第2話 懐かしい感情
術初公開話です。小説として成り立っているか分かりませんが慣れてきましたw
『ライトウ』
ジャンが術を唱えると雷の剣が発現された。そして3匹の中で動きが1番鈍い魔獣〈ブギー〉に狙いを定めた。
猪型の魔獣〈ブギー〉の武器は鋭い牙による突進。石壁でさえ数発当てれば破壊出来るほどの威力だ。だが猪突猛進の為ギリギリまで引き寄せてから横に避ければ隙が出来るのでそこを叩く。というのが対ブギーの戦い方だ。
だがそれはあくまで初心者冒険者の戦い方である。
ジャンは素早く出来るだけ気配を消しブギーの後ろをとった。そして剣を縦に切り落とした。
仲間のブギーの断末魔を聞いて他2匹のブギーがジャンを睨みつけ、その内1匹が間髪入れず突進してきた。
ジャンは手を前にかざし術を唱える。
『ライホウ』
電撃が放出され突進してきたブギーに直撃した。ブギーはその一撃で倒れた。
「残り1匹」
ジャンが見渡すと残ったブギーはあろうことか逃げ遅れた母娘に突進を仕掛けていたのである。
流石にジャンは一瞬焦ったが、すかさず術を唱える。
『ライソク』
ジャンの足が光り、そしてブギーに向かって走った。それはまるで稲妻のような速さであった。
そしてブギーの横腹に強烈な蹴りを入れ、ブギーは飛ばされ木に叩きつけられる。
まだブギーは生きていたがジャンはしっかりトドメを刺し無事に依頼を達成したのであった。
その日の夕方、ジャンは村人達に大変感謝された。助けた母娘からも大変感謝され報酬と共にその母親が作ったチェリーパイを貰った。
ジャンに何か久しぶりに感じる感覚があった。それが何なのかジャンにはまだこの時分からなかった。
一晩村に滞在しジャンは村を後にする。その途中ジャンはふと昨日村の人達の顔を思い出した。
「……面と向かって感謝されるの久しぶりな気がするな」
調子に乗っていた時ジャンは依頼交渉等は仲間に任せっきりで達成後は金だけ受け取り遊び惚けていた為、依頼人にお礼を言われるという機会がほぼ無かったのである。
そんなジャンにとって面と向かってお礼を言われるのは久しぶりだった。
「そういえば……昔は勇者様って言われるよりありがとうって言われる方が嬉しかった気がするな……」
そんな事を考えていたその時、後方から轟音が聞こえてきたのである。
そう、さっき自分を心良く送り出してくれた村から。
「……は?」
ジャンは目を見開いた。あの轟音は明らかに異常だったからである。
冒険者として勇者として直感が働いた。明らかにボス級の魔獣が出現していると。
『ライソク』
ジャンは術を叫びそして村に戻った。
魔獣説明
・猪型魔獣:ブギー
頑張ればレベル1の人でも倒せる魔獣。でも突進をくらうと普通に死にます。牙は農具や武器に使われる。あくまで猪型の魔獣なので肉は食べれませんが家畜の餌、作物の肥料には出来ます。
ジャン(レベル4状態)の能力
・ライトウ:雷の剣を出します。長さは神力を注げば2mぐらいになります。
・ライホウ:電撃を放ちます。射程は最大10mほど。
・ライソク:足が光、速く動けます。見えないほど速く動ける訳では無いです。