act45 悲劇のdemise参
act45 悲劇のdemise(終焉)参
ウィルスとリセト、セーレンが待つ試験管の前にシグナルがやってきた。
「お嬢さんすまんな。お前さんを生かしておくことはできない。オレはそんなに万能じゃないからな。
だが、お前さんの心は救うことが出来たと思う。まあ、こっちが勝手にそう思っているだけだがな」
試験管の中の少女は身を閉じ首を横に振る。
「お兄ちゃんは、私の悪夢を終わらせてくれたよ。それにさ、そんなに泣きながら涙を流せないのに強がらないでよ」
「そうか、お嬢さんは能力者でもあるのか」
「そうだよ、少ししか使えないけどお兄ちゃんのはすごくわかるよ。引き金を引くたびに泣いてるよね、一番優しいくせに
一番つ辛いことするお兄ちゃん。約束してね、私が生きたかったこの世界を生き抜いてね。
そして、いつか出会えたらその時の話をを聞かせてね、お願い。」
「厳しいことを言うな。そうなるとオレは簡単に死ねないわけか。」
「そうだよ。そうしないとお兄ちゃん、すぐ死のうとしちゃうもん。」
「わかった、約束しよう。」
「ありがと、狂ったように優しいお兄ちゃん。じゃあね。」
「さよならだ、また会おう。」
シグナルは引き金を引く。
部屋に響く銃声、悲しく響くその音は彼の....シグナルの心の叫びのように聞こえた。
「悲しいですね、救うための唯一の方法が殺すことなんて」
リセトが静かにつぶやく。
「そやな、でもその唯一の事もきちんと憂いを無くしてやれば悲しいことにはならんやろ」
「どういう意味です」
「苦痛に満ちた世界で苦痛の元になる全てを消し飛ばし、新たな世界に旅立てるんやさかいな」
「似合わないですね、詩人にでもなったつもりですか。恥ずかしくないんですか。」
「なんやねん、オレがそないなこと言ったらあかんのか」
「だめですよ、似合ってないです。せっかくの悲しい雰囲気が台無しです」
とリセトとウィルスの痴話げんか始まってしまう。
「はいはい、そこまでな。まだ仕事は残っている。ここを消し飛ばさんといかんだろうが」
シグナルが手を叩き場を治めようと意見した。
「そやな、詰めが甘くなるところやったわ。」
というとウィルスがそそくさと何やら始める。
「あの私はこれからどうなるんでしょうか・・・やっぱりここで処分されるんですか」
セーレン・シュヴァルツがシグナルに尋ねて来た。
「いや、何もしないけど。」
「でも、私はこの件の首謀者の一人だよ」
「依頼は、この研究所の処分とカナメとアンタの救出だ。処分なんてしない」
「でも、これからどうすればいいかわからない」
「そやったら、ウチにおいでや。カナメもおるし。」
ウィルスが話に入る。
「へ、いいんですか」
驚いた顔で聞き返してくる。
「ウチには、アンタみたいな立場の人間がぎょうさんおる。落ち着いてから身の振り方考えたらええやん」
「はい、じゃあお言葉に甘えさせてもらいます。」
「ほな、準備もできた。お暇させてもらいましょか」
とウィルスが言うと他の者たちもそれに同意した。
全員が逃げ出してしばらくしてから研究所は、跡形もなく吹き飛んだ。
それを確認するとシグナルたちはその場を後にした。
その後、カナメとも合流し作戦は終了となった。
長い因縁は、今ここに終焉を迎えたのだ。
戦いが終わっても人生は続くのだ。
生きるための抗いは終わらない。




