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GLAIVE (狂炎伝承)   作者: 団栗山 玄狐
Ver.01 狂気の眼
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act05 屋上danger zone

act05 屋上danger zone(危険域)


人質だあるユタカの父親は顔をあげ叫ぶ

「私は、依頼したはずだ。娘を助けてから私を殺してくれと。なぜ、依頼を達成してくれないのだ。シグナル。」


その言葉にショックを受けるユタカに対し

シグナルは

「オレたちは理不尽を打ち砕くためにここにいる。それなのにあんたが理不尽に屈してどうする。

それに後始末をオレたちに依頼するなんて甘い考えをしてどうする。今は逃げる時じゃない。

歯向かうときだろうが」

と言い返す。

冷静な冷たい人間に感じていたシグナルとは思えない言葉だった。


「はは、甘い考えの戯言だな」

クニシロは失笑する。

そして、人質のところまで来ると手刀を首に打ち込みユタカの父親を黙らせる。


「その戯言を今まで実現してきたんだよ。それを一番知っているのはそちらだと思うがね」


「そうだな、だがそれもここまでだ。これ以上そちらの思い道理にはさせんよ。」

とクニシロが言うと指をならす。

それに合わせ、クニシロを見ていたノグチがうなずきDーロイド達に命令を送る。

左目を人工のデータ端末に変え、脳の一部をインプラントしている半サイボーグ化しているノグチが

シグナルを見据える。


6機を残しDーロイドでシグナルを囲むように展開する。

だがすぐには闘いを仕掛けてこなかった。

ある一定の距離そう10mほどで立ち止まり、様子をうかがうような感じを見せていた。


「なるほど。あのノグチってやつがDーロイドたちのリモコンってわけやな。」

ウィルスはつぶやく。

「リモコンっどういう意味なんですか。」

ユタカは不思議そうに尋ねる。

「まあ、簡単に言うとDーロイドの司令塔、指揮官みたいなものや。その場の状況に応じて

命令を変更したり戦術を指令したりするやつのことや。慌ててるようで冷静なところもある。

割と厄介な相手やな。」

と答える。

「ウィルスさんも相当厄介な相手だと思われていると思いますよ。」


「そう思われてないとこの業界では命取りやさかいな。

わいらに手を出したら損やと思ってもらわんと命がいくらあってもたらんわ。」


「それは、シグナルさんも同じですよね。」


「当然や。でも、こないな理不尽なことをするやつらは後をたたん。面倒なことやで。」


確かにと思う。この状況が毎日のように起これば体がもたない。

相手に手を出せば、自分たちが不利になることを示さないといけない。

そうすることで身を守るのだと。


そんな事を考えているとDーロイド達の中から

4機がシグナルに向け動き出す。


1機が掴みかかろうと手を伸ばすとシグナルはその手をつかみ背負い投げで投げ飛ばすと

その背後から別のDーロイドが迫る。

同じように掴みかかろうとしたがその両手は床に落ちる。

そして、シグナルは背中をDーロイドに預ける。そのあと右手を振り上げる。

Dーロイドの胸から頭に向け刃物で切られた跡が残りそのまま後ろに倒れこむ。

先ほど投げ飛ばされたDーロイドがもう一度、シグナルに近づく。

シグナルは右手をそのまま振り下ろす。迫るDーロイドは左肩から右腰に向けて切り分けられる。

袈裟切りされたのだ。

よく見れば、シグナルの右手にはコンバットナイフがにぎられていた。

シグナルは、袈裟切りしたDーロイドの頭を左手でつかみ、後ろに放り投げる。

もう1機、シグナルに迫るDーロイドは、投げつけるられたDーロイドをつかみ、バチッと音をさせる。

スタンアームだ。スタンガンを腕に仕込んだシステムである。

Dーロイドは、つかんだ鉄くずを掘り投げる。

その隙を見逃さず、シグナルはDーロイドの頭部にナイフを突き立てる。

まるで流れるような動きで4機のDーロイドは沈黙した。


「すごい…」

思わず感嘆の声が漏れる。


「せやな。でも、人殺しの業やけどな」


「でも、すごいです。これなら、父を救い出すことだって…」


「それは、わからん」


「何故ですか」


「後ろに控えとるあのクニシロさんが不気味すぎるからや」

