貝殻
ベージュはヨーマに諭すように
「転移者として生活をスタートします。」と言った。
転移者として……。冒険でも始まるのか。
「新生活?」
……苦労しそうな予感しかしないのだが………。
「はじめに訓練センターでいろいろ覚えてもらいます。」
く、訓練センター!
「めんどくさいのは嫌いだ。」
就職するのか……俺!
「わがままです。あなたは稼がないとならないのです。」
神官……。俺はニートになったのか?
「うっ。」
悲しくなってきた。地球にいたら、
あと2年はお気楽な学生でいられたのに……。
「ステータス報酬がくじになってます。95%・5%」
ステータス!ますますゲームの世界になってきた。
ゲームの世界に転移したのか。
「レアがあるのか~。」
「楽に狩りができるようになります。くじ運がいいと便利ですね。」
くじ運…‥自信がないなぁ。
「95%のスキルでも十分このエリアでは戦えるので安心してくださいね。」
「やっぱりここでも刺されたりするわけ?」
「相手によっては。ここには凶暴なモンスターは存在しません。」
狂暴なモンスター?モンスターが出るんだ!
まだまだベージュさんの説明は続く……。
「ペットボトルを水鉄砲で攻撃する。」
「倒したペットボトルをハンマーでつぶす。」
ペットボトルをつぶす~~~!
子供のおもちゃでペットボトルをたたむの。
「それは命中率をUPさせる訓練だね。」
俺が言うとベージュさんがにっこりと微笑んで
「はぁい。やってみましょう。」
「鉄砲に水玉が満タンになっているかを確認してから狙いを定める。
集中してくださ~い。」
「どのあたりを狙えば確実に倒せる?」
「フタの下の下の下あたりがよろしいかと……。」
お~命中した。倒れたペットボトルを見るとルーズリーフの穴くらいの大きさで貫通している。
おぉ~凄い。
「その調子であと99個命中させてください。」
言われように99個のペットボトルに穴をあけた。
そのあとにペットボトルをハンマーでつぶす。
この作業がたいへんだった。
100回ハンマーでたたいた。疲れた~。
「ペットボトルのフタは保管してください。ボトルは箱に収納してください。
私が転送してPtに交換します。」
「どこに転送するの?」
「分解工場。」
「Pt永久だったよね?」
「はい。盗まれる心配がありませんから~。」
盗賊がいる世界。
盗賊も退治して報酬を稼ぐ……過程が待っているだろう 。
「この訓練何のための訓練なの?」
「スライム退治です。」
す……スライム~~~。間違いない!ゲームの世界に転移したんだ。
「スライム倒すのか!」
「鍛えて素早く倒すとたくさん稼げます。報酬がいいんです。」
俺の驚きなんかは知らずにかベージュさんは淡々とした口調で
「そろそろきてますよ。」
「きてるって?」
またモンスターの依頼とか?
「Ptの確認をしてください。」
確認とつぶやいたら画面がでた。ポイントは……。
「10000pt。」
1万は1万円くらいなのか?
「フタはこれから使います。砂浜に移動しますよ。転移。」
転移~~。パーティ転移だ!
すご~いきれいな海!
「波の当たらないところに種を蒔く要領で間を開けてフタをおいてください。」
「はい。」作業をするのか。ふたを置いて何をするのだろう。
「ベージュさん。ここの海って最高にきれいだよね。」
「そうですか。地球よりはきれいですね。」
「ヨーマさん、私今晩でさよならですから。」
お別れ?「えっっ。」
「エリアパートナーがガイドしますから安心です。」
ガイド。
「……。」
「神殿に帰らなければならないのです。」
「神官の仕事も大変だね。」
「祈りがありますので。」
「海辺のパートナーはかぁりぃさんです。
猫耳低身長のとってもかわいいかたです。」
俺を治癒してくれたあの女の子。
「お、女の子だよね?」
「おばさんではありません。見た目は私よりはるかに年下ですが実年齢はうえかも?」
「……?」
「今日の宿ですが手配しておきました。宿で支払ってください。
食事は食材と火力を調達して外でワイルドにたべましょう。」
「今日の最後の稼ぎに行きますよ。かぁりぃさんまだかしら?」
「ベージュさんおひさしぶりですねぇ。」
「転移者でこれから冒険者に育つ地球人です。」
「地球から救ってきたのですかぁ。」
「ガイドの仕事凄い久しぶりなんです。」
「サモナーさん連れてきませんか?」
「不作のようですね。どこの星も」
ふ、不作~~。俺みたいなのあちこちの星で救ってるのか。
「貝殻ひろいにいきましょう。」
「100個4種類あります。コメ貝、パン貝、マリン貝と?貝。
中身ストーンが入っているんです。」
「限定100個です。3人で100個。1パーティで100個です。」