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GLAIVE (狂炎伝承)   作者: 団栗山 玄狐
Ver.06 正義の味方と見方
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act52 動き出す彼らのmain business

act52 動き出す彼らのmain business(本業)




ここは喫茶おだまり。

相も変わらず暇そうにしている若きマスターは、カウンターに座る悪友にコーヒーを準備する。



「なあ、聞いたか?」


「何をや?」

興味なさそうにマスターが聞き返す。



「村を徘徊する不審者の件だよ」



「知らんわ。

金にも成らんことに興味ないわ」



「身もふたもないな」



「そらそうやろ。

何が悲しゅうて知りもせん不審者の相手をせにゃならん」



「オマエな~。

それが防波堤を仕切る課長の言い分か」



「防波堤でもあのガキども理屈に付き合えるほど暇ちゃうわ」

その言葉に客の男性はふむと思案する。


「なるほど、もう相手の正体ともk敵を理解しているわけか。

で、どう対処するつもりだ?」

その言葉に少し動揺しながらも男性にコーヒーを出す。


「ホンマにお前は…普段ボンクラなくせに変なとこ感がええな」

悪態をついて両手を組み、フンっと顔をそむける。


「そういうなよ悪友。

問題がデカくなる前に片づけたいだけだろ」

コーヒーに口を付ける。


「やかましいわ!!オマエかて自分の問題は勝手に動くやろ。

これはウチの問題や。何度か叩き潰したんやけどな。

最後っぺみたいなことしでかしてきよっただけや」



「なるほど、最後の仕上げなのか。

流石は我が悪友、仕事の手際がいい」



「ああ、もう。わかったわ、報告書は上げとく。

それで許しとけや!」

いら立ちを隠せていない。



「そうか、オマエの身内の問題か…

オマエがここまで反応するのはそういう事だものな。

人にはおせっかいなくせに自分事は人に頼るのがホントに苦手だな」



「人の子と言えた義理か…」



「だからカヨコちゃんのしごきにも出るわけだ」



「アレは、運動不足解消のためや。

だから、カヨコちゃんには黙っとけや」



「無理だね、確実にばれてる。

あの人オレ達よりカンも動向を読むのも上だ」



「そうやよな、昔からそうなんやよな…どないしよ」

頭を抱え机に上半身を倒れ込ませる。


「諦めな、オレたちがそうであるように。

あの人たちはオマエを…オマエたちを見捨てない。

なんせオレたちの師匠だぞ、わかるだろ」



「ああっそうやったわ。なんで面倒になる」



「仕方ないよ、あきらめな」


「他人事やと思いよって。オマエの番になったらおない事ゆったる!」


「言われるだろう、間違いなく。

どうするかはその時にならんとわからんが…」


と、男二人で雑談をしているところに

小気味よい金属音が鳴る。


店の扉が開いたのだ。

そこには、件の不審者たる若い男性が一人入店してきた。


そのままカウンターに座る。

マスターから見てその男性の第一印象は、うさん臭く見える、である。



笑顔で好青年に見えるのだが、なぜかうさん臭く見えるのは彼の本質だろうとマスターの悪友は位置づけた。



彼はコーヒーを頼み、マスターに幾つかの質問をする。

村の現状や名物、観光名所など取り留め無い事が多いのだが、

「この村に灰とか埋もれるとかのあだ名のついた方がいませんかね?」

と、意味不明な事を口走る。


その言葉にあからさまに不信感を出すマスター。


「なんですの、それ?

さすがに何言ってんのかわからへんわ。

コスプレイベントとかやってへんでこの村」

と、返した。


慌てて両手を前に出し軽く手を振る男性。

「いえ、そんなつもりはなく…気にしないでください。

そういえばこの店…昨日は休みでしたよね?

何かあったんですか?」


「何もあれへんよ、運動不足解消のためにしごかれてただけやわ」


「それは何処で?」


「あのな、何でそないに踏み込んでくるんや。

オレはアンタの事何も知らんで、むしろ初対面もええところや」

その言葉にさらに慌てる男性。


「すみませんね、なんか好奇心が強すぎるみたいで」

と、いうと慌ててコーヒーを飲み、不自然にカウンターの下に手を伸ばし、

勘定を済ませて店を出た。


「なんや、なれなれしい奴や」

と、割とご立腹のマスターに


「まあ、そういうなよペルボ」


「せやかてな…」

と、憤るペルボに悪友ことカルウはメモを出す。


メモには『盗聴器仕掛けられてる』と書かれていた。


「まあ、絞られていたのは確かだしな」

とコーヒーを一口。


「ホンマにガキの頃から世話になってへんかったら、無視しとったのに…」

ペルボはタブレットに打ち込んだメッセージを見せた。


『割と露骨やな』と


そのタブレットを受け取り筆談が始まる。

それでも世間話は続けていた。


見事なまでの本音と建前の使い分けである。


筆談はすさまじい。


『アレは例の厄介事のようだが』


『そうなるな、連絡来とったヤツに間違いないで』


『なら動けよ』


『昨日のカヨコちゃんのシバきで体がまだ痛いんや』


『いやそれはわかるが…』


『この程度でナズナ守れるんか?って笑顔でぶん投げられたんや。

普通心折れるで』


『少なくともオレは折れた。

まだカヨコちゃんに追い付けてないことが…』


『そんな状態で厄介事なんぞにかかわれるかいな』


『確かに…でも何とかしないと所長がうるさいぞ』


『わかっとる。本社にも報告上がっとるやろからさすがに動かんとまずいし…』


『やっぱ、あの爺さんがらみか』


『そやな、その通りや。一応師匠扱いやけど…やらかしたことは自慢話のように聞いた覚えがある』


『早めに動けよ、そうしないとカヨコちゃんからのシバきのお誘いが来る』


『それはいやや。もう宙を舞いたくない』


『がんばれ』


『頼りにならん相棒やで、呼び出されるときはオマエとカナメも巻き込んだる』


『オレはすでにカナメに巻き込まれたのだが…』


『それはオレも同じや。だから今度はオレが巻き込む番や』


『いやな順番だ』


『やかましいわ、死なばもろともや』


『そこはオレの屍を超えていけ、じゃないのか?』


『オレは聖人君主やない。それに痛みは分かち合ってこそ友やろ』


『うん、ここで縁を切ろうか』


『ふんっ、逃がさへんで。確実に巻き込んだる』


『嫌な宣言だ』


と、世間話をしながらできるのだから恐ろしい人たちである。



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