油断しているようで必ず周囲の状況を見ているのだなあ、と感心しているユタカに対し


「ここまで長丁場になると、あいつがイエローになってまうか」

とつぶやく。


「なんですかそのイエローって」


「あいつのコードがシグナルと言われている由来でもあるやけどな。ブルーが安全域、イエローが注意域ってな。

なんでかは、企業秘密や。」


「企業秘密って」


と話していると、


今度は8機のDーロイドがシグナルに迫る。

シグナルは迫るDーロイドを見据える。

「さて、どうしたものか」と一人ごちる。


でも考えている暇はない。なんせ、相手は待ってくれない。

考えを改める。『残り16と護衛の6機か割と多い。時間もあまり残されていない上に

本命も残っている。イエローまでいくだろうがレッドになると厄介だしな』

と考えているともう目の前まで相手が来ていた。


先ほどと違い2機一度に攻めてきた。一対一では部がないとの考えだろう。

だが、実力差までは埋まらない。

迫る2機の頭部を切り捨て残りに向かう。残り4機の腕を切り落とし、首を薙ぎ払う。


ほんの一瞬の出来事にノグチは対応できずにいた。

情報は、送られてくるのだが対処ができない。


さっきの二倍で攻めたのだ確実に仕留めることができるはずだ。だができなかった。

その焦りがノグチを追い詰める。

『こんなはずじゃない、こんなはずじゃない、こんなはずじゃない』

頭の中でこの言葉が響き続ける。

もう失敗できない。そう思うと相手をシグナルをにらむ。


だが、相手が見つからない。先ほどまでいたはずの場所にいない。


その理由がすぐに明らかになる。

残りの16機が戦闘状態になっていた。

16機は自己防衛のため戦闘を開始しいていた。

シグナルはノグチが思考が飛んでいる隙に攻め込んできていたのだ。

それはほんの一瞬の出来事である。

まばたきするほどのわずかな時間。

その隙をつかれたのだ。


油断した間に切り倒されたのは6機。

後10機のDーロイドに戦術データを送り対処させる。

さすがのシグナルも突然の動きが変わるDーロイドに対応ができないようで攻勢に出れない。

防戦一方になる。

いくつかの攻撃をかわすだけで精一杯の状態になる。

攻め込んだことが完全に裏目に出た感じだ。

それでも、Dーロイドの片足を片腕を切り落とすことはしている。

少しづつではあるが相手の力をそぐことに腐心している。

巻き返そうといろいろしている。

対してノグチも対応手段の模索に転じていた。これだけの戦力差で負け戦同然である状態を

どうにかしたいからだ。


だが、新たな戦術を考えている間にもDーロイドは、1機また1機と戦闘不能に追い込まれていく。

その連絡がノグチに送られてくる。拡張された左目に表示される情報に困惑する。

ノグチのアドバンテージであるインプラントした左目に拡張された電子情報ネットワークを駆使しても

差は広がる一方だ。


戦術を更新しようとデータを送ろうとした時に戦闘中だったDーロイドは戦闘不能の連絡が届く。

慌てていたせいか状況確認が遅れていたためシグナルを倒すためのDーロイドは全機、鉄くずと化していた。

それでも送られてきたデータを最適化して残りのDーロイドと自分とで対シグナル対策を行う。

これで対応可能だと確信する。


「ノグチ。何機つぶせば済むんだ。」


「大丈夫です。次で終わらせます。」

そういうとノグチは前に歩み出る。


「覚悟を決めてたのかい。人形遊びはもう終わりでいいのかな。」

とシグナルは言う。


「オレのことを遊びというがね、あんたたちもヒーローごっこしてるじゃないか。」


「なるほど、どっちの偽善が通るか決めるわけだ。」


「もちろん、わたしが正しいことを証明するだけだがね。」


「なかなか言ってくれる。」


だがお互いに焦りがある。

時間を気にするシグナルと劣勢を気にするノグチ。

互いに相手に悟られないようにしているがノグチは焦りが駄々洩れだった。


「じゃあ、終わらせようか。後ろが控えているみたいだからね。」


「勝ったつもりかよ。気が早いなあんた。これだけ手の内を披露してもらったんだ。

お礼にきちんとあの世に送ってやるよ。」


口調がきつくなるノグチに対し

シグナルは冷静に対処する。


お互いに相手の出方をうかがいながらけん制しあう。

