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日本の未来を考えてみた

核融合エネルギーの未来を考えてみた

作者: Katz

専門知識に乏しい素人の論考です。誤りその他御座いましたら感想欄にて御指摘ください。異論も御気軽にどうぞ。

 殆どの読者様には推定お初にお目に掛かります。理系とは言え専門はエネルギーではなく物理学でもないIT屋の Katz で御座います。


 地上に太陽を!で御馴染みの夢のエネルギー、核融合を今回は考えてみます。


 核融合とは、原子核が融合する反応です。人間が目で確認できる大きさの()()なら融合しても混ざるだけですが、原子核の場合は融合すると莫大なエネルギーが発生します。このエネルギーを上手に取り出して人間の役に立てようという研究が進んでいます。


 進んでいますと言いつつ、上手に取り出せるまでどの位掛かるんでしょうね。あと百年くらいでしょうかね。と私は思っていたりいなかったりします。要するにあんまり期待してないんですよ。


 現在の研究の主流は熱核融合という方式です。重水素や三重水素を使って1億度の超高温にして高密度に圧縮して融合させます。一言で表すと、無理矢理やるんですな。


 核融合エネルギーと聞いて皆さんが感じるのはどんなイメージでしょうか。最近注目の有害物質である二酸化炭素CO2を排出せず、昔の公害で大問題になったような有害な化学物質も排出せず、ごく少量の燃料で人類の消費分全部を賄えてしまうような、SFもかくやという夢のエネルギー、でしょうか。


 そんな利点しか思い付かないようなナイスな研究なら予算を注ぎ込んでとっとと実用化してしまえば良いんじゃないか、と思いますよね。なかなか実用化されないのは研究者や政治家の怠慢ではないのかと。


 実は、難しいんですよ。熱核融合は。


 まず、ですね。超高温かつ高密度を維持するのがとてつもなく難しい。どう難しいのかについては他の記事に譲ります。現在の研究はこの困難の解決に注力してるので、探せば解説記事が見つかるでしょう。


 次に、エネルギーの取り出し方が問題です。


 重水素や三重水素を燃料とする場合は、放射線が出ています。α線と中性子線です。猛烈に出ます。特に中性子線。原子炉と同じ位、ではないようですね。原子炉の5倍とかいう解説を見つけました。で、核融合のエネルギーは熱じゃないんですな。この中性子線のエネルギーとして出てきます。


 えー、聞いてないよー。という声が溜息と共に漏れてしまいました私は。


 核融合炉の場合、人間の役に立てるには、この中性子線のエネルギーを熱に変換する必要があります。その為に核融合炉を包んでいる部品があって、ブランケットと呼びます。当然、これは消耗品です。


 消耗品という事は廃棄物になるんですね。中性子を吸収した廃棄物。はい、放射性廃棄物です。低レベルが少量ですし、原子炉の場合と違って100年ほど保管すれば放射能は消えるようですが。


 ブランケットにはもう一つ重要な役割があります。三重水素の生産です。


 核融合の燃料となる三重水素は天然にはほぼ存在しないので、人工的に作る必要があります。詳細は省きますが、ブランケットの材料をベリリウムとリチウムで構成する事で、中性子線を吸収して三重水素を生産します。


 ついでに言うと、この三重水素も放射性物質です。取扱注意。


 更に言えば、ベリリウムもリチウムも産地が偏っています。ベリリウムは主な産地がアメリカなので地政学的な心配は不要と言えるかも知れません。しかしリチウムは、現在既に争奪戦が勃発しているような状況ですからねぇ。一応は海水から抽出する想定のようですが、その技術の開発はこれからです。取らぬ狸を皮算用してます。


 また繰り返しますがブランケットは消耗品です。ブランケットの材料が枯渇すればそれまでです。しかも元素変換してますから、化学処理して再生する事も出来ません。


 えー、聞いてないよー。という声が溜息と共に漏れてしまいました私は。2回目。


 高校までの物理と化学の知識に基づいて疑問点を突っ込んでいくと、以上のように問題点だらけなんですな。本当に人類が総力戦で当たっても息切れしそうな程に問題ばかりが山積しています。それで私は熱核融合推しを降りました。


