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GLAIVE (狂炎伝承)   作者: 団栗山 玄狐
Ver.01 狂気の眼
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act04 ビルcombat

act04 ビルcombat(戦闘)


突然、電気がつき明るくなると椅子に座らされうなだれる男性らしき人と

その横にサングラスを掛けたエリートサラリーマン風の優男がいた。


「さて、お初にお目にかかる。私は、ここの統括責任者でクニシロという。

ウチの社内でなかなか派手に暴れてくれたようだね」

優男は落ち着き払った口調でそういった。


「あんたたちには負けるさ」

「なかなか言ってくれるね。

ひょっとして、君があの偽善者集団グレイブの一人か」


「そうだ。人助けを理由に大量殺戮をしている集団の一人だ」

シグナルは、自分を卑下して言い直す。


「自覚していながら、いつまでそんな偽善をし続けるのかね」


「俺の気が済むまでだ」

というとクニシロに銃口を向ける。

そのまま、バイクから降りる。

ユタカも一緒に降りたがその場にへたり込んだ。


「気が短いのかな、そんなに急ぐ事も無かろう。」

口調は穏やかだがシグナルに突き刺さる視線は冷ややかだ。

サングラスの下にある素顔は冷たい目をしているのかもしれない。

寒気と息苦しさを感じながら、ユタカはそう思った。


「いや、急がせてもらう。これ以上お仲間を呼ばれると厄介なんでね」

周囲を満たす緊張感が加速する。


とその時、


「残念だが手遅れだね」

とクニシロは言うと指をパチンッと鳴らす。

すると、シグナルを囲むように20人ほど現れ、銃を構える。

そして、クニシロの横にはユタカを追い続けていた小柄で小太りの男が現れる。

さらに、二人を護衛するような形でD-ロイドが両脇に3体づつ現れたのだ。


「ま、ここに待ち構えていた分しかおれへんようやがな」

とシグナルの背後から声がした。

まるでシグナルが分裂するような錯覚を覚えるような感じでシグナルの背後に

もう一人同じような姿の人間が現われた。


「遅いぞ。ウィルス」

シグナルは振り向きもせず現われた人間に叱咤する。

と突然、ユタカの背後から声がした。

ビクッと体を震わせ振り向くとシグナルと同じような恰好の男性が立っていた。

まるで気配もせず、物音もなかった。いつの間に背後まで来たのかわからなかったが

シグナルが声を掛けたのだから味方であることは間違いない。


「そないなこと言うなよ。こっちかて大変やったんやったんや」

ふてくされるような言い方で軽く答える。


「首尾は?」

振り向きもせず問う。


「任せてもらおうかと、言いたいが目の前にある御仁が無理やったがな」

軽く首を振って答えた。


「それなら彼女の守りを頼む。いつまで手加減できるか解らんのでな」

その場からクニシロに向けて歩みより始めた。

「はいよ。人使いが荒いね。まったく」


「さて、こちらはおなじみのセリフと行こうか。

彼女の父親の命がなくならないうちにこちらに降伏してくれないかな」


椅子に座らされいる男性にクニシロは銃口を向ける。

「彼が生きていればその手は有効だ」

「ほう、割と冷静だね。資料と違うね。君はもっと激情型と聞いていますが

シグナル君」


クニシロはシグナルの言葉を否定も肯定もしない。

「あんたのやり口はよく聞いいるからね」

「だが、一応生きてるよ。

虫の息だがね人質の役目ぐらいはしてもらわないと保険の意味がない」


クニシロの軽口に

「で、ほかには何人ほどでこちらに対応してくれる。」

「ほう、やはり冷静だ。もっとドラマチックな展開をしたかったのだが」

「そんなのに意味があるのか」

「あるさ、彼女の心をへし折るには十分だろ」

駆け寄ろうとする彼女をシグナルは静止させる。

「落ち着け。奴にとっては最後カードだ。人質は生きていないと効力がない。

あいつがまともならあんたの父親は無事でいるよ」


「最後まで手加減してくれよ。ここまで来て全滅はしゃれにならんからな」

と言ってウィルスは、ユタカの手を引き、一緒にバイクの影に隠れる。


「善処するよ」

軽く手を振る。


「打ち合わせは終わったのかな」

クニシロは、口元を歪ませながら尋ねると


「ああ、お待たせしてすまない」

シグナルは、クニシロを見て答える。

その言葉には感情的な揺らぎが無く、ただ無機質なものに聞こえた。


「だがね、この人数差だ。

出来れば早めに降参していただけるとウチとしても無駄玉を使わなくて済むのだが」

たばこをくわえてそういうと


「まあ、それだけの人数を処理するのは経費がかかるだろうね」

