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GLAIVE (狂炎伝承)   作者: 団栗山 玄狐
Ver.02 日常編その1
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act08 平穏なeveryday-002

act08 平穏なeveryday(日常)-002


カルウとユタカは探偵社の車に乗り、


本社に向かう事とした。


待ち合わせ時間というかアポイントを取った時間に会社に行くのだ。


「この街って不思議だよね」

車から外を眺めながらユタカは、ぽつりとつぶやく。


「そうか、割と見慣れているからそんな感じをしないからか」


「そうだよ。ビルがあるのに傍に田んぼや畑がある。だてに森林都市なんて呼ばれていないよね」

とユタカは前のめりになる。


「まあ、その分大変なこともあるけどな。」


「どんな事?」


「この街で住むにはID登録をして村民IDカードを常に携帯しないといけない。そうしないと罰金ものとなる」


「そうなの?でも私村民IDカードなんて持ってないし、ここ町じゃなくて村なの?」


「そう、ここは千早赤阪村。でも自然を残しつつ都市化をする実験都市でもある。」


「うん。で、私、罰金なの?」


「いや、1週間は大丈夫。それにお前さんはこれからID登録もしに行くから問題ない」


大きな道がないが農業機器が通るあぜ道のようなものが車道に隣接している。

道の駅もあり農産物販売もある。ただ、駐車場らしきものがあまりないのが気になるようだ。


「車とかはどこに止めてるの?」


「主に地下になる。村営駐車場も山の中に作られてるよ。」


「すごいね、特にあの目の前にあるビルがすごい。山にめり込んでるみたい」

子どものようにはしゃぐユタカ。この間までシビアな世界に身を置いていたとは思えないようだ。


「さて、観光はこのぐらいにして本題だ。

会社にはペルボが報告してるから問題ないとして、これから会う役員たちのノリに驚かないでくれよ」

とカルウは本題に入る。


「怖いの?」

とユタカの顔色が変わる。


「いや、そんなことはないが、まあ大丈夫だ。ちなみにあの山にめり込んだビルが千早総合社の本店だ。」

山の斜面にビルがめり込んでいるような形に見える。まさにその通りなのだが。

山を削りそこにビルを建てその山の中を掘り、山自体をビルと化したのだ。

秘密基地のように見えるだろう。

自然と一体化した建物である。


「その山のふもとにトンネルの入り口のようなところがある。」

見ると片側2車線のトンネル口に車で入る。


中で分岐があり左側の車線に入ると開けたところに出る。それでも地下駐車場なのだが。

そこの駐車場が村営地下駐車場を表記が見える。


ここでは共通の駐車場のようだ。


そこにカルウは車を止め案内板に従いユタカを会社に連れて向かう。


自動ドアを通り進むと先ほどまでの明るさではなく、自然光の明るさで満たされたエントランスに出る。


カルウはそのまま受付カウンターに向かう。

ユタカは、エントランスに驚いていたが、慌ててカルウの後を追う。


「今日の9時にアポをとってあるのだが問題ないかな」

と受付嬢の二人に話しかける。


受付嬢は慌てて、はい確認します。いうとパソコン端末での確認を行う。

本当に山奥の村なのと疑うほどの近代的な場所である。


「確認できました。カルウ課長。その方が今回、開発管理部に入られるのですね」

と受付嬢がユタカを値踏みするように見る。


その顔はうらやましそうな、疑うような感じであった。


「そうだ。じゃあ、行っても問題ないな。」


「はい、役員管理室に行ってもらえれば担当が待っていますので大丈夫です」

とにこやかに答える。


「わかった。ありがとな」

と一言いうと受付カウンター左横にあるエレベータホールに歩き始める。

ユタカもそれに合わせて歩き出す。

ユタカは居心地が悪かった。変な視線が自分に向いているからだ。


好奇だったり、羨ましいのか嫉妬なのかいろいろな感情が混ざった視線を感じるからだ。


そんな中二人はエレベータに乗り込む。


そこで「課長なの?」


「一応な。名目上だけど」


「すごいね。」


「しょうがないだろ。役職をつけないと部下を使うときに困るからだそうだ。半分押し付けられた。」

と不愛想に答える。


エレベータ10Fで止まり、扉が開く。

開いた先に役員管理事務室のプレートが見える部屋の入り口が見えた。


役員管理事務室の扉はなく、そのまま部屋に入ると

そこには市役所の受付カウンターのような机があり、入ってきた二人に気づいた女性社員がカウンターまで来た。


「あら、カルウさん。いらっしゃい。どうされました。」


「いやあ、今日は報告と新人を連れてきたのですが。爺さんとシゲヒトさんはいますか」


受付をした女性社員は、値踏みするようにユタカを見ると笑顔になり、

「お約束の方ですね。聞いています。少々お待ちください。」

というとその場を離れる。


すると、二人のところに落ち着いた大人という感じのセミロングの女性がやってきた。

「や、キョウコさんが案内役なの」

とカルウは女性にこえを掛ける。

「ほんとに、これから大変なのに自分のことは無頓着なんだから。

えっと彼女が明本ユタカさん?」


「あ、はい。私がそうです。えっと・・・」


「ああ、私は小野寺 キョウコです。役員管理室室長です。よろしくね。」

優しい笑顔に温和な話し方に安心するユタカである。


「さてと、二人ともこっちに来てくれる。」

ある部屋の前まで案内される。ドアの横には会長室とプレートが付いている。


「この部屋で面接を行います。ちなみにカルウ君とユタカさんの二人で行います。

相手は弊社の役員がします。頑張ってね。」


「はい!」


そう返事するユタカは部屋をノックし、

「失礼します。」といいドアを開け、部屋に入る。

そこには、大きな机に座り、茶色のスーツを着た眼光の鋭いナイスミドルの男性と、その後ろに二人の男性が立っていた。

彼らの後ろに大きな窓があり、威圧感を感じてしまう。


その光景に息をのむユタカと平然としているカルウ。


二人の後ろから


「ごゆっくり」と小声で声がしてから静かにドアが閉まる。



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