次で決めるつもりなのだ。



3機のDーロイドをシグナルに向かわせる。

今あでとは違い連携のとれた格闘戦になったが、わずかな差でシグナルが連携を切りくぐす。

それからは早かった。残りの2機が鉄くずと化すのは。


だが、ノグチは勝ち誇ったような顔つきで残り3機をぶつけてきた。

シグナルは迫る3機を倒した瞬間に


ノグチは人質に銃弾を3発撃ち込んだ。

ユタカのの悲鳴が響く中

ノグチはこのタイミングを待っていたのだ。

シグナルに一瞬のスキが生まれるこの瞬間を。


その瞬間をノグチは見落とさず、シグナルの頭部に銃弾を撃ち込む。

それは見事に命中し、シグナルのヘルメットが砕け散る。

ノグチは勝利を確信し、顔が愉悦にゆがむ。

だが、すぐにそれは絶望に代わる。

シグナルの手刀がノグチの胸をささり、背中まで突き抜ける。



「やっと、顔が見れましたね。シグナル、いやマッドアイズ。生き残りは貴重ですからね。あなたをサンプルとして、

そして彼女を連れかえれば今回の穴埋めには十分すぎます」

クニシロは、能面のような顔で淡々と話す。


ヘルメットの隙間から見えるシグナルの素顔には見覚えがあった。

彼女にとっては謝らないといけない相手だったのだ。

そうカルウ・ブースがそこにいた。

「なんで彼がそこにいるの。なんであの時言ってくれなかったの」

と彼女は、いう。

覚悟を決めていた彼女は、必死に父親の死を受け止めたのだがそれ以上に慌てる出来事が重なりすぎたようだ。


「あいつにも事情がある。あんたが助けるに値するかを確認する必要があるし、

あの時のあんたには発信機付きだった上に

追手もいた。対処を誤ると大変なことになるからな。慎重にいかないといけない。

こればっかりはあの方法しかなかったんや」


とウィルスはユタカに話した。


「ですけど。マッドアイズの力を使えば何とかなったんじゃないですか。」


「あれは、万能やない。暴走状態になるうえに敵味方お構いなしに殺しに来る。

レッドになればもうどうしようもない。こっちは仮死状態になる薬を飲んで一時間は眠りにつかなならん。

そうせんとこっちも殺されるからな」

「そんなあぶない人間に助けを求めないといけないんですか。」


「あいつだって好き好んでマッドアイズになったわけやない。

でも、その事実から逃げる事もできない。

だからあいつは、正面からぶつかって何とかしようとしている。

泣きたくても、あいつの感情があの時に失われていたや。

何時だってあいつは、あの時の罪の意識で苦しんどるのや

逃げようと思えばいつでも逃げる事の出来るオレらとは違う」


「すみません。そんなつもりじゃなかったんです。

私混乱してて、なんで父さんが見殺しにされたんだとかいろいろ考えてしまって…」


「わかっとる。でも、落ち着いてくれ。今あんたにまで慌てられるともう対処しようがない。

あいつはあんたに覚悟を決めるように言ったはずや。」


「はい、泣き言は後で言います。今はこの状況を乗り越えることだけを考えます。」

強いまなざしで見つめるユタカに対し


「ええ返事や。それでこそ理不尽に挑むもんの眼や。」


二人は、最後の戦いに挑むクニシロとシグナルを見つめていた。


「もうあなたには、言葉は届きませんね。完全な怒りに身を任せ、マッドアイズとなったあなたには。

ですが、私は証明できますよ。あなたのような偽善者よりも私が有能であると。」


うれしそうに言うクニシロはシグナルに挑む。

よほど自信があるのだろう。シグナルと同じようなコンバットナイフを左手に構えていた。

だが、それは無常に終わる。


ほんの一瞬でシグナルはクニシロの胸を貫き、放り投げる。

床にあおむけにたたきつけられたクニシロは何が起きたか理解できずにいた。

だが、胸の痛みと天を見ている自分いることはわかった。

そして、シグナルに見おろされていることで今の自分の立場を理解した。

「はは、これほど差があるとはね。なんとも言いようがないよ。」

これがクニシロの最後の言葉となった。


シグナルは拳を振り下ろし、スイカをハンマーで砕くようにクニシロの頭部を粉砕した。


返り血を浴びたシグナルは、まるで戦いに酔い狂う戦士の姿そのものに見えたのだった。


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