルドを出て行った。マガジはその姿を見届けた後ジャンの方を向いた。と同時に走った。


 「ジャーン!久しぶりー!」


 マガジは手を振りながら笑顔で近づいて抱き着こうとしてきた。ジャンはその行動を予想していたかのように避ける。マガジは壁に激突した。


 「なんで避けるのさー?約1年ぶりの再会なんだよ!?」


 ジャンはため息を吐いて言う。

 

 「勇者になっても全然変わらねーな、お前は。滅茶苦茶活躍してるようだし。」


 マガジがリーダーの勇者パーティー【アルカイオン】は十数名で構成されているパーティーで、人種間の紛争終結、とある王国の反乱鎮圧など様々な功績を1年で上げ今最も勢いのあるパーティーと言っても過言ではないのだ。


 「だってそもそもメンバーの大半が……その……ジャンの勇者パーティーメンバーだもん。実績、経験、その他諸々みんな要領が分かってるからねぇ?僕の力って言うよりは皆の力のお陰だよ。」


 そう。つまりはやりやすいメンバーなのだ。それでいてマガジは人付き合いも良くサポーターとしても動き回っていたので人気はかなりあった。そういう所も当時のジャンにとっては嫉妬に近い感情はあったのかもしれない。だからこそ目障りに思ってしまった部分もあった。


 「んでさ……ジャン。その提案なんだけど……もう1回パーティー組まない?」


 マガジは小声で他のメンバーに聞こえないように続けて言った。


 「勇者が2人居るパーティーなんて聞いた事は無いとは思うんだけど、でも有ってもいいじゃん?だからさ、もう1度一緒にやろうよ!勿論リーダーはジャンでいいからさ!」


 それを聞いてジャンはマガジにチョップを繰り出した。


 「アホか。そんなもん誰がどう見たって俺がお前のパーティー乗っ取ったようにしか見えねーだろうが。」


 マガジは言われてハッとした顔する。


 「だからお前はお前を信頼してくれてるメンバーと一緒に成り上がれ。俺はここからもう1度再起を図るから。んでいつか英雄と呼ばれる存在になってやるさ。……子供の頃から言ってるだろ?」


 マガジは頭をさすりながら


 「そうだね。僕も勇者になったからには頑張るよ。」


 マガジとジャンは顔を見合わせ笑った。その時だ。


 「た、助けて下さい!む……村が……山賊集団に襲われて……。」


 突然ギルドの扉が開き、男が助けを求めてきた。ジャンはその男に見覚えがあった。一昨日まで居た村の住民だ。


 「今日の朝に突然山賊達が来たんです……。子供と女性と老人は村長の家に避難させて男衆で何とか耐えているはずです……。どうか……村を……。」


 「マガジ!今すぐメンバーを集めて村に行くようにしてくれ!場所はここから東に20キロ程先だ!サンもギルドの前に居ただろ。アイツも頼む!」


 「分かった!けどジャンは?どうするんだ?」


 「俺は一足先に向かってる!俺の速度が上がる術知ってるだろ?アレを使う。」


 ジャンはギルドから出ると術を唱えた。


 『ライソク』


 その直後マガジも出てきて慌てて言う。


 「待って!なら僕の術で上乗せさせるよ」


 そう言うとマガジはジャンに向かって術を放った。


 『ジュバフ』


 ジャンの足を纏っていた光が強くなる。


 「これで十数分だけど術の効果は2倍になってるから。でもその分疲れやすくもなっちゃうから気を付けてね。あと術を解いても効果は切れるから。」


 マガジはそう言うとジャンも返す。


 「十数分?勇者になったから強化されたか?まぁいいか。ありがとな。」


 そう言うとジャンは走った。自分を変えてくれる切っ掛けをくれた村を救いに。


 


 

一応今後の展開とか考えていますが中々手が進みません……

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