と言うとシグナルは、クニシロに向かって駆け出した。


それに合わせてシグナルに向けて銃弾が放たれる。

はた目から見れば、圧倒的不利なのだが銃弾が目標にあたることはなかった。

命中するはずの目標が消えたのだ。

その代わり、「ぐえっ、」「がっ」とうめき声が聞こえる。

声のするほうに視線が集まる。

一人が床に倒れこみ、もう一人の胸倉をつかんでいる目標が立っていた。

一瞬で詰められる距離ではない。だが、今目の前で起きているありえないことに

他の兵士たちは慌てる。

何が起きたかわからない。だが対処しなければならないと思う直し、目標に銃口を向ける。

フレンドリファイアになってしまうがそんなことに構っていられない状況だ。

この化物を早急に排除しないと大変なことになると兵士たちは思ったのだ。

事実、二人が再起不能にされた。

だが、その行動はわずかに遅かった。

そばにいた一人を蹴り飛ばされ、壁にたたきつけられた。

もう一人は目標がつかんでいた兵士をたたきつけられ、ひるんだ瞬間に溝うちに拳を打ち込まれ

意識を刈り取られた。

さらに、壁や床に吹き飛ばされていく兵士たち。まるでぬいぐるみが吹き飛ばされていくような

状態が起こっていく。人数差があったのも束の間兵士たちは、全て制圧されていった。


「なかなか、やるね。でもこれならどうする。」

というと今度は40体のD-ロイドが現れる。


「なかなかなおもてなしだね」

シグナルは一瞥する。


「いいね、君。でも私の自慢の兵隊を相手にいつまでその余裕が通せるのかな」

クニシロの右横から歩み出た小柄で小太りの男が自信に満ちた顔で人質の横に立つ。


「ノグチ。うまく処理してくれよ。」

クニシロを念押しのように小柄で小太りの男にいう。

「わかっています、クニシロ班長。今まで我が社の邪魔ばかりしてくれている奴らをここで処理して見せます。」

ぎらついた目ですごむノグチ。


それに対して

「あんたのお遊びに付き合えるほど、余裕を持っているわけでもないんだが」


「減らず口をたたくね、君は。ふつうに考えて40対2なんだよ。戦力差を考えても絶望的な差だと思うがね」


「そうかよ。自慢がしたいのか、それとも愉悦に浸りたいだけなのか。」


「さあね、君が床に沈んでくれればいいんだよ。私の出世のためにね」

その言葉とともにDーロイドが動き出す。4機がシグナルへもう4機がウィルスとユタカへ向かう。

ニヤニヤした顔つきのノグチに対して


「オレのことをどう評価してくれているのかな」

シグナルのその言葉の後に動き出していた8機のDーロイドが砕け散る。

まるで何かに切り刻まれたようにばらけていく。

ガシャと金属を響き、ノグチはさっきまでの余裕めいたというか小馬鹿にしたような顔つきが青ざめる。

さすがに自慢のDーロイドがいきなり鉄くずに早変わりしたのだ。驚くだろう。

それも何故こんなことになったのかもわからない。誰かが触れた形跡も近づいた形跡もない、はずだ。

だが、現実には、切り刻まれている。


何が起きたのかの分からないという感じである。

それでも誰がやったのかはわかる。

シグナルがしたのだ。そう思わないと答えにならない。


でも動いた形跡もないように見える。見えなかったが正しいのかもしれないが…。


「あと、32機か。どこまで壊せばあんたの出番になるのか楽しみではあるかな」

シグナルは拳と手のひらを合わせる。


「ふん、粋がるのもそこまでだよ。これ以上面倒を起こすなら彼の身の保障はできないがね」

とユタカの父親のこめかみに自分の持つ拳銃の銃口をこすりつける。


冷や汗をかいているのだがまだ自分が切り札を持っていることで優位な立場であることを誇示したいようだ。

だが、

「人質は手を出せない所に隠し、殺さないことで意味を成す。そんな傍では意味がない。」

図星を突かれ、わずかに顔に焦りが出る。


ユタカは慌てた。

自分の父親に拳銃を突き付けられたことに。助けてほしいのはやまやまだ。

だが現状がそれを許さない。

自分でもわかるのだが納得はできない。

そのジレンマの中で悩んでいる。

「まあ、慌てなさんな。」

とウィルスはいう。

「でも…。」

と言葉に詰まる。


「シグナルも言ってただろ。人質は生きていないと価値がないって。最後の切り札を捨てるような真似を

簡単にはしないわな。もししたらそんな奴はただのアホや。」

と言い切る。


「でも、少し焦る状況ではある。嬢ちゃんも最悪の場合を覚悟してほしいわな。」

と付け加えた。


「助けてほしいです。でも、覚悟はします。」

確かに最悪の状態ではある。

今は、信じるしかないと思うようにした。



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