第3話 ジャンの思い
他の人の作品読むと自分の短い?って思ってますが気にしない事にしました。
村には先ほど昨日倒したブギーの4倍の大きさはあるブギーが店を破壊し食い物を漁っていた。恐らくブギー達の親玉だろう。
村人達には最早なすすべはは無かった。戦える訳でも無く、今更救援要請を掛けても遅く、そもそも救援を乞う資金すらまともに無い村なのだ。
そんな時村の周りの木の陰からジャンは状況を確認していた。
「あれは…ボスブギーか?いくら何でも俺1人では…だが見捨てる訳にも……」
極端にレベルが高ければ問題は無かっただろう。しかしレベル4のジャンでもまず無傷では済まないし、倒せる保障すらなかった魔獣であった。
その時ジャンは気が付いた。破壊された店の瓦礫の陰に人が倒れているのを。それは村人達も気づいていた。しかし誰も助けられない。派手に動いたら自分に向かって来るかもしれないからだ。その時……
ボスブギーに石を投げた村人が居た。村長である。村長は叫んだ。
「この村は貴様のような食う事にしか脳が無い獣の為にある村ではない!そして村長として村人を脅かすモノは私が許さん!」
村長が言うとボスブギーは村長の方を向いた。その瞬間、他の村人達が瓦礫の陰に倒れていた村人を助けに動いていた。
「まさかあの村長、自分を犠牲に助ける指示を……?」
ジャンは歯を食いしばった。
「村長は村長として村人を助けた。じゃあ勇者の俺は…誰を助ける?俺の勇者としての力は何の為にある?」
そんな事を考えているとボスブギーが叫んだ。食事を邪魔された怒りだろうか。そして村長に向かって走り出した。
村人が叫ぶ。今度は自分達に目を向けさせる為。しかし無駄だった。
ボスブギーが村長が居た場所を通り過ぎた。
……だが村長は飛ばされたわけでも潰された訳でもなかった。ジャンが術を使って助けたのだ。
ジャンは抱えていた村長を下すと村人達と非難するように言った。村長は礼を言った後に謝礼はもう出せないと言いかけたのをジャンは遮った。
「勇者ですから」
ジャンはボスブギーの方を向き挑発する行動をとる。それに乗りボスブギーが突っ込んで来る。
ボスブギー、突進力は上がっているとはいえ攻撃方法は単純な突進のみ。何とかなるだろうとジャンは思っていた。先ずは横に避け……と動いた瞬間ボスブギーが飛んだ。
ボスブギーの意外な動きにジャンは一瞬足を止めてしまった。その瞬間ボスブギーは思い切り地面に落ちる。いや自分自身を地面に叩きつけたと言ってもいい。
その衝撃に地面は砕け、ジャンは転んだ。すかさずボスブギーが突進してくる。
「まずい、このままでは喰らう」
『ライホウ』
ジャンは雷撃をボスブギーに放つ。だがボスブギーは構わず突進を続けた。
『ライソク』
間一髪ジャンは避け同時に後ろに回り術を唱える。
『ライトウ』
雷の剣でボスブギーを切りつけた。しかし体毛が硬く簡単には肉まで切れない事をこの時ジャンは悟った。その瞬間ボスブギーの後ろ脚による蹴りが炸裂し、ジャンは辛うじてライケンで受けたが衝撃で家まで飛ばされた。
「くそ……今の俺じゃ単独ではアイツは倒せないかもしれない……」
何十回も切りつけ何十回も電撃を喰らわせれば倒れるかもしれない。だが恐らくジャンの方が先に力尽きる可能性は十分にあった。
だが諦める訳にもいかない。色んな思いがジャンの脳裏に過る。
ここで諦めたら勇者としてどころか冒険者としても名が廃る。ここで逃げたら益々離れていった仲間に卑下にされる。事情は知らないとはいえあんなに歓迎してくれた村を見捨てる訳にいかない。ただ単純に死にたくない。もう1回お礼を言われたい。
もう周りの人間に冷たい目で見られたくない……
負けたくない……
俺は……勇者だ……
勇者は……勝って皆を安心させる存在なんだ!!!
その時、ジャンの左手が光った。そしてジャンの脳裏に言葉が聞こえてきたのである。
【レベル5になりました。新術『リュウライホウ』を取得】
ジャンのプロフィール
身長:174cm
体重:60kg
年齢:20歳
誕生日:8月1日