表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GLAIVE (狂炎伝承)   作者: 団栗山 玄狐
Ver.05 異国の戦場
36/54

act35 力量のdisparity

act35 力量のdisparity(差)



「そう。じゃあ、シグナルさん。自分の無鉄砲な行動をあの世で後悔することね。

各員まずはその世間知らずをかたずけなさい!」

セーレンが指示を出す。


その指示に合わせシグナルに向かっていく隊員たち。

ナイフで切りかかり、蹴り上げたり組みかかるがすべてを紙一重でよけていくシグナル。


11対1、人数的に考えれば圧倒的不利なのだが、数の差を実力の差でシグナルはしのいでいたのだ。


それは、まるでダンスを踊るように華麗に迫る11人の攻撃をよける。


その姿に驚きを隠せないセーレン、それを当たり前の事としてみるカナメがいた。


それぞれの反応はシグナルのことを知っている者と知らない者の差でもある。


そして、さらにいくつかの差が生まれている。


激しい攻防の中、一人のハイキックがシグナルの動きを止める。


今までよけるだけだったシグナルが一人のハイキックを左手で受け止めたのだ。


初めて捕まえられない相手の動きを止めたことでシグナルの背後から二人の刃が迫る。


だが、シグナルは受け止めた足を左手でつかみ、相手の右足を背負い、一本背負いで投げ飛ばす。


それは背後に迫る二人目掛けてだ。


ボキ、ボキボキと鈍い音が響く。


人一人を投げ飛ばし、勢いよく迫る二人に向け投げ飛ばしたのだ。それぞれの勢いが重なり威力が増したのだ。


投げ飛ばされた者は背後から迫る二人のナイフが突き刺さり、背後から迫る二人は投げ飛ばされた者につぶされた。


この瞬間で三人が再起不能となったのだ。


投げ飛ばした後の隙を見逃さず、さらにシグナルの後ろから三人が迫る。


シグナルはそれを見逃さず、先ほど投げ飛ばした相手の足をつかんだまま後ろに振りぬく。


まるで人を壊れた人形のように振り返りながら振り回す。

それは、もう人ではなく鈍器のように扱っていた。


三人は、いきなり飛び込んでくる仲間に吹き飛ばされる。


シグナルはそれでも足を話すことなく先ほど吹き飛ばした三人の上に

糸の切れた人形のように関節が変な方向に曲がっている人間を叩きつけた。

それと同時に足を離し、腰にあるナイフに右手をかけていた。



これにより11名いた隊員は6名が再起不能となり絶命していた。


あまりの出来事に声を失うセーレン。


今まで華麗によけていた人間が、人を糸の切れた人形のように振り回す姿が重ならないのだろう。

本当にこれを行ったのが同一人物なのか疑ってしまう行動だった。


だが、これは紛れもない現実であり、事実であった。


信じられない事はこれだけに収まらなかった。


シグナルは腰のナイフを抜き放ち、残り5名に向け行動を起こす。


先程まで目を疑いような出来事の後、突然迫る敵に対して

残り5名はナイフで応戦する、確実にシグナルを殺すため、動きを制限するように囲む。

何人かで切りかかり、それどもかすりもしない。

シグナルは、相手の攻撃を紙一重でかわし、かわしたたびに相手の頸動脈を切り裂いていく。

切られた相手は膝から崩れ落ち、絶命していく。


数で優位な者たちから見れば悪夢の光景だ。

攻撃すればするほど仲間が倒されていく。


わずか数分で数の優位はなくなり、全滅した。

それだけでも信じられなかったのだが、それ以上にシグナルは息が切れている様子もなかったのだ。


セーレンにとっては信じられない光景だった。

もちろんセーレン自身もカナメとシグナルは口だけで粋がっているだけだと思っていた。


だが、それは違った。彼らは実力に見合った言い分を言っていただけだったのだ。


これは、相手の実力を見誤ったセーレン達フォグ・シザーズの失策だったのだ。


結果はセーレン以外のフォグ・シザーズは全滅した。


自らを捨て石としてカナメを仕留めるはずだった・・・のだがそれはもろくも崩れ去った。


彼女もわかっていた、引き際を見誤ったことに。


強引に物事を推し進めてもダメなことに、進むことも勇気がいるのだが引くことも勇気がいるのだ。


一般的には進む勇気はほめたたえられることが多い事に対し、引くことは逃げるとみなされることが多い。


だから彼女は、引くことができなかった。

それが敗因であっても。


それを完全に理解した彼女は、カナメをつかんでいた手を離し、その場に崩れるように座り込んだ。


その顔には、失望の色が漂い、頬には一筋の涙が流れ落ちた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