act40 仕掛けられたconfronting
act40 仕掛けられたconfronting(対峙)
「死にたがっているか・・・確かにそうかもしれんな。お前の言う通りだ。
信じていた奴らに裏切られ、最愛の娘も人体実験に使われ、なお命まで握られ
動きが取れなくなったオレになにが残る。」
失望で染まる瞳をカナメに向けるシュトーレン・ヴァルト。
「そのための復讐かよ、あんた。道連れにされる奴らからすればたまったものじゃない。」
「そうだな、本当なら貴様もその対象になるはずだったのだがな。」
「なるほどな、でもそうしなかったのはオレが今いる部隊が原因かね。」
カナメは腑に落ちたという感じで話す。
「そうだ、貴様を呼び出すためにお前を調べるうちに奴らに行きついた。今回の計画もその時に考えたのだ。」
静かにたたずむシュトーレンは、ただ語るだけだ。
「その計画とやらのおかげでウチのメンバーの機嫌が悪くなってかなわない。
どうせ、依頼はあんたと娘の殺害。そしてそれにかかわる基地や研究所の破壊なんてところか。」
「そうだ。だが最初は断られた。」
「そりゃそうだ。オレたちは暗殺組織じゃない、あくまでも人助け集団なんでね。そんな依頼は受けないよ。」
「だから、貴様とセーレンを救出することを追加したのだ。これならば納得してくれたようだ。」
「それでも渋々だ、だいぶ無理を言ったようだな。」
と呆れ気味に言うカナメ。
「みたいだな、だがこれしかオレと娘が解放される方法がない。」
「そうかよ、まあ基地の情報は知っている。なかなかやばいことをしているみたいだ。ここの情報も確実に消し飛ばすよ。
依頼だからな、そう割り切ることにするよ。」
「ああ、後は頼む、グレイブのブレイク。」
その言葉聞いた後、カナメはシュトーレンにハンドガンを向け2発撃つ。
その音が悲しく響いた後、シュトーレンは倒れる。
その顔は、先ほどまでの疲れていた顔ではなく安らかな顔になっていた。
「まったく、嫌な役目を押し付けやがって。アンタらしくもない。」
と一人ごちる。
そして、その場を後にする。
しばらくして、カナメは高台から先ほどまでいた基地を双眼鏡で見ていた。
そこに5台ほどワゴン車が来た。車から降りて来た彼らは倒れている兵士たちに目もくれず、
管理棟になだれ込む。
何かを回収しようとしているように。
「さて、これで終わりだ。」
とつぶやくと右手のリモコンのボタンを押すカナメ。
すると管理棟から爆発音が響き、その後基地を飲み込むように黒い球体が現れ、爆発する。
周辺に爆風を広げ、火山の噴火のような煙を上げる。
基地があったところは、巨大な穴のみになっていた。
それをカナメは確認すると、
「ほんと、嫌な依頼だよ隊長。でも依頼は完遂した、カナメとしてではなくグレイブとしてな。
じゃあな、隊長。」
とつぶやくとカナメはその場を後にした。