 ところで読者の皆様は、常温核融合という反応を御存知でしょうか。


 1989年に重水を電気分解しただけで核融合が発生したという発表がありました。アメリカのユタ大学でしたかね。一般のマスコミも取り上げて世界中で大騒ぎになりました。


 その後の世界史は大きく変わった、などという事は無く。つまり、この実験結果はガセだったようです。


 時は流れて2021年の日本。なんと!この常温核融合を利用したボイラーを1〜2年の内に開発するとマスコミ発表する会社が現れました。


 私、本当にビックリしましてね。少し調べたんですよ。


 銅とニッケルというごく普通の金属を、ミルフィーユのように積層して、重水素でも三重水素でもないごく普通の水素を吸収させ、加熱すると、長期間に渡って熱を出し続けるとの事。


 改良されたんですねぇ。どうやら発熱自体は間違い無く再現して、今は発生する熱量をコントロールできるかって所に研究の焦点が移っている模様。いや驚きました。


 ツッコミどころも幾つかあるようですが。


 最大の問題は、何が起きてるか良くわかんない!って点。笑うしかありません。中性子線は観測されないし、どうも核融合とは違うんじゃないかとも言われています。しかし反応後の成分組成を詳細に調べると、何らかの原子核反応が起きてるように見える。何より、発生する熱量は化学反応では説明できない。のだそうです。


 何が起きてるのかわかんないけどどうにかしちゃった♪てへぺろ☆って、一言で纏めるとそうなっちゃうんですが。日本人はこういう研究が得意な気がするんですよね。いや褒めてるんですよ。やるべき事を地道に積み上げていけば理論など後から付いてくるというその姿勢、私は大好きです。


 まぁ理論は後から考えるとして。それでもこれは注目に値します。2022年、今年中には試作品を開発して、来年には商品化する予定ってんだからガセじゃないでしょう。この技術がモノになったら凄いですよ。


 まず、燃料はごく普通の水素です。現在生産されていて普通に入手可能な水素を利用する事が出来ます。


 普通の水素なので放射能はありません。どうやら生成物にも放射能は無い模様。放射性物質を扱わなくて済みます。これは決定的だと私は考えます。


 そしてエネルギーが熱の形で発生します。だから構造を簡単に出来るし、装置が小型になります。


 従って一般工場向けボイラーなどという何の変哲も無い商品の形に纏まります。


 ここまで考えて私の頭に浮かんだのは、動力への応用です。


 現在主流の動力と言えば、1番がガソリンエンジン、2番はディーゼルエンジン、3番はガスタービンエンジン、でしょうか。いずれも内燃機関に分類される物になります。


 内燃機関って、どうも効率はあんまり高くないらしい。


 内燃機関に対比して外燃機関と呼ばれる種類のエンジンがあります。内燃機関に比べると利点は多い。熱さえ出れば燃料は何でも良く、幅広い温度範囲で動作し、理論的な熱効率は抜群に高い。


 燃料は問わないってのが特に良いですな。かつては石炭を燃料とした外燃機関が世界中を席捲していました。言わずと知れた蒸気機関です。


 蒸気機関は一般向け動力としては廃れてしまいましたが、違う形の外燃機関が出てくる可能性があります。例えばスターリングエンジンなど。実験映像なら動画投稿サイトで掃いて捨てるほど公開されてます。これの熱源として、上述の常温核融合(?)を利用する事が出来るんじゃないでしょうか。


 スターリングエンジンに関して言えば、出力の調整が難しかったり、大出力を得ようとすると大型になったり、と言った問題があります。うーん、自動車などへの応用は難しいてすか。


 可能性があるとすれば、エンジン発電機への応用でしょうか。あるいは現在の原子力発電所の代替品。いずれにしても電気へ変換する事になりそうです。結局発電ですねぇ。


 しかし夢がありますな、常温核融合。何が起きているのかわかっていない辺りが特に面白い!

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― 新着の感想 ―
[一言] 熱核融合からのエネルギー取得は困難極まりないのが現実ですが、結局のところ、常温核融合というより水素エネルギーをどう上手く使うか? が課題のような気がしました。 つたない感想ですみません。 こ…
[良い点] 夢のある話や佳し! 文学は、希望に満ちた物てあるべきでしょう。 [一言] ただ、現実社会には、不確実な話を盛り盛りぶち上げる山師、詐欺師も居る事に注意して下さい。 来年製品を作るという